NME Japanではサマーソニック2019幕張会場の出演者の中からベスト・アクトの1~30位を選んでみました。とはいっても、あれだけ多くのアーティストが出演するフェスティバルです。すべてのアーティストを観ることはできません。なので、あくまで独断で、編集部で観たいと思ったアーティストのなかから、議論を重ねて、このランキングを作成してみました。みなさんのベスト・アクトとぜひ較べてみてください。
30位 ゼブラヘッド(8/17 MOUNTAIN STAGE)
サマーソニックにゼブラヘッドが出演する。この安心感たるや何だろう。お馴染みの日本語での下ネタはもちろん、“Playmate of the Year”や“Anthem”といった代表曲も当然披露されるし、E-girlsの“Follow Me”の日本語カヴァーまで披露してくれる。やはり、アミューズメントとしてのパーティー感覚のポップ・パンクをフェスティバルという場で最も体現してくれるのがこの人たちで、20周年を迎えた今年のサマーソニックでも、他の追随を許さない通算8度目となる出演を果たしたゼブラヘッドのステージには溢れんばかりのオーディエンスが集まっていた。それはこれだけ多様なフェスの中でも一つ群を抜いていた事象であり、今年のサマーソニックの2日目を象徴するような光景だった。
29位 プレップ(8/18 BEACH STAGE)
サマーソニックのビーチ・ステージではすっかりお馴染みとなったシティ・ポップ枠だが、自分たちが今年それを満喫したのがプレップだった。メンバーが衣装のジャケットを思わず脱いでしまうほどの日差しが照りつける、3日目の暑い時間帯だったが、70年代~80年代の日本のシティ・ポップへの愛を公言する彼らが作り出す音楽と、ビーチ・ステージというシチュエーションの相性のよさは言うまでもない。そして、彼らのパフォーマンスを確かなものにしていたのは2人のサポート・メンバーを加えた6人が織りなすアンサンブルで、“Don’t Look Back”ではSE SO NEONのソユンがギタリストとして参加するなど、サマーソニックだからこその共演も実現。近年、海外で急速に評価が高まりつつある日本のシティ・ポップだが、それがソウルやファンクネスを纏って逆輸入された時の強さを改めて感じることのできたステージだった。
28位 ザ・ストラッツ(8/16 MARINE STAGE)
20周年を迎えたサマーソニックだが、その幕張会場において、マリン・ステージの幕開けを飾ってくれたのがザ・ストラッツだった。サマーソニックへの出演は既に3度目となり、往年のロックンロールのアティテュードを受け継いだライヴ・パフォーマンスは既に折り紙つきのものだが、最新作『ヤング&デンジャラス』収録の“Primadonna Like Me”からスタートしたこの日のステージでは、そのパフォーマーとしての手腕にさらに磨きがかかっていた。ハンドクラップも煽れば、もちろんコール・アンド・レスポンスも投げかけるし、全身を使って身振り手振りでオーディエンスを先導していく。そうしたロックンロールのショウに必要なイロハが惜しみなく詰め込まれているのがザ・ストラッツのステージであり、3日間の冒頭を飾るのに相応しいパフォーマンスを披露してくれた。
27位 FKJ(8/18 BEACH STAGE)
1曲目の“Skyline”が文字通り演奏された瞬間に、ビーチ・ステージの空気がガラリと変わる。ギターやベースが4本掛けられたラックを背に、キーボードを弾きながら自らの手で楽曲を組み立てていくFKJことヴィンセント・フェントン。ステージに置かれたいくつもの楽器を自分一人で演奏してみせるその超絶テクニックは既に過去の来日でも証明されているが、日の暮れたビーチ・ステージとのコントラストが素晴らしく、背後に映し出される映像も相まって、美しい空間を創り出していた。“Is Magic Gone”、“Lying Together”、トム・ミッシュとの“Losing My Way”でのサックスを含め、ライヴが進むにつれてさらに加わっていく楽器を見事に一人でこなしていく様はまさに圧巻で、3日間の祭典を締めくくる極上のライヴ体験を提供してくれた。
26位 ザ・ダムド(8/17 Billboard JAPAN STAGE)
サード・アルバム『マシンガン・エチケット』の冒頭を飾る“Love Song”から幕を開けたこの日のステージだが、そう今年はあの偉大なる名作から40周年の年。なので、同作のアニヴァーサリー・ツアーを行っていることもあり、この日のライヴも冒頭からアルバムを再現していく流れで楽曲が演奏されていく。もちろん、ステージの前にはその喜びを十二分に分かっているオーディエンスが集まっている。黒いグローヴを嵌めてステージに立つシンガーのデイヴ・ヴァニアンを筆頭に、トレードマークの赤いベレー帽を被ったキャプテン・センシブルなど、その佇まいは確かに40年を超える歳月を感じさせるものだが、彼らに流れるパンクのスピリットは今も不滅。後半には“New Rose”や“Neat Neat Neat”といった代表曲も披露され、サマーソニックという夏の祭典でも独自の存在感を放っていた。
25位 MGMT(8/16 Spotify On Stage in MIDNIGHT SONIC)
2007年発表のデビュー作『オラキュラー・スペクタキュラー』の巨大な成功の重圧を抱え続けてきたMGMTだが、この日のライヴはそれさえをも背負ってみせる、そんな彼らの姿勢を感じるライヴだった。特にこの日2曲目に演奏された“Time to Pretend”が印象的で、その突き抜け感は開き直っているかとさえ感じさせるもので、その後は昨年発表の最新作『リトル・ダーク・エイジ』の楽曲を中心に丁寧にデイヴ・フリッドマンと築き上げてきたサイケデリアを描き出していく。そして、やはり全員が期待していたのは“Electric Feel”が披露され、言わずと知れた“Kids”で締めくくられるまでのクライマックスで、デビューから10年以上の歳月を経て、我が道を行く彼らが辿り着いた達観のようなものを感じさせてくれるライヴだった。
24位 アラン・ウォーカー(8/18 MARINE STAGE)
スタンディング・エリアもスタンド席も、その大部分がアラン・ウォーカーを待つオーディエンスに埋め尽くされていた夕刻のマリン・ステージは、今年の3日目を象徴していた光景の一つと言えるかもしれない。“The Spectre”やサブリナ・カーペンターらとの“On MY Way”を初め、バキバキの重低音をミックスさせながら披露されるアラン・ウォーカーの楽曲のほとんどがオーディエンスの盛大なシンガロングで迎えられることになるのだが、この人の楽曲って本当に日本人の琴線に触れるのがうまいと痛感させられる。当然のことながら、“Alone”や最後を締めくくった“Faded”がハイライトになったのだが、黒いフードを被った弱冠21歳のDJはその楽曲の魅力でスタジアムに盛り上がりを生み出していた。
23位 ザ・シネマティック・オーケストラ(8/17 NF in MIDNIGHT SONIC)
サカナクションとのコラボレーションによる「NF in MIDNIGHT SONIC」として開催された今年のMIDNIGHT SONIC。そのマウンテン・ステージでトップバッターを務めたのがザ・シネマティック・オーケストラだった。今年3月には12年ぶりとなるスタジオ・アルバム『トゥ・ビリーヴ』をリリースしているザ・シネマティック・オーケストラはオーケストラのサウンドをロック的なアプローチから観せるパフォーマンスを行ってきた気鋭の1組である。続々と駆けつけてくるオーディエンスたちを間違いなく惹きつけていたのは、各メンバーの確かなプレイヤビリティや抑制のついたアレンジを土台に展開される緻密に組み合わされた彼らのアンサンブルで、深夜のサマーソニックというシチュエーションにこれが見事にマッチしていた。生でサウンドの機微を体験することの嬉しさを全面的に感じさせてくれるライヴだった。
22位 スノウ・パトロール(8/16 SONIC STAGE)
正直集まったお客さんの数は多いわけではなかった。渋谷クラブクアトロで行われた単独公演含めアコースティック・セットというのもあったかもしれない。でも、ハンドクラップとシンガロングが巻き起こった1曲目の“Chocolate”から素晴らしいライブだった。良質な曲を書くということにキャリアの初期からこだわり続けた彼らは、現在のソングライター大量投入時代にも適応し、欧米では大きなキャリアを築いてきた。キャリアのハイライトとなった“Chaising Cars”を挙げるまでもなく、そんな曲の良さを掛け値無しに感じられるのが今回のアコースティック・セットだった。来ている人はみんな思っただろうけど、素晴らしい楽曲の数々が演奏されていく。この場所を包み込んでいたのは彼らのオーセンティックな楽曲に対するオーディエンスからの愛で、もっと多くの人たちに届いてほしい、そう願わずにはいられないステージだった。
21位 ランシド(8/17 MARINE STAGE)
“Roots Radicals”に続けて披露された2曲目の“Radio”から早くもシンガロングが沸き起こり、ハンドクラップの輪も自然と広がっていくし、ラーズ・フレデリクセンがくるりと指を回しただけで、フロアにはサークルピットが出来上がる。この日、別のステージには妹/弟分とも言えるジ・インタラプターズが出演してスカ・パンクの継承者として観客を魅了していたが、名盤『アンド・アウト・カム・ウルヴズ』の楽曲を中心に構成された名曲揃いのセットリスト然り、観客を自然と扇動していく彼らの貫禄にはさすがに頭が下がる。ステージの上にレミー・キルミスターのフィギュアが置かれていたのも印象的だったが、“Fall Back Down”、“Time Bomb”、“Ruby Soho”という怒涛の3連発で締めくくられるまで、パンク・レジェンドの圧倒的な力にひれ伏しながら、火種を刺激され続けていた。
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