05位 ワンリパブリック(8/17 MARINE STAGE)
口笛のSEからメンバーがステージに登場して、そのまま1曲目の“I Ain’t Worried”に入っていく。フロントマンのライアン・テダーはキャップにミラーサングラスという姿で、イメージを裏切らない。3曲目は“Nobody”で、LEDにはアニメ『怪獣8号』の映像も映し出される。途中で披露されたカラオケタイムに顕著な通り、ライアン・テダーという人は今、最も仕事の多いソングライターの1人だ。ビヨンセの“Halo”、レオナ・ルイスの“Bleeding Love”、マルーン5の“Maps”、テイト・マクレーの“Greedy”がここでは披露されたが、アデルにテイラーにビーバーに枚挙に暇がない。ピアノ・バラードの“Apologize”を経て、ライヴは終盤へと入っていき、“Sunshine”が披露される頃にはライアン・テダーのTシャツはすっかり汗で染まっている。当然、ハイライトに待ち受けるのは“Counting Stars”だが、スター作曲家としての顔の裏で、酷暑のせいか、この日はサングラスの下に人間ライアン・テダーの顔が少し見えた気がした。
04位 フェニックス(8/16 SONIC STAGE)
オリンピックの閉会式で一躍、時の人となったタイミングだったが、それとはまったく別でパフォーマンスとしての完成度に心奪われるステージだった。1曲目は人気曲“Lisztomania”でスタートだったのだが、バックには丘陵地帯の湖畔のような風景が精細に描かれていて、まるで芝居の書き割りのようだ。“Entertainment”に“Lasso”と前半から飛ばしていくような楽曲が続いていくが、どこか非現実感を感じるのは次々と変わっていく舞台セットのような背景のせいだろうか。そこから近年の楽曲を演奏しつつ、やっぱりこの日もギアを変えたのはインストゥルメンタルの“Sunskrupt!”で、果てしなく遠い距離と果てしなく近い距離を描いた映像で、すっかりステージを現実とも映像とも違う、演劇的な観念の世界に引きずり込んでいく。しかし、それをあくまでポップに祝福してみせるのがフェニックス流で、“Trying to Be Cool”も“1901”も深遠さをもって輝いていた。
03位 ブリング・ミー・ザ・ホライズン(8/18 MARINE STAGE)
『ポスト・ヒューマン』期にすっかりお馴染みとなったイヴのAIの演出からライヴは“DArkSide”で始まった。「あなたたちのモッシュピットはこんなものじゃないでしょう」というイヴの言葉に呼応するように“Happy Song”ではウォール・オブ・デスが出来上がり、“MANTRA”ではシンガロングが起こる。イヴによる物語が進むなか、“liMOusIne”では自分のステージが開演20分前のオーロラが登場して、世界初共演を披露し、“Kingslayer”ではBABYMETALが登場してヘッドバンギングを決める。観客にヴォーカルを任せる“Antivist”を経て、“Follow You”でオリヴァー・サイクスは「顔を見せてくれ」と言っていたけれど、この日ヴィジョンに何度も映し出されていたのは観客の姿で、様々なものに引き裂かれながらオーディエンスと共にここまで来たのがこのバンドだと思う。アンコール前にはキャリアを振り返る映像もあったけれど、まだまだこのバンドは闘いが終わらない宿命にある、そんなことを感じた夜だった。
02位 マネスキン(8/17 MARINE STAGE)
イノセントなロックをやるバンドだとつくづく思う。そんな彼らがヘッドライナーとしてスタジアムを埋める人を集めた。それが今年のサマーソニックでは大きな事実だったと思う。“Don’t Wanna Sleep”で始まったライヴは、ロック・バンドとしてのイメージを全面的に引き受けたものだった。スタジアムという舞台を活かしてメンバーは大きくステージを動き回り、客席まで降りることもいとわず、インストゥルメンタルによるセッション風の楽曲のイントロダクションがもうけられ、ドラムとベースによるソロ・パートも披露される。それを彩るのはキャリアを形作ってきた楽曲で、ユーロヴィジョンの優勝に導いた“Zitti E Buoni”も、“Beggin’”のカヴァーも、“In Nome Del Padre”も、そのパフォーマンスをどんどんドライヴさせていく。アンコールの最後は本編でも演奏された“I Wanna Be Your Slave”だったが、そのリプリーズにはマネスキンというバンドの気持ちの良さが表れていた。
01位 ブリーチャーズ(8/17 SONIC STAGE)
「FROM THE STUDIO TO THE STAGE」、バックに映し出されたのはシンプルな言葉だったが、その通りのライヴだった。世界最高峰のプロデューサーがスタジオを出て、ロックンロールを愛してやまない思いを胸にステージに立つ。そんな情景が冒頭を飾った“I Am Right on Time”のイントロからだけでも伝わってくる。2曲目に早くも披露されたのは“Modern Girl”で、イントロからサックスが炸裂すると、思わずジャック・アントノフの故郷であるニュージャージーに思いを馳せてしまう。“Jesus Is Dead”では観客を座らせ、“How Dare You Want More”ではサックス・ソロがハイライトを描き出し、“Rollercoaster”では始まる前に観客に肩車をするように何度も呼びかける。“I Wanna Get Better”でもハンドクラップを促していたが、最後の“Stop Making This Hurt”まで、デジタル時代に最も評価を集めるプロデューサーが見せていたのは、伝えるためなら愚直なまでにアナログなコミュニケーションを取る姿だった。
広告 【独占配信】エミー賞®史上最多18部門受賞の歴史的快挙!真田広之主演&プロデュース「SHOGUN 将軍」をディズニープラスで見る
Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.
関連タグ