今年も音楽業界は様々なバズを生み出すことになったが、そのなかでもリスナーの注目と好奇心を掻き立てたマーケティング戦略を11例御紹介する。好感を持ったものも、逆に戸惑いを持ったものもあるだろうが、それはこの年末にぜひあなたの目で判断してほしい。
1.ストーン・ローゼズのレモン
Have you seen the #StoneRoses lemons appearing in Manchester? Shop staff are keeping the poster’s meaning secret… pic.twitter.com/nOQL5B3P97
— BBC Radio 5 Live (@bbc5live) November 2, 2015
マンチェスターに現れた#StoneRosesのレモンをもう見ましたか? 店員によると、ポスターの意味は秘密だそうです……。
11月2日、マンチェスターの街角に16枚ものレモンのポスターが突然貼り出された時、ファンはそこに何らかの意味が込められているのではないかと期待を掛けて、その場にくぎ付けになってしまった。おそらく2016年に何かがあるのだろうが、それは何なのだろうか?
彼らはすぐにこのポスターの種明かしをした。その夜、ストーン・ローゼズは2016年7月にマンチェスター・シティのエティハド・スタジアムでの大規模ライヴ2公演を開催することと、野外ロック・フェスのT・イン・ザ・パークへ出演することを共に発表している。その翌日には、タブロイド各紙がアルバムもリリースされるであろうと報道した。これに対するコメントはないが、ストーン・ローゼズのアルバムはすでに2016年のマーキュリー賞候補になっている。
11月の下旬には、ストーン・ローゼズのトリビュートバンドが、関心を惹きつけるためにこのレモンのポスターを用いてドンカスターで開催する自分たちのライヴを告知したので、ファンは再び引っかかってしまった。
Are @thestoneroses set to play a secret warm-up gig in Doncaster? #stoneroses https://t.co/K3fYdIqY3M pic.twitter.com/piPIQm2Nn0
— Darren Burke (@DarrenBurkeSYN) November 24, 2015
@thestonerosesはドンカスターで肩慣らしのライヴをこっそりやる予定なのか?#stoneroses
2.コールドプレイの静かなバズ
クリス・マーティンが#GlobalCitizenFestivalで着ていたTシャツ vs. ロンドン地下鉄にあった#AHeadFullofDreamsだと思われるアートワーク #Coldplay #December4th
ロンドン地下鉄の広告に不思議なアートワークが貼り出された時、コールドプレイのファンは、フロントマンのクリス・マーティンが数カ月前に着ていたシャツに同じようなマークがあったことに気付いた。
このファンの予想は正解で、数日後にはバンドがツイッターで無言のまま認めている。
— Coldplay (@coldplay) November 2, 2015
アルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』のリリース10日前には、収録曲が試聴できるアニメーションがインスタグラムやツイッターに投稿されて、かなりのバズを生み出している。
3.TLCのキックスターター
おそらく、クレイグ・デイヴィッドが復帰したように、懐かしの音楽復活の波に乗ろうとしたのだろう。TLCはクラウドファンディングのキックスターターを行い、寄付を募るためのビデオを投稿している。キックスターターでは目標金額15万ドル(約1,800万円)を掲げていたが、ケイティ・ペリーが5,000ドル(約60万円)を寄付したこともあって、ほぼ3倍の43万255ドル(約5,200万円)を集めることに成功している。
TLCは9月に、このアルバムは2016年まではリリースされないと発言していて、ファンはかなり辛辣な反応を返している。それでも、広告としては宣伝効果があった。そうだろう?
When do you think #TLC will drop just a single from the Kickstarter album? A,2016 B,2017 C,2020 D,Never pic.twitter.com/pwBVrFbNSi
— RightOnTV (@RightOnTV) December 12, 2015
#TLCがキックスターターで募ったアルバムから1曲でも発表されるのはいつになる?
A、2016年 B、2017年 C、2020年 D、出ない
4.リアーナの『Anti』リリースの焦らし作戦
Quiet year no album pic.twitter.com/b3udHuMuO6
— Sam Wolfson (@samwolfson) October 6, 2015
アルバム無しの静かな年
こちらもアルバムを出さないミュージシャンで、リアーナは2015年を8枚目となるニュー・アルバム『Anti』の先行情報を少し出しただけで、後は誰かれ構わず口喧嘩を吹っ掛けて回っている。『アンアポロジェティック』のリリースからは3年経過したが、彼女はかつて年1枚のペースでアルバムをリリースしていた。何が起きているのだろうか?
確かに、“FourFiveSeconds”をカニエ・ウェスト、ポール・マッカートニーとのコラボレーションでリリースしている。ただし、これは1月だ。その次は、“American Oxygen”、そして“Bitch Better Have My Money”を発表した。これら3曲はそれぞれミュージック・ビデオが制作されていて、それぞれに異なった世界観となっている。
また、ディオールのコマーシャルにも出演し、音楽も自身が手掛けている(この上にあるCMではフローレンス・アンド・ザ・マシーンのトラックをサンプリングしている)。そして、4月20日には、酔っ払いのように唐突に“James Joint”を発表している。
“James Joint”のミュージック・ビデオはこちらから。
https://youtu.be/EfJOJ0jYf2I”
それから、サムスンの提供で特別サイト「AntiDiary」を立ち上げた。このサイトは、スマートフォンから閲覧すると彼女の古いベッドルームでヒント探しをすることができる。
Welcome to room 5 of the #ANTIdiaRy: https://t.co/uJ0CLlhoaS pic.twitter.com/SIt1bmQJHQ
— Rihanna (@rihanna) December 16, 2015
the #ANTIdiaRy:のルーム5へようこそ http://smarturl.it/AntidiaRyTW
pic.twitter.com/SIt1bmQJHQ
基本的には、何が起こっているかのヒントはない。そして彼女のマーケティング・キャンペーンはだいぶ混乱しているが、皆は彼女のことを話題にし続けた。上手いやり方だ。
5.アイアン・メイデンのゲーム
アイアン・メイデンは、ニュー・アルバム『魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~』のプロモーションのために「スピード・オブ・ライト」という8ビットのゲームを発表している。レトロで楽しいゲームだが、製作費は50ペンスほどしか掛かっていないだろう。このゲームを紹介するCG映像のほうがコストは高そうだ。
6.アヴィーチー『ストーリーズ』のインスタグラム
アヴィーチーは、ニュー・アルバム『ストーリーズ』のプロモーションとして、インスタグラムで複数のアカウントを利用して、ユーザー自らが選択肢を選んでストーリーを展開させる仕掛けを作った。各アカウントのページには、9枚で1つとなる画像が投稿されており、各ページに用意された2つの選択肢のうちどちらをクリックして進んでいくと、結末部分ではアルバム収録曲のうち、いずれか1曲が聴けるようになっている。おそらく、スポティファイですべての収録曲の再生回数を増やすために考えられたのだろう。賢い方法だ。この仕掛けをスタートさせるには、この上にあるインスタグラムのリンクをクリックしてみよう。
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