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ユニバーサル・ミュージック・グループは現地時間1月30日に公開書簡を発表して、出版社およびレーベルと契約しているアーティストの楽曲を短編動画プラットフォームのTikTokから引き上げる意向を表明している。

これによってテイラー・スウィフト、バッド・バニー、ザ・ウィークエンド、ドレイク、ビリー・アイリッシュジャスティン・ビーバー、アデル、コールドプレイ、J. バルヴィン、ポスト・マローン、ソフィー・エリス・ベクスターといったアーティストの音源がTikTokから引き上げられることが予想される。ソフィー・エリス・ベクスターは『ソルトバーン』の公開後、TikTokで特に楽曲が拡散されている。

ユニバーサル・ミュージック・グループはTikTokとのライセンス契約が1月31日をもって終了となり、契約更新の交渉がもとまらなかったことを発表している。ユニバーサル・ミュージック・グループとTikTokは2021年2月からライセンス契約を結んでいた。

ユニバーサル・ミュージック・グループは次のように述べている。「契約更新の話し合いの中で私たちは3つの重要な問題――アーティストとソングライターへの適切な報酬、AIの有害な影響からの人間のアーティストの保護、TikTokユーザーのオンラインでの安全性について迫ってきました」

アーティスト報酬の問題についてユニバーサル・ミュージック・グループは「TikTokは私たちのアーティストとソングライターに同じような立場の主要ソーシャル・プラットフォームが支払う割合の何分の一かの割合を支払うことを提案してきました」と述べ、それは収入の1%に過ぎないとしている。「最終的にTikTokは音楽に正当な価値を支払うことなく、音楽主体のビジネスを構築しようとしています」

AIの問題についてユニバーサル・ミュージック・グループはTikTokがサポート・ツールを開発して「プラットフォームでのAIによる音楽制作を後押ししている」として、「人間のアーティストへのロイヤリティの枠を大幅に少なくできるコンテンツの権利を契約上要求しており、アーティストをAIに置き換える動きに他なりません」

プラットフォームでのアーティストとユーザーの安全性についてユニバーサル・ミュージック・グループは次のように述べている。「アーティストのディープフェイクによるポルノといった権利侵害や問題のあるコンテンツの削除を求めるために利用できる唯一の手段は、デジタルでの『モグラたたき』と言えるような途方もなく面倒で非効率的な方法しかありません」

ユニバーサル・ミュージック・グループはTikTokに「これらの問題に対処するため他のパートナー・プラットフォームと同様の措置を行う」ことを提案したところ、「脅迫」に打って出てきたと述べている。ユニバーサル・ミュージック・グループはTikTokが「視聴者を牽引する世界的スターの楽曲をプラットフォームに残す一方で、発展途上にある特定のアーティストの楽曲を選んで削除」することで、「以前の契約よりも安価で、公正な市場価値をはるかに下回り、飛躍的な成長を反映しない契約を受け入れるよう脅してきました」と述べている。

「TikTokの戦略は明らかです。プラットフォームの力を使って、弱いアーティストを傷つけながら、音楽を過小評価して、アーティスト、ソングライター、そのファンを不当に扱うひどい契約に譲歩するように我々を威圧しようとしたのです」

最後でユニバーサル・ミュージック・グループはTikTokから楽曲を削除することが新進気鋭のアーティストに与える影響については理解・認識しているとしつつも、今回の判断は揺るぎないものであり、「人間の創造性を尊重するプラットフォームで、すべての人にとって安全で、効果的に管理された環境で、彼らの作品に対して適切な報酬が支払われる新たな契約のために闘うことは我々のアーティストに対する至上命題です」と述べている。

現地時間1月31日、TikTokはユニバーサル・ミュージック・グループへの声明を発表して、「事実ではない筋書きとレトリック」によって「アーティストとソングライターの利益よりも自分たちの強欲さ」を優先していると批判している。

TikTokはユニバーサル・ミュージック・グループが「その才能を無料で発見して世に広める機能を持つ10億人以上のユーザーがいるプラットフォームの強力なサポートから離れることを選択した」と述べている。

TikTokは声明を次のように締めくくっている。「他のすべてのレーベルやパブリッシャーとはアーティスト・ファースト の契約を結ぶことができました。明らかにユニバーサル・ミュージック・グループ利己的な行動はアーティスト、ソングライター、ファンのための最前の利益にはなりません」

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