10位 ブラック・カントリー・ニュー・ロード(7/31 WHITE STAGE)

Kazuma Kobayashi

Photo: Kazuma Kobayashi


今年2月、新作リリースの直前に中心人物のアイザック・ウッドが脱退したこともあり、ブラック・カントリー・ニュー・ロードは最新のライヴでは過去の曲は一切演奏せず、新曲のみを演奏する方針を取っている。1曲目に演奏された“Up Song”にも「私たちが一緒にやったことを見てほしい。ブラック・カントリー・ニュー・ロードの友人は永遠だ」というリフレインがあり、これは自分たちへの決意表明なのだろう。正直、これまではアンダーワールドのカール・ハイドの娘がメンバーだったりもして、ケンブリッジシャーの怪童というか、小憎たらしい連中なんだろうなと思っていたのだが、その垢抜けたアンサンブルで綱渡り的にライヴを成立させていく様は印象を一変させるのに十分で、全8曲、最後の“Dancers”を演奏し終えた時にはベース/ヴォーカルのタイラー・ハイドの目には涙があった。この瞬間にしか見られない刹那の魅力が詰まっていたライヴだった。

9位 ボノボ(7/29 WHITE STAGE)

Masanori Naruse

Photo: Masanori Naruse


今年1月に通算7作目となる最新作『フラグメンツ』をリリースしたボノボだが、今年のフジロックのステージの前半を彩ったのはその最新作からの楽曲だった。荘厳なストリングスがフィーチャーされた“Polyghost”で幕を開け、軽快な“Rosewood”に続いて“Tides”や“Shadows”ではヴォーカリストのニコール・ミグリスが登場し、音源で完成されていた世界にギター、ドラム、キーボード、3人のホーンセクションからなるバンドによって肉体性を与えていく。2010年発表の『ブラック・サンズ』に収録の“Kiara”からセットリストは他の作品へと開かれていき、“Cirrus”や“We Could Forever”を初め、1人で演奏した“Linked”なども演奏されたが、終盤にハイライトを飾ったのは再び最新作の曲だった。“Age Of Phase”に続いて“Otomo”が演奏されて、最終盤に演奏されたのは代表曲である“Kerala”だった。その完成度の高いパフォーマンスを期待通りに決める姿は職人のようだった。

8位 アーロ・パークス(7/30 RED MARQUEE)

Taio Konishi

Photo: Taio Konishi


昨年リリースしたデビュー・アルバム『コラプスド・イン・サンビームズ』がマーキュリー・プライズを受賞したこともあり、最も観たいアクトの一つだった。途中から観ることができたのだけど、ステージに設置されたたくさんのひまわりを見て、これぞアーロ・パークスだと思う。彼女は「バランス」という言葉をよく使うのだけれど、鬱の友人を助けようとしたことを歌った“Black Dog”、「いつまでもこんなにつらいわけじゃない」と歌う“Hurt”など、シリアスなことを歌うために、あくまでもやわらかくポジティヴに楽曲にアプローチしてみせる。心地よい浮遊感のある“Too Good”、EPに収録された比較的初期の楽曲である“Sophie”、「あなたは一人じゃない」と歌う“Hope”に続いて、最後にハイライトを作ることになったのはデビュー・アルバム後の最新シングル“Softly”だった。こうした歌の力は同じくレッド・マーキーで観たシドにも感じた。

7位 ジェイペグマフィア(7/29 WHITE STAGE)

初日にフジロックフェスティバル全体に大きな勢いを与えてくれたのが、このアクトと言っていいかもしれない。炎天下の中でトヨタのつなぎを着て登場した時点で日本の観客にアピールしたいという姿勢を見せてくれたのがジェイペグマフィアだった。自らトラックをかけるスタイルで1曲目に披露されたのは“Jesus Forgive Me, I Am a Thot”で、3曲目に披露された“BALD!”では「ハゲの人いる? 声を上げて」というMCで語りかけて、すっかりキャラクターを浸透させている。アカペラで曲を披露するよと言ってカーリー・レイ・ジェプセンの“Call Me Maybe”のカヴァーで爆笑をかっさらったり、「暑くてファックだ」と通訳に伝えさせたりとやりたい放題で会場を巻き込み、後半は出世作『ヴェテラン』や『LP!』の楽曲をたたみかけて、最後はフィーチャリングで参加していたブロックハンプトンの“Chain On”で締めくくるという挨拶代わりにして集大成と言えるステージだった。

6位 ヴァンパイア・ウィークエンド(7/29 GREEN STAGE)

Taio Konishi

Photo: Taio Konishi


2018年の時の同様、今回もAC/DCが一つの鍵を握ることになった。プリミティヴなロックの醍醐味をどう洗練された形で伝えるかというのがヴァンパイア・ウィークエンドの一貫したテーマだったわけだが、今回はトラブルにも巻き込まれることになった。最初の3曲の出音が不安定というPA周りの問題が発生し、ライヴは一時中断されることになる。その間もかかっていたのはAC/DCで、MCでエズラ・クーニグは「サンキュー、AC/DC」とつぶやいてみせる。しかし、再開してからがすごかった。鉄壁のディスコグラフィーを誇るバンドだけに、“Cape Cod Kwassa Kwassa”、“Step”といったすっかりクラシックとなった楽曲が披露されていき、最新作の締めくくりのライヴとなることもあって、『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』の曲もハイライトを描き出す。最後に演奏されたのはボブ・ディランの“Jokerman”のカヴァーで、これで次に向けたピリオドを打ったのだった。

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