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モリッシーはザ・スミスをからかった『ザ・シンプソンズ』の最新話について言及して、「『ザ・シンプソンズ』を書くのに必要なのは完全な無知だけだ」と述べている。

「パニック・オン・ザ・ストリーツ・オブ・スプリングフィールド」と題された回は現地時間4月19日に放送され、1980年代のイギリスの物憂げなインディ・シンガーで、ベネディクト・カンバーバッチが声を担当したクィロビーというキャラクターがリサと空想の友だちになるものとなっている。

リサはザ・スナッフスのフロントマンを務めるクィロビーの魅力を発見し、「その文学的で冷笑的な音楽のブランド」と「好戦的なヴェジタリアン主義」に夢中になっていく。彼女がザ・スナッフスの再結成コンサートに行くと、クィロビーは歳を取って太った人種差別的な肉食になっている。

モリッシーのマネージャーであるピーター・キャッシスはモリッシーの公式フェイスブックに投稿した文章で『ザ・シンプソンズ』を批判していたが、今回モリッシーは2018年4月以降、自身の文章を投稿している『モリッシー・セントラル』に長文を寄せている。

https://www.morrisseycentral.com/messagesfrommorrissey/hello-hell

『ハロー・ヘル』と題された4月19日の投稿でモリッシーは次のように述べている。「『ザ・シンプソンズ』のクリエイターから私に向けられた憎しみは明らかに罵り合いの訴訟ものですが、挑戦するためには私が集められる以上の資金が必要となってしまうでしょう」

「戦う準備のできる断固とした法律実務家のビジネス集団など私は持ち合わせていません。そのことは広く理解されているでしょうし、無碍にやかましく私が攻撃されてしまう理由ともなっています」

彼は次のように続けている。「もう音楽が必要とされていないから、自分の音楽が強く美しい形で人々に影響を与えると、とりわけ軽蔑されてしまうのでしょう。事実、2021年においてできる最悪のこととは他人の人生に力を貸してしまうことなのです」

モリッシーは現在の音楽界の現状について自身の見解に触れて、「強い感情を持った人々には居場所がないのです」と述べている。「アートには制限がかけられていて、口答えするかもしれないアーティストとレーベルは契約しません」昨年11月、モリッシーはBMGレコーズとの契約を切られており、当時「2020年の過酷かつ激しい恐怖と完全に連動する」と述べていた。

「世間一般は混沌とし、耐え難くもそれを放っておくしかありません。言論の自由はもう存在しないのですから」とモリッシーは続けている。

モリッシーは自身のメディアとの体験について振り返り、「数十年前の最初のインタヴュー」から「ひどい非難を受けて生きてきた」として「慣れた」と述べている。「バイソンの群れを殺せるほどの憎悪を投げつけられてきたんだ」

彼はもう一度『ザ・シンプソンズ』に言及している。「そうした非難は重要であることに熱狂的な憧れを持った人物から寄せられます。それを高次元で扱うことができないのです。例えば、『ザ・シンプソンズ』を書くのに必要なのは完全な無知だけです」

「しかし、こうしたことはすべて自分にとってあまりに容易くて言うまでもないことです。ヘイトの法に執着された世界では私を守ってくれる人などいません」

モリッシーは彼とザ・スミスや彼の音楽のファンがメディアによってどう扱われてきたかについて述べて、「メディアは僕の周りの人々に人種差別的な密告を言わせられないから、イギリスのジャーナリストによる昼夜の嫌がらせで自殺したくなるほど苦しめられたことを理由に有名人の友人を失った」と述べている。

モリッシーは2019年5月、「ザ・トゥナイト・ショウ・スターリング・ジミー・ファロン」に極右政党であるフォー・ブリテンのバッジを着けて出演したことで批判を浴びている。モリッシーはその後、物議を醸したインタヴューの中で人種差別主義者であることを否定した上で次のように語っている。「いまやその言葉は何の意味もなしていない。究極的には誰もが自分自身の人種のほうが好きなわけでね……そうなると、全員が人種差別主義者だっていうことになるのかい?」

また、モリッシーはオレゴン州ポートランドで行った公演で自身に抗議していたために会場から追い出すこととなった2人の観客についてイギリスのメディアによって「仕込まれた」と主張している。モリッシーはロサンゼルスのハリウッド・ボウルで行った公演で『ガーディアン』紙に向けた「ファック・ザ・ガーディアン」と書かれたTシャツを着ていた。

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