15位 ニア・アーカイヴス(8/16 PACIFIC STAGE)
サマーソニックでは急遽ピンクパンサレスの枠にも出演することになったニア・アーカイヴスだが、すべてを一人でやってのけるDIY精神溢れるステージは清々しく、鮮烈な印象を残すものだった。1時間に及ぶステージはDJからのスタートで、自身の楽曲“Off Wiv Ya Headz”にヤー・ヤー・ヤーズの“Heads Will Roll”をマッシュアップしてみたり、グウェン・ステファニーの“Hollaback Girl”を投下してみたりと、ジャングル全開のプレイで20分近くにわたってフロアをあたためたところで、いよいよマイクを手に取ってライヴに入っていく。“So Tell Me…”のしっとりとした雰囲気で始まって、ここからは一気に“Cards on the Table”、“Silence Is Loud”、“Unfinished Business”と、デビュー・アルバムの楽曲で熱狂を生み出していく。後半は“Bad Gyalz”や“Mash Up the Dance”といったシングル曲で、最後はDJを挟んでからの“Baianá”だったのだが、全体として親しみを持てるパーソナリティが伝わってくるステージだった。
14位 ヤング・ファーザーズ(8/16 SONIC STAGE)
前夜祭とも言えるソニックマニアで海外アーティストとして一番手となったヤング・ファーザーズだが、ライヴは呪術的な響きもある“Queen Is Dead”から始まった。社会問題を扱う政治的な作風で知られる彼らだけれど、だからこそ即座に歓喜に走ることはない。“Get Up”や“Wow”といった新旧の楽曲を織り交ぜながら、リズムを主体にゆっくりとフロアをあたためていく。流れが変わったのは“In My View”から“Drum”あたりからだろうか。最新作『ヘヴィ・ヘヴィ』はヤング・ファーザーズのパレットに新たな色彩を与えることになったと思うのだけれど、アップテンポのリズムが共感とも言える感情を広げていく。そこからは“Rice”や“Geronimo”といった最新作の曲を畳み掛けていく展開で、ケイアス・バンコールがテレビカメラを担いで自ら撮影する一幕もありながら、最後は“I Saw”と“Toy”というキャリアでも最近の楽曲がライヴのハイライトとなる理想的とも言える展開になっていた。
13位 リル・ヨッティ(8/17 SONIC STAGE)
振り返ってみれば、昨年リリースの話題作『レッツ・スタート・ヒア.』からの曲はほとんど披露されなかったが、リル・ヨッティという人の音楽的な真摯さが伝わってくるステージだった。『レッツ・スタート・ヒア.』以降、驚異的なペースでリリースを続けている彼だが、ライヴは“Hate Me”に“Point Me To It”、“A Cold Sunday”と今年に入ってからの曲で口火を切ってみせる。ピットを作って始まった“Slide”以降は“Yacht Club”や“NBAYoungBoat”など、キャリアを遡っていく形となり、この日の大きなピークとなったのは“Coffin”を経て、“Minnesota”、“Broccoli”、“iSpy”という彼らしい遊び心のあるキャッチーなフロウが炸裂した展開だった。その後は“1 Night”や“BOOM!”を挟みながらも、最後はコンクリート・ボーイズの曲が続く展開で、アンコールの“We Saw The Sun”まで、ショウ・パフォーマンスとしてのお約束などなく、今の自分を見せつけるステージだった。
12位 メジャー・レイザー(8/16 MOUNTAIN STAGE)
ソニックマニアの深夜帯ということで、お祭り男たちの本領発揮だろう。のっけから紙テープにスモークという特殊効果で、フロアをアンダーワールドとはまったく違うカラーに染め上げてみせたメジャー・レイザーだったが、序盤は“Cold Water”あたりで山場を作りながら、矢継ぎ早の展開でフロアの熱を上げて、ビヨンセの“Run The World”で一気にクライマックスを作り、ニッキー・ミナージュの“Starship”ではシンガロングも巻き起こしてトドメを刺していく。中盤から後半にかけては徐々にレゲエの濃度を上げていく展開で、ダンサーの動きもどんどん奔放になっていき、定番と言える“Heads Will Roll The Bass”では観客を座らせたりして、全体を巻き込みながらフロアの熱量をさらに上げていく。ディプロのプレイを観る度に思うのはジャンルをものともしないミックスの見事さで、ダンスホール・レゲエとしてのアウトプットがあくまでこの形であり、その切れ味は久しぶりでもまったく落ちていなかった。
11位 アンダーワールド(8/16 MOUNTAIN STAGE)
アルカのライヴを最後まで観て途中から駆けつけることになったのだけど、多くの人がステージには詰めかけている。一つ前にMOUNTAIN STAGEに出演したサカナクションとはかねてからの関係性があって、そんなサカナクションが完全復活を遂げて、バトンを受け取る形となった。“and the colour red”や“Denver Luna”といった近年にリリースされた楽曲でカール・ハイドがフロントマンの役割を背負ってオーディエンスを牽引しつつも、やっぱりハイライトを生み出していったのは往年の楽曲で、“King of Snake”に入ると、俄然フロアは熱を帯びていく。アンダーワールドのライヴを体験する度に実感するのは、その硬質なビートと長いシーケンスによっていろいろなものが整えられていく感覚で、当然のことながら、その果てにあるのは眩い光と共に始まるあのアンセムであり、その光景はすっかりこの国に根付いたものとなっていた。
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