10位 オリヴィア・ディーン(8/18 SONIC STAGE)

Photo: (C)SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.


幕張メッセの左右真ん中に位置する屋内ステージのSONIC STAGEだが、オリヴィア・ディーンの淡いグリーンのワンピース姿とも相俟って、終始さわやかな風が吹いているようなライヴだった。ホーン隊の3人を含む7人のバンドを引き連れて初来日のステージに上がった彼女だが、オープニングを飾ることとなった“OK Love You Bye”からUKらしい憂いのある上質なR&Bを聴かせてくれる。「一つだけ約束があるの。それは楽しんで!ということ」というMCから始まったのは“Danger”で、デビュー・アルバムのタイトル曲である“Messy”、自らアコースティック・ギターを手に取った最新シングル“Time”を挟んで、“Ladies Room”では鮮やかなグルーヴを客席に広げてみせる。その洗練されたサウンドは、変化を受け入れることを歌ったアンセム“The Hardest Part”で後半に入っても変わることがなく、ホーン隊が見せ場を作った“Carmen”を経て、最後に披露されたのは“Dive”で、その終始ポジティヴな笑顔が印象的だった。

09位 ベル・アンド・セバスチャン(8/17 SONIC STAGE)

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開演時刻になると、メンバーがぞろぞろとステージに入ってくる。この何一つエンタメ化されていない、あるがままの佇まいがベルセバならではだなと思う。ライヴは“I’m a Cuckoo”からさらりと始まって、スティーヴィー・ジャクソンがヴォーカルを務める最新作の“So in the Moment”を挟み、序盤で早くも名作『天使のため息』から“Get Me Away From Here, I’m Dying”が披露される。しかし、この日のライヴを世界的に見ても特別なものにしていたのは、なんといっても連続テレビ小説『虎に翼』で使用されている森優太による“You Are So Amazing”が披露されたことだろう。ドラマの映像まで使われたパフォーマンスの後は“The Boy With the Arab Strap”で観客をステージに上げて、“Dear Catastrophe Waitress”でスチュアート・マードックが自らのメールアドレスを口にするという彼ららしい展開で、次の来日にも言及しながら最後に披露されたのは“Judy and the Dream of Horses”だった。

08位 オーロラ(8/18 SONIC STAGE)

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直前までMARINE STAGEでパフォーマンスを行っているという連絡が入るが、オンタイムで暗転したステージは最新作『ホワット・ハプンド・トゥ・ザ・ハート?』の“Some Type of Skin”で幕を開けることになった。唯一無二と言えるその声を早くも堪能させてもらったところに“The Forbidden Fruits of Eden”や“Heathens”が続き、“The Blade”のロック色の強いパフォーマンスで熱量を上げて投下されたのがキラー・チューン“Cure for Me”だった。オーロラはステージを端から端まで回っていき、曲が終わると大きな歓声が起こる。“Exist for Love”と“When The Dark Dresses Lightly”ではコーラスを左右に従え、デビュー曲“Runaway”も中盤で披露されるが、この曲がもはや少し牧歌的に聴こえる。そこからは荘厳な“The Seed”から“Starvation”、フロア・アンセムとしての“Queendom”という展開で、キャラクターやイメージが先行しがちな彼女のアーティストとしての着実な成長を感じたステージだった。

07位 タイラ(8/18 MOUNTAIN STAGE)

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ステージに鎮座する虎のオブジェがこのアーティストの出自を雄弁に物語っている。このオブジェにとどまらず、次々とステージに登場するダンサーのトライバルな動きも含めて、アフリカン・ポップスターを自称するタイラの魅力が存分に発揮されることになった今回の初来日のステージだが、それ以上に強く印象に残ったのは普遍的なポップ・ミュージックとしての強度の高さのほうだった。デビュー・アルバムに収録されている“Safer”でステージは幕を開け、“On My Body”や“Ke Shy”ではMOUNTAIN STAGEがエキゾチックな雰囲気に包まれるのだけど、ステージの縁に腰掛けた“On and On”やシングル“ART”に入る頃には、シンガー/パフォーマーとしての実力がそれを上回ってくる。“To Last”ではオーディエンスにジャンプを求め、“Truth or Dare”では歌い手としての健全な色気が花開く。最後に披露されたのは“Jump”から代表曲の“Water”という流れで、ペットボトルの水を身体に浴びる彼女に瑞々しい未来を感じていた。

06位 クリスティーナ・アギレラ(8/18 MARINE STAGE)

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電子音のエフェクトから本人をデフォルメしたガーリーなイントロ映像を受けて、ダンサーと共にサングラス姿のクリスティーナ・アギレラが颯爽と登場して、即座に炎と煙が立ち上がる。このクラスのアーティストということもあってショウとしての完成度はさすがで、“Dirrty”から“Can’t Hold Us Down”と、多くのアーティストにとって一つの結節点となった名作『ストリップト』の楽曲ですっかりスタジアムを飲み込んでいく。“Biopic”に“Vanity”というアグレッシヴな展開でようやくサングラスを外した後は、デビュー作から25年という節目に言及しながら“Genie in a Bottle”と“What a Girl Wants”が続いていく。ここからは“Ain’t No Other Man”もあれば、映画を彩った曲もあり、そして“Beautiful”と“Fighter”というキャリアを代表する楽曲が待ち受けるという鉄壁の展開だったのだが、この人のライヴを観る度に圧倒されるのはその爆発力で、今回も一流のスタッフでしか実現しない驚異的なサウンドがスタジアムで鳴っていた。

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