デヴィッド・ボウイは、映画『トレインスポッティング』のサウンドトラックに楽曲を提供する話を断っていたという。
1996年公開の『トレインスポッティング』は、ダニー・ボイルが監督し、ユアン・マクレガーがエディンバラに暮らすヘロイン中毒者を主演した作品だが、サウンドトラックも名作として知られ、イギー・ポップ、アンダーワールド、ルー・リードといったアーティストの楽曲を収録している。
しかし、ダニー・ボイルや制作陣は当初、デヴィッド・ボウイの楽曲をそこに加えたいと思っていたが断られてしまったため、イギー・ポップの“Lust For Life”を起用することにしたという。
『デイズド・アンド・コンフューズド』が新たに行ったインタヴューによれば、映画のサウンドトラック制作を手伝ったスタッフは、ダニー・ボイルとプロデューサーのアンドリュー・マクドナルドがすべての楽曲をまとめ上げるのに苦労していたことを明らかにしている。
「(ダニー・ボイルとアンドリュー・マクドナルドは)映画用に楽曲の使用を許可してもらうのが大変で、例えばデヴィッド・ボウイからは断られてしまった、と僕に言ったんだ」と、EMIのA&Rとして働いていたトリストラム・ペンナは語っている。「ダニー・ボイルとアンドリュー・マクドナルドの2人はデヴィッド・ボウイとやりたくて仕方がなかったんだ。記憶が正しければ、二人はトイレのシーンに“Golden Years”を使いたがっていたんだ」
デヴィッド・ボウイの世界観に留まることを叶えるため、トリストラム・ペンナは、デヴィッド・ボウイがプロデュースした楽曲を代わりに使うことを提案したという。それがイギー・ポップの“Lust For Life”だった。
「僕はソーホーのダーブレイ・ストリートにある試写室で、映画の粗編集を観たんだ」とトリストラム・ペンナは続けている。「ひどいものだった。音楽を監修したのは誰だかも知らなかったが、使われていたものの一部は本当にひどいとしか言いようがなくて、まったく的外れだったんだ。僕はロンドンでクラブに行きまくっていたからね。インディー系クラブやゲイ・クラブや、いい音楽が流れてさえいれば、どんなクラブにも行ったよ。イギー・ポップの“Lust For Life”は、バット・ケイヴ時代からずっと、クラブではすごく人気の曲だったから、映画のオープニングで使われたら、アドレナリンが身体中を駆け巡るだろうなと思った。僕がこの曲を提案したことを覚えているのは、(ダニー・ボイルとアンドリュー・マクドナルドが)デヴィッド・ボウイに断られたことをずっと引きずっていたからなんだ。それで2人は“Lust For Life”を冒頭に使うことにして、すると映画は一変したんだよ」
デヴィッド・ボウイは多くの仕事の誘いやコラボレーションのオファーを断っていたことが、死後明らかになっている。ダニー・ボイルは、デヴィッド・ボウイから音楽の使用を断られたことで、彼の人生とキャリアに基づいたミュージカル映画の企画をボツにしたという。
デヴィッド・ボウイはまた、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの複数のアルバムのプロデュース、コールドプレイとのコラボレーション、デイヴ・グロールが作曲した映画音楽にヴォーカルとして参加することを軒並み断っていたことも明らかになっている。
広告 ザ・ビートルズの新作ドキュメンタリー『ビートルズ ’64』がディズニープラスで11月29日(金)より独占配信!
Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.