Shintaro Yamanaka(Qsyum!)/ PRESS

Photo: Shintaro Yamanaka(Qsyum!)/ PRESS

先月から日本で開催されている回顧展「DAVID BOWIE is」は、後世に語り継がれるべき偉大な展覧会と呼べるだろう。着用した衣装の数々から、ボウイ自身による1点限りの品々のコレクションに至るまで、偉大なアーティストとして払われて然るべき敬意をもって集められている。人生そのものがショウのようだったボウイのことだ、この回顧展をまでもがそれを反映している。そんな回顧展について「デヴィッド・ボウイの回顧展『DAVID BOWIE is』から学んだ25のこと」をここに紹介しよう。

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1. ボウイが『ネイサン・アドラーの日記』を中断した理由

1995年に発表された『アウトサイド』は当初、ボウイ自身が執筆した小説『ネイサン・アドラーの日記』をモチーフにした、1999年の12月まで続く作品集の一つとされていた(結局、続編となるアルバムが作られることはなかった)。ボウイは直筆のメモにこう記している。「今や歴史など幻想に過ぎない。それゆえに理論上、もはや未来など存在しないんだ。今日という日しかないんだよ」

2. ボウイとチベットの関係性

T・レックスのサポート・アクトを務めていた60年代末、ボウイは、『イェット-サン・アンド・ジ・イーグル(孫文と鷲)』と題した中国政府によるチベット支配を題材にしたパントマイムをパフォーマンスしている。まだメインストリームで成功を収める前の話だ。

3. ボウイは伝統的な手法で音楽を書く

ボウイは楽曲の多くの詳細をすべてメモしている。回顧展では、“London Boys”や“The Laughing Gnome”、“Liza Jane”等の初期の楽曲から、“Fame”を初めとした70年代以降の楽曲のメモまで展示されている。

4. 「チャート上位のアーティスト」が好き

60年代に出されたプレスリリースの中で、デヴィッド・ボウイは以下のように語っている。「シングルは絶対に買わないけど、ジミ・ヘンドリックスとかクリームとか、あとチャート上位のアーティストのパフォーマンスを観るのは好きだよ」

5. ボールペンも好き

ボウイはアルバムの多くで、コンセプトのあるスケッチを手がけている。それも大抵はボールペンで。

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6. 衣装の暑さに耐えることも

今回の展覧会には1973年の「アラジン・セイン・ツアー」の衣装をはじめ、膝の部分が大きく広がった、かの有名な「トーキョーポップ」のボディスーツも展示されている。この衣装については「僕が求めていたものすべて……斬新で、挑発的で、照明の下で着るには信じがたいほど暑い」とも。

7. 言うまでもないかもしれないが……

『スケアリー・モンスターズ』のオリジナル・アートワークは美しい。そして巨大である。

8. “Andy Warhol”に対するウォーホルの思い

アンディ・ウォーホルは、ボウイの楽曲“Andy Warhol”を好ましく思っていなかったという。二人が顔を合わせたのは「気まずい」雰囲気の中での一度だけだった。

9. 早くから言語アプリケーションを使用

90年代の半ば、ボウイは“Verbalizer”と呼ばれるアップルのプログラムを用いて歌詞を書き上げた。”Verbalizer”は、インプットされた文章をランダムに抽出するソフトウェアである。

10. これを手にすることになったら

『ジギー・スターダスト』のコンセプトを構築するに当たって、ボウイは短いフレーズをカードゲームサイズの紙に書き込んでいる。カードに書かれていたのは以下のようなスローガンたちだ。「ジギーが輝く」、「世に送り出すんだ」、「ヒット・アルバム」、「親の目線」

11. “Arse”と”Ass”

直筆の“Ziggy Stardust”の歌詞には、“He was the nazz / With god-given arse”と書いているボウイだが、歌う際は韻が踏みやすいようアメリカ発音の”ass”と歌っている。

12. “Fashion”の原型

楽曲“Fashion”には元々、次のような歌詞が含まれていた。「He’s up ahead/Burn a flag/Shake a fist/Start a fight/If you’re covered in blood/you’re doing it right(彼はこの先にいる/旗を燃やせ/拳を振れ/戦いを始めよう/もし君が血まみれなら、上手くやれてるってことさ)」

13. 『ダイアモンドの犬』のアートワークにぼかしがかかっている理由

ギィ・ペラートによる、半分ボウイ・半分犬の姿をした生物にはもともと、犬の局部が描かれていた。リリースに際してぼかされてしまったが、回顧展では無修正版が見られる。

14. 失われた歌詞

楽曲“Station To Station”には元々こんな歌詞が含まれていた。「You love like a bomb/You smell like a ghost(君の愛はまるで爆弾/君からは幽霊みたいな香りがする」

15. 『ザ・ネクスト・デイ』のジャケットには他に候補があった

象徴的なアルバム・ジャケットの一つとなっている『ザ・ネクスト・デイ』のアートワークだが、顔の一部を切り取られたボウイという現在のデザインが採用される前に、幾つかのデザイン候補が存在していた。そのうちの一つは、ぼんやりとしたミッキー・マウスのシルエットを彷彿とさせる、3つの黒い点で構成された不鮮明なピンナップ。さらには『アラジン・セイン』をベースとしたデザインも。

16. レディー・ボウイ

初めてアメリカに行った際、男性用の服を着ていたボウイは、ロサンゼルスの「ドラァグクイーンお断り」のレストランに入れなかったという。

17. あの恐ろしい一品も

“Where Are We Now”に登場するパペットは、近くで見るとかなり怖い。悪夢で会おう、テディ・ボウイ!

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18. ボウイはピエロを愛している

ボウイは、キャリアを通して自身のイメージとしてしばしば形容される「ピエロ」について「サーカスで一番美しい道化」と語っている。

19. 「ステイション・トゥ・ステイション・ツアー」のオリジナル・セット

「ステイション・トゥ・ステイション・ツアー」のステージには元々、ファウンド・オブジェクトで作られた3メートル弱のパペットが置かれる予定だった。ボウイは最終的にその案を白紙に戻し、白く光る棒のみというミニマルなステージを採用した。

20. 絵描きとしての才能

ボウイがベルリン時代に描いたフランシス・ベーコンを彷彿とさせる絵画は見事だ。特にイギー・ポップを描いた作品は素晴らしい。

21. コカイン用スプーンは必需品

ボウイは『ダイアモンドの犬』のレコーディング中、肌身離さず小さなコカイン用のスプーンを持ち歩いていた。

22. ボウイとトニー・ヴィスコンティ

ボウイは『ヤング・アメリカンズ』についての直筆の制作メモで、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティに「1969年に戻ってくれ」と求めている。

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23. テクノロジーから見たアイデンティティ

異彩を放っていた70年代初期のステージについて、ボウイは記者にこう語っていた。「ラジオのふりをするような人間じゃない。それよりも、ステージに出て行ってテレビになりたいんだ」

24. 「エレファント・マン」

ブロードウェイの「エレファント・マン」にボウイが出演していた頃、マーク・チャップマンはそのチケットを買っていたという。それもジョン・レノン暗殺の翌晩のチケットを。

25. ジム・ヘンソンからのリクエスト

ジム・ヘンソンからボウイに送られた『ラビリンス 魔王の迷宮』の脚本には、手書きのメモが添えられていた。「君はこの映画で本当に上手くやってくれるはずさ」。そして、まさにボウイはやってみせたのだ。

回顧展「DAVID BOWIE is」は4月9日まで開催されており、各日当日券での入場も可能となっている。

展覧会の詳細は以下の通り。

展覧会名:「DAVID BOWIE is」
会期:2017年1月8日(日)~4月9日(日)
会場:寺田倉庫G1ビル(東京都品川区東品川二丁目6番10号)
休館日:毎週月曜日
開始時間:[火・水・木・土・日・祝] 10:00~20:00 (最終入場19:00)、[金] 10:00~21:00 (最終入場20:00)
主催:DAVID BOWIE is 日本展実行委員会
企画:ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)
チケット料⾦(税込):<⼀般>前売¥2,200 / 当⽇¥2,400
<中学⽣・⾼校⽣>前売¥1,000 / 当⽇¥1,200
<2月平日限定入場券>¥2,600 ※前売りのみのお取り扱いとなります。

更なる詳細は以下のサイトで御確認ください。

http://www.DAVIDBOWIEis.jp

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