Photo: Peggy Sirota

ブランディ・カーライルはエルトン・ジョンとのコラボレーション・アルバム『天使はどこに』について語るインタヴューが公開されている。

コラボレーション・アルバム『天使はどこに』は4月4日にリリースされており、全米アルバム・チャートで9位を記録している。これはエルトン・ジョンにとって22作目、ブランディ・カーライルにとって4作目の全米トップ10アルバムとなっている。

公開されたブランディ・カーライルのインタヴューは以下の通り。

――長年の憧れの存在だったエルトン・ジョンとアルバムを制作してどのような気持ちでしょうか?

「エルトン・ジョンとの共作は本当に素晴らしかった。彼は類い稀な作曲家だから。計り知れないほどのコード(和音)や音楽の知識の持ち主で、その知識量は生存するほとんどのミュージシャンが敵わないでしょう。今の音楽業界ではあまり重宝されなくなってしまった音楽理論をきちんと理解するのが当たり前だった時代の人です。だから、彼は単なるソングライターではなく、単なるポップスターでもなく、作曲家なのです。同じ部屋にいて、その手腕を目の当たりできるのはこの上ない経験でした。彼はまた、本当に恐るべき演奏家でもある。ピアノを力強く弾き、大声で歌う。そこに生命力を感じる。肉体に直に訴えかけてくるものがある。だからこそ、詩人や作詞家にとっては、彼のようなアーティストと一緒に共作することに大きな刺激をもらえる。彼のような人は今までもいなかったし、彼のような人は二度と現れないでしょう。こうした彼と共にした経験は、私が11歳のときからずっと夢見てきたものであり、これから先も大切に心に留めておくでしょう。これからは、曲を書く時、エルトンのことをいつも思い出すでしょう。彼は私に、誰も奪うことのできないものをくれました」

――ファースト・シングル“Who Believes In Angels?”について、タイトルに込められた意味はどんなものですか?

「“Who Believes In Angels?”は、アルバムの中で私たちが最後に共作して完成させた曲。アルバムには、友情や家族、愛や人生など、私たち2人が歌詞に取り組んださまざまなテーマがあります。私たちの配偶者、そして子供たちについてもたくさん書いているし、エルトンが人生の最終章を迎えるにあたっての、死をテーマにした曲もあります。励ましやLGBTQIAの人たちの背中を押すメッセージもたくさん盛り込まれています。そんな中、“Who Believes In Angels?”は、2人の友人がスタジオに入って、一緒に作品を作るという経験について歌っています。この曲だけは、私たち、つまり彼と私、そして私たちのアルバムについて歌った曲です。だから私の大好きな曲でもある。私たち2人にとって、その体験が何を意味していたかを奥深く描いています」

――今後もエルトンとコンサートをしたり、一緒に活動を続ける予定はありますか?

「エルトン・ジョンの面白いところは、誰もが予想しないようなことをするのが大好きなところ。私からすると、彼はきっと毎朝起きて、まず、「よし、今日はどうしたら人の予想を裏切ることができるだろう?」と考えてるんじゃないかと思う。だから、彼が私たちとのコンサートをどうしたいのか、どこまでやりたいのか、私にはわからない。でも、一つ確実に言えることは、(3月26日ロンドンの)パラディアム劇場のライヴでの彼は、手がつけられないくらいノリノリだったということ。コンサートをもうやりたくない人間には見えなかった。絶好調だった。とにかく素晴らしかった。コンサートも最高だった。だから、あと1つか2つ、一緒に演奏する機会があるんじゃないかと期待している、エルトンのことだから、きっと予想外のことをすると思う」

――今後も長期的に活動を続ける予定でしょうか?

「いい質問ね。遠回しに答えようかしら。私は今後エルトンなしでは二度と音楽は作らない。なぜなら、エルトンは私の中にいるから。(天使のように)私の肩の上に乗ってくれている。でも、私たち2人が一緒に音楽を作り続けないなんて想像できない。今となっては、当たり前のようにやっていることだから」

――来日経験はありますか? 日本の印象や日本について知っていること、日本でしてみたいこと等あれば教えてください。

「日本にはまだ行ったことがないけど、日本に行くのが私たち家族にとっての夢です。妻との間に10歳と7歳の娘がいて、2人とも日本語を習っていて、日本の文化にどっぷり浸かっているから、『ママ、私たちを日本に連れて行ってよ。どうしても日本に行きたい』と言われる。だから、2人の日本語学習がもう少し捗って、いい成績を取れたら、ご褒美に日本に連れて行くつもり。家族みんなが、実現させたいと思っています」

――お子様が日本語を学んでいるとのことですが、何かきっかけがあったのですか?

「学校を通じて、学ぶ機会があって、2人ともそれを受けて、今では日本文化に夢中なんです。もちろん、日本人の友人もいるから、普段付き合いのある友人たちからの影響もあります」

――“Swing For The Fences”はLGBTQ+の子供たちへの応援歌だそうですね。この曲について教えてください。

「この曲は、犬笛的修辞法で溢れていると思っている。クィアの人たちならわかる、希望を与える小さなメッセージで溢れている。私たち自身、そして生き方に響くものだから。これらの希望のメッセージは、特に若者にとって本当に重要だと思っている。特に思春期の若者は、目の前で起きていることしか考えられないから。ゲイの若者たちにとっては、彼らが生きている時代が生きづらいものだとしたら、動揺することもあるでしょう。今のアメリカは、まさにクィアにとって生きづらい時代。だからこの曲には、『みんな、聞いて。明るい未来が必ず訪れるから』という励ましのメッセージを込めたかった。『私たちは、この時代を超えられる。絶対に乗り越えられる。私たちを抑圧することに固執している人たちは、永遠に生き続けるわけじゃない。絶対に乗り越えられる』と伝えたかった。私の人生が何よりの証拠です。子供の頃に自分が一番憧れた人と、大人になって友人となり、アルバムを作ることができたんだから。『いつか状況は良くなるから、夢は必ず叶うから、誰にでも奇跡は起こりうる』と、人にわかってもらうのに、これ以上のものはないと思う」

――日本のPOPSアーティストである與真司郎さんが新作の2曲“Who Believes In Angels?”と“Swing For The Fences”の歌詞を日本語に訳してくれました。與さんは2年前にカミングアウトしましたが、歌詞にとてもシンパシーを感じているそうですし、偉大なる先駆者であるエルトンとあなたにとても勇気づけられているそうです。

「今の話を聞いて思ったのは、本当に素晴らしい話だな、というのと、彼が時間を割いて歌詞を翻訳してくれただけでなく、歌詞を自分の心に刻んでくれたことをとても光栄に思っている。歌詞に心を動かされたことも。そのために書いたものだから、彼にそれが伝わったのは、私にとって大きな意味を持つ。だから、彼の幸運と神の祝福を祈るとともに、私とエルトンのメッセージに貢献してくれてありがとう」

――『天使はどこに』アルバム・ジャケットと“Who Believes In Angels?”のミュージック・ビデオで、音楽シーンのレジェンドたちへのオマージュがありますね?

「LGBTQコミュニティ、そしてアーティストのコミュニティ、その両方において、それを支えてきた先人たちに敬意を表したかったのです。というのも、自分がこれまで歩んできた道のりをちゃんと理解しなければ、自分がどこに向かうべきかを理解するのは難しいから。毎朝私たちが希望を忘れずベッドから起きられる音楽を作り、道を切り開いてきた人たちを讃え、感謝したかったのです」

――応援してくれている日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。

「ブランディ・カーライルです。『天使はどこに』を聴いてくれて、私とエルトンを応援してくれて、本当にありがとう。心から愛しています」

アルバムのストリーミングはこちらから。

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