40位 (サンディ)アレックス・G『ロケット』
フィラデルフィア出身のアレックス・ジアナスコーリは、ソングライティングのマシーンだ。2010年以来7枚のアルバムをリリースし、ここ数年間はフランク・オーシャンと共作して一緒にツアーを回っており、その合間に時間を見つけて今年5月に『ロケット』をリリースしている。アイデアや思考回路が尽きてきたような兆しを見受けることもないーー癒されるようなフォーク・ポップの“Country”はハイライトで、ハードコアを帯びた“Brick”では、ランシド風のリフを聴くことができる。アレックス・ジアナスコーリは再び、14の素晴らしい楽曲の上で自身のソングライティングの筋肉を驚異的な新たな方法でほぐしてみせたのだ。
39位 ザ・ウォー・オン・ドラッグス『ア・ディーパー・アンダースタンディング』
愛されることとなった2014年のソフトロックの傑作『ロスト・イン・ザ・ドリーム』に続くものを作るのとなると不可能とも言える難題だが、それにもかわわらず、アダム・グランデュシエルは『ア・ディーパー・アンダースタンディング』でより胸を締め付けるような感情を入れ込み、ブルース・スプリングスティーンに影響を受けたメランコリーな雰囲気をもって、本作を大成功と呼べるものに仕立て上げた。誠実な作品群の中身は変わらず、アップテンポなハイウェイ向きの楽曲(“Holding On”、“Nothing To Find”)となんとも物憂げな楽曲(“Thinking of a Place”、“You Don’t Have To”)が緻密なバランスの上に共存しており、“You Don’t Have To”は今年のベスト・アルバム最終曲のリストでもトップクラスに入るだろう。
38位 アルト・ジェイ『リラクサー』
アルト・ジェイに関することとなると、あらゆることがただただ奇妙になっていく。全8曲からなる本作には、女性と恋に落ちるタスマニア・デビルについて歌ったハンス・ジマーに影響を受けた楽曲がある。力強い低音が響く、メンバー二人の昔についえた片思いについての楽曲もある。セックス・クラブで性交する魔女についての楽曲もある。2012年のマーキュリー・プライズ受賞者から予想していたものではないかもしれないが、ほぼ確実に私たちが必要としていたものなのだ。
37位 ジェイ・Z『4:44』
ジェイ・Zは、多くのことを打ち明ける必要に迫られていた。13作目となった『4:44』は、不貞の疑惑や広く展開してきたタイダルの事業、ジェイ・Zを批判する新たなラッパーたちについて言及されている。オールドスクールなサンプリングに乗せ、安定感のあるフランク・オーシャンがゲスト出演しているほか、“Family Feud”には見出しを賑わせそうなビヨンセの登場もあり、ジェイ・Zはより一層赤裸々に語っている。しかしながら、『4:44』が証明しているのは、楽曲の強さこそが噂の出処に勝ったということだ。
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36位 クリーパー『エターニティー、イン・ユア・アームズ』
もしもロック・バンドでなければ、クリーパーは吸血鬼のミュージカルでスターになっていただろうし、もしくは少なくとも『スクール・オブ・ロック』のよりリスキーなヴァージョンでスターになっていただろう。半分にはミート・ローフの、もう半分にはジェラルド・ウェイの精力が流れるフロントマンのウィル・グールドは、クリーパーの荒々しい野心作『エターニティー、イン・ユア・アームズ』を演劇的な叙事詩として送り出すことに一役買っている。そして何よりも、クリーパーは彼らの壮大な理想に適う楽曲たちを手にした。クリーパーはUKロックに壮麗さと楽しさを復活させ、シーンを一層素晴らしいものに仕立て上げてくれたのだ。
35位 クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ『ヴィランズ』
ジョシュ・ホーミは、ロックンロールを復興させた男であり、現代の音楽における最も有能なコラボレーターの一人だ。アレックス・ターナーからエルトン・ジョンまで、あらゆるスターたちを起用して制作した2013年の『…ライク・クロックワーク』以来、イギー・ポップやマット・ヘルダースらと『ポスト・ポップ・ディプレッション』を共作しているが、『ヴィランズ』はバンドだけで作り上げた初めてのクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのアルバムだ。マーク・ロンソンのみを起用してバンドのグルーヴをより捻くれたものにした本作は、野蛮でありながらも几帳面で機械的という、純正のクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジに仕上がっている。私たちが望んでいた捻くれた愚か者とありとあらゆる野獣たちが潜んでいる。
34位 ムラ・マサ『ムラ・マサ』
若干21歳にして、ムラ・マサことアレックス・クロッサンは既に自身ならではと呼べるサウンドを手にしている。散らかったシンコペーションのリズムと微かに揺らめく楽器音が支配する、エレクトロニックの神童によるセルフタイトルを冠したデビュー作は、聴くやいなや彼のサウンドだと認識でき、一度たりとも退屈することはない。筆頭にくる仲間たちがこぞって参加した『ムラ・マサ』は、紛れもないバンガーに満ちたアルバムである。チャーリーXCXが参加したダンスホール向きの“1 Night”からトロピカルなバーベキュー・ソング“Love$ick”に至るまで、このパーティーは決して終わりを迎えて欲しくないと思ってしまう。
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33位 カサビアン『フォー・クライング・アウト・ラウド』
混沌とした時代のためのパーティー・アルバム『フォー・クライング・アウト・ラウド』は、自分たちなりの幸福感を生み出すために団結した4人の仲間たちによるサウンドである。サージ・ピッツォーノが至福の時を過ごしていた間に、自身の内面の悪魔と葛藤していたトム・ミーガンを背景に、そうした状況に立ち向かうために書かれた本作は、結果として端から端まで、屈託のないバンガーの軍隊を扇動するものとなっている。このアルバムが「ギター・ミュージックを奈落の底から救い出した」かって? それに何の意味があるって言うんだい? まあいい。少なくとも、「Take you all fuckers and blow you away/お前らクソ野郎たちを、全員ぶっ飛ばしてやるよ!」って叫ぼうとしてる奴はいるわけだからね。
32位 プリンセス・ノキア『1992』
2016年に一度ミックステープとしてリリースされた『1992』のデラックス版は、ニューヨークの神童であるプリンセス・ノキアの、楽しくて、くだらない側面への完璧な紹介だ。恐れることなく混沌としていた幼少期の暗いエピソードを掘り下げ、『1992』に収録されている楽曲のそれぞれが彼女の異なる一面を明かしてくれる。学校をサボったことを自慢気に吹聴する“Bart Simpson”然り、“Tomboy”の「小さいオッパイに太ったお腹」というチャント然り、それぞれの曲で、プリンセス・ノキアの過去と現在、彼女の少女期を形成した浮き沈みを包み隠さずに見せてくれているようだ。
31位 テイラー・スウィフト『レピュテーション』
昔のテイラー・スウィフトは死んで、この思いがけない死は、私たちを『レピュテーション』という、紛れもないポップ・ソングで溢れた、罵倒的で、影を投げかけるアルバムへと導いてくれた。ビーフが現在進行中のカニエ・ウエスト夫妻に向けたものと思われる、焼け付くようなディス・ソング“This Is Why We Can’t Have Nice Things”から官能的なエレクトロ・ポップ“Dancing With Our Hands Tied”に至るジャンルの横断によって、本作はテイラー・スウィフトにとってこれまでで最も大胆なアルバムとなっている。
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