(C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

Photo: (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

NME Japanではサマーソニック2017幕張会場、ソニックマニア、HOSTESS CLUB ALL-NIGHTERの出演者のなかからベスト・アクトの1~20位を選んでみました。とはいっても、あれだけ多くのアーティストが出演するフェスティバルです。すべてのアーティストを観ることはできません。なので、あくまで独断で、編集部で観たいと思ったアーティストのなかから、議論を重ねて、このランキングを作成してみました。みなさんのベスト・アクトとぜひ較べてみてください。

20位 スイマーズ(8/20 SONIC STAGE)

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痛快とも言えるライヴだった。ドラマーにグリーン・デイのビリー・ジョーの息子であるジョーイ・アームストロングを擁するスイマーズだが、彼がフロントマンというわけではないものの、バンド全体にビリーの遺伝子が染み渡っていて、観客にハンドクラップを巻き起こすのも、ヘイオーのコール&レスポンスもお手の物。サウンドもアルバムで聴いていた印象に較べて、ストレートな西海岸パンクの香りを漂わせていて、それが絶妙なブッ壊れ方をしていて素晴らしい。終盤の“Figuring It Out”では「オーオオオオ」のコーラスでシンガロングが巻き起こり、最後となった最新作のアルバム・タイトル曲の“Drive North”では巨大なサークルピットを生み出していた。ライヴが終わってもステージを降りて観客とのやりとりを楽しむ姿も含めて、その清々しさに好感が持てるライヴだった。

19位 ライド(8/19 HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER)

Tadamasa Iguchi

Photo: Tadamasa Iguchi


今回のHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERにおける心の中のヘッドライナーだった人も多いのではないか。今年、21年ぶりに新作をリリースしたタイミングでの来日となったライドだが、この日のライヴもその新作の楽曲から始まる。しかし、そこにあるのは再結成の意味を心底理解しているがゆえの抜群の安定感だ。かつてのライドを愛してくれた人たちの期待に応えるその姿勢は新作の曲でもまったくブレていない。そして、“Seagull”、“Dreams Burn Down”と畳み掛ける展開に来ると、その感慨はより一層深くなる。60分というステージの中に名曲たちが凝縮され、終盤は当然のことながら大きな歓声で迎えられることになった“Vapour Trail”から“Drive Blind”という鉄板の流れで、深夜にもかかわらず集まった多くのファンの充足感を心ゆくまで満たしてくれた。

18位 フェニックス(8/20 MOUNTAIN STAGE)

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最初の1曲目こそ最新作『ティ・アーモ』からの“J-Boy”だったが、そこから序盤にもかかわらず“Lasso”、“Entertainment”、“Lisztomania”といった、彼らならではのインディ・アンセムを畳み掛けていく展開に、改めてフェニックスのキャリアの偉大さを痛感する。どこにも属すことなく、ポップを邪険に扱うこともなく、彼らは素晴らしい楽曲だけを生み出し続けてきた。序盤からこんなに飛ばして大丈夫?なんていう杞憂もあったが、振り返ってみれば“Girlfriend”はやってくれたけど、“Long Distance Call”はやってくれないという、なんともいじらしい展開に。そして、お待ちかねの“1901”は若干早いテンポで演奏され、MOUNTAIN STAGEは歓喜の渦に巻き込むことに。そして、紙吹雪の発射で興奮は最高潮に達する。最後のジャムでも観客との間を隔てるフェンスの前までやって来て、貫禄あるステージを締めくくってみせた。

17位 サーカ・ウェーヴス(8/20 MARINE STAGE)

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毎回観る度に素晴らしいバンドだと思うけれど、セカンド・アルバムを経てバンドに力強さが加わって、スタジアムの風景も似合うバンドになっていた。チャートやメディアを派手に賑わす感じではないが、言うまでもなくUKロックの伝統を最も優れた形で今に伝えるバンドだ。それを分かったファンたちがMARINE STAGEには詰めかけている。新作の冒頭を飾る“Wake Up”でスタートし、“Get Away”や“Fossils”といったお馴染みの曲ではアリーナのオーディエンスの身体が大きく揺れ、“Stuck in My Teeth”ではシンガロングも巻き起こる。セカンドからの“Fire That Burns”もきっちりとクライマックスを描き出し、最後はもちろんファンが心待ちにしている“T-Shirt Weather”へ。こういうバンドを夏フェスで観る快感というのはやっぱり格別のものだ。

16位 タキシード(8/19 BEACH STAGE)

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日も陰って来たビーチ・ステージで土曜日のトリを務めたのは、メイヤー・ホーソーンとジェイク・ワンによるタキシードだった。オープニングを飾った“Fux with the Tux“で冒頭からコール&レスポンスが巻き起こると、夜の帳に絶妙にフィットするメイヤー・ホーソーンのセクシーなヴォーカルも相まって、タキシードに身を包んだ二人が奏でるファンキーなグルーヴによって涼しい海風の吹き抜ける夜の砂浜は大人のディスコへと変貌していく。“Number One“や“Do It”での盛り上がりは言うまでもないが、彼らの一貫したコンセプチュアルなステージは終始オーディエンスを惹きつけ続け、観客をその場から離れられなくさせてしまう。同時刻のカルヴィン・ハリスを選ばなかった観客を十二分に満足させてくれたことはもちろん、何よりもタキシードの二人が会場にいた誰よりも楽しそうにパフォーマンスしていたのが印象的だった。

15位 ポンド(8/20 GARDEN STAGE)

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観客の数は多いとは言えなかったが、観た人には鮮烈なものを焼き付けたはずだ。元テーム・インパラのニック・オールブルックをフロントマンに擁するポンドのステージは最新作と同じく“30000 Megatons”で始まった。いきなり1本足立ちで歌い出す様を初めとして、ファンを自身のサイケな磁場に自然と巻き込むようにセクシーかつフリーキーなモーションを繰り出し続けるニックの姿に自然と笑顔になる。中盤の“Sweep Me Off My Feet”などは完全にテーム・インパラを彷彿とさせるが、それが単にフェイクではなく、遺伝子として現在のギター・ミュージックの最新型を背負ったものであることはサウンドが雄弁に語ってみせる。初めてこのバンドで作った曲だという“Don’t Look At The Sun Or You’ll Go Blind”も披露して、新曲も披露。最後は出世作となった前作より“Man It Feels Like Space Again”。次に同じステージに出演したホイットニーのメンバーも興味津々で観ていたのが印象的だった。

14位 ケラー二(8/19 BEACH STAGE)

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まあ存在感がハンパではない。ピンクのショートヘアや全身をビッシリと彩るタトゥーに言及するまでもなく、その場をあっという間に自分のものにしてしまう力を持っている人だ。その音楽的反射神経の高さは音源からも十分に伝わるものだが、いざ目の前で展開され、彼女のパーソナリティと入り混じる時、それはもう一つの様相を見せる。途中の「ミスったからやり直していい?」という奔放な言動もそうだし、映画『スーサイド・スクワッド』のサントラに収録された“Gangsta”で「私にはギャングスタが必要なの」と歌う時も、“Undercover”で中指を突き立てて「クソ食らえよ」と歌う時も、そこではケラーニという人がそのままパフォーマンスとなっていて、それが観ている観客のド真ん中を撃ち抜いていく。それに応じる観客の熱量も高く、「日本のスポティファイで1位になった曲よ」とジー・イージーとの“Good Life”を披露してステージを降りるまで、途中から降り出した雨もなんのその、BEACH STAGEのオーディエンスを魅了し続けていた。

13位 ショバリーダー・ワン(8/18 SONIC MANIA)

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人力ドラムンベースもそれほど珍しいものでもないし、そのバカテクは過去の来日公演で証明済だ。でも、この日の公演を特別なものにしていたのはスクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンの意地にして経験であり、彼にとってのエレクトロニック・ミュージックとライヴ・ミュージックを横断するための媒介こそがベースであることをまざまざと見せつけられる。しかし、あの6弦ベースのフレットを縦横無尽に動き回る変幻自在の音は何なのだろう? いろいろとトラブルもあったようだが、その影響は微塵も感じなかった。冒頭からその圧倒的なテクニックに惹き込まれるが、“A Journey To Reedham (7 AM Mix)”で終演を迎えるまで、釘付けにされたのはトム・ジェンキンソンその人だった。LEDライトのついたゴーグルのその下で、自身の音楽を肉体化して鳴らす喜びの表情をずっと想像していた。

12位 ブラッド・オレンジ(8/19 SONIC STAGE)

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ライトスピード・チャンピオンの頃からそのクリエイター気質を爆発させていたブラッド・オレンジことデヴ・ハインズだが、ステージの上ではすっかり見事なエンタテイナーに変貌を遂げてしまうのが素晴らしい。バンダナキャップをはじめ全身を黒で統一したそのファッションからも気品がにじみ出ている。時に自らギターのカッティングを披露し、時にムーン・ダンスっぽいステップを踏んでみせ、時にステージ上をくまなく軽やかに歩き回る。どうしても、その背後に思い浮かべてしまうのはプリンスの存在である。序盤に“Augustine”、ショウの後半のクライマックスでは“Best To You”や“E.V.P.”など、素晴らしい最新作『フリータウン・サウンド』の楽曲がセットリストの中心となったが、なんと新曲までをも披露してくれる。凄腕でありながら、デヴ・ハインズによる繊細な制御の効いたバンドのサウンドは彼の知性をそのまま反映していた。

11位 アクスウェル Λ イングロッソ(8/20 MOUNTAIN STAGE)

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フー・ファイターズとSUM 41の裏ということもあり、オーディエンスが多いとは言えなかったものの、EDMシーンの創成に貢献した元スウェディッシュ・ハウス・マフィアのアクスウェルとセバスチャン・イングロッソは、豊富な経験に裏付けられた確かな実力をもって、MOUNTAIN STAGEをフィナーレの場に選んだ人々に最高のクライマックスを提供してくれた。一曲目の“How Do You Feel Right Now“から全力投球の彼らは、早々からイングロッソがターンテーブルの上に立って観客を煽動し、炎の演出だって出し惜しみしない。2人名義の楽曲を中心に、スウェディッシュ・ハウス・マフィア時代のアンセムのマッシュアップなんかも披露してくれる。シーンの先頭に立ってEDMの隆盛を支えてきた彼らだからこそ生み出すことできる最高に現代的なレイヴがそこにはあった。

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