40位 ブラック・カントリー・ニュー・ロード『フォー・ザ・ファースト・タイム』
一言で言い表せば:ものすごく実験的な7人組による前衛的な見せかけとポスト・パンクの力。
ブラック・カントリー・ニュー・ロードのデビュー・アルバムではユダヤ系のクレズマーや不協和音のポスト・パンクの閃光、やさしいバラードなどに遭遇することになる。皮肉屋で打ちのめされた語り手であるアイザック・ウッドによってまとめられたこの音楽は答えよりも遥かに多くの疑問を投げかけ、ものすごく楽しみな未来を暗示している。しかし、それがどんなサウンドになるかは私たちにも分からない。
鍵となる楽曲:“Sunglasses”
『NME』のレヴュー:「彼らのピークはまだ何年も先かもしれないが、本作にもこれまででも最も興奮できる曲も存在している。デビュー作にこれ以上のものを求めるのは難しい」
39位 イージー・ライフ『ライフズ・ア・ビーチ』
一言で言い表せば:親しみやすくも厄介な語り手とのうだつの上がらない夜のサウンドトラック。
イージー・ライフのデビュー作はパブで親友と話している時と同じ笑顔でもって、へこたれない希望と実存的な恐怖を取り上げている。ヴォーカリストのマレー・マトラヴァーズは力強いアルバムで心やさしいツアー・ガイドを務めていて、絶望から自己嫌悪、淫らな夜遊びまでを紹介してくれる。ジャズ、インディ、エモなどあらゆるジャンルを取り込みながら、レスター出身のイージー・ライフは人生が簡単ではないことを知りながらもパーティーを止めるつもりはないのだ。
鍵となる楽曲:“Skeletons”
『NME』のレヴュー:「『ライフズ・ア・ビーチ』は静けさと不確かさの間で歩を進めている」
38位 トゥモロー・X・トゥギャザー『ザ・カオス・チャプター:フリーズ』
一言で言い表せば:K-POPの第4世代のリーダーは人生の厳しい現実を直視している。
トゥモロー・X・トゥギャザーの『ザ・ドリーム・チャプター』が逃避行を大きなテーマとしているのだとしたら、その混乱とされる続編は5人組を現実に引き戻している。彼らの多彩かつ鬱屈とした2枚目のスタジオ・アルバムは若者の大人が直面する試練と苦悩を描くことに心血を注いでいる。しかし、エモ・ポップ風のサウンドで描かれるシニシズムの中にも希望が輝く瞬間もあり、悲観主義だけではなくなっている。
鍵となる楽曲:“0X1=LOVESONG (I Know I Love You)” feat. Seori
『NME』のレヴュー:「『ザ・カオス・チャプター:フリーズ』までのトゥモロー・X・トゥギャザーの作品は曲を飛ばしてもいいものだった。しかし、今回の新作は100%ストライクのゴールデン・チューンが並んでいるだけではなく、彼らにとっての過去最高を見せてくれている」
37位 レイ・ブラック『アクセス・ディナイド』
一言で言い表せば:ロンドン発の才能にふさわしい洗練された抜群のデビュー作。
BBCのサウンド・オブ・2017で優勝したレイ・ブラックはついに今年デビュー・アルバムをリリースして、彼女の音楽に対する先入観を振り払っている。内省的なバラードからダンスホール・トラックまで、その多才っぷりを発揮して、UKの来たるR&Bアーティストたちへの道を拓いている。
鍵となる楽曲:“MIA”
『NME』のレヴュー:「アルバム・タイトルは『アクセス・ディナイド』だけれども、彼女は生まれ変わった姿を初めて見せてくれた。我々もその準備はできている」
36位 ガール・イン・レッド『イフ・アイ・クドゥ・メイク・イット・ゴー・クワイエット』
一言で言い表せば:クィア・ポップのアイコンはベッドルームを成層圏にまで引き上げた。
ガール・イン・レッドことノルウェーのマリー・ウルヴンは当初、自分の居場所を見つけようと苦悩する人々を慰めようとオンラインで人生を救うセンセーションを巻き起こしていた。このデビュー・アルバムではベッドルームでのDIYという出自から離れてブロックバスターにまで手を広げて、カミングアウトや不安との闘いに関する独自のインディ・アンセムにまで昇華させている。
鍵となる楽曲:“Serotonin”
『NME』のレヴュー:「華々しい点としてはマリー・ウルヴンは騒々しいインディ・ロックもゆっくりと盛り上がっていく切実なる思いも両方を表現できることを証明している」
35位 ビッグ・レッド・マシーン『ハウ・ロング・ドゥ・ユー・シンク・イッツ・ゴナ・ラスト?』
一言で言い表せば:ザ・ナショナルのアーロン・デスナーとボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンはその音楽コミュニティを広げている。
コラボレーションは常にビッグ・レッド・マシーンにとって鍵であり、セカンド・アルバム『ハウ・ロング・ドゥ・ユー・シンク・イッツ・ゴナ・ラスト?』でアーロン・デスナーとジャスティン・ヴァーノンは、テイラー・スウィフト、シャロン・ヴァン・エッテン、フリート・フォクシーズといったゲスト・ヴォーカリストを迎えて、彼ら独自のサウンドをビッグ・レッド・マシーンのコミュニティに加えている。しかし、まとまりを欠くことはなく、アーロン・デスナーは『NME』に次のように語っている。「音楽がすべてを束ねていて、章ごとに別の登場人物が歌い手として出てくる本のようだね。そして、すべては関連しているんだ」
鍵となる楽曲:“Renegade”
『NME』のレヴュー:「ビッグ・レッド・マシーンを結成することになった、比喩で言う“動悸”の典型とも言えるこの秋のアルバムは、2人が感情を剥き出しにして、何度も内省を促している」
34位 レミ・ウルフ『ジュノ』
一言で言い表せば:大胆な歌詞と幻想的なビートが組み合わさった過激主義者によるジャンルを超えたファンク・ポップ。
カリフォルニア出身のレミ・ウルフにとってすれば、大胆不敵なソングライティングとバカバカしいほど笑えるプロダクションを組み合わせた目も眩むほど素晴らしいデビュー作においても制限などはない。彼女はあらゆることをからかってみせる。依存症の体験、大好きなポップ・カルチャーのアイコン、情熱と後悔、そうして彼女は考えるまもなくポップ・ミュージックのルールを書き換えてしまった。レミの声はあたたかく、輝いていて、彼女のヴィジョンはカラフルで、見晴らしがいい。
鍵となる楽曲:“Quiet On Set”
『NME』のレヴュー:「やめられないフックに粘っこいグルーヴ、そして漫画のようなアドリブが組み合わさった過激主義者によるポップ・ミュージック」
33位 AJトレイシー『フルー・ゲーム』
一言で言い表せば:トッテナム出身のラッパーはバンガーが満載のセカンド・アルバムで満場一致のMVPを獲得した。
1997年にNBAのマイケル・ジョーダンが優勝決定戦で食中毒を起こしていたことに由来するニックネームを冠した『フルー・ゲーム』でAJトレイシーは決して失敗しないことを改めて伝えている。AJトレイシーは皮肉の効いたスポーツからの引用を間違いのないソロ曲(“Cheerleaders”や“”Draft Pick)で決めて見せては、それ以外ではメイベル、ケラーニ、T-ペインとコラボレーションを行っている。AJトレイシーはシュートを打てば、得点してしまうのだ。
鍵となる楽曲:“West Ten”
『NME』のレヴュー:「AJトレイシーは商業的に成功を収めたラッパーでありながら、フックと巧みな言葉遣いの新たな方法を模索していることを『フルー・ゲーム』は証明している」
32位 ローラ・マヴーラ『ピンク・ノイズ』
一言で言い表せば:途轍もない才能のミュージシャンは80年代へのトリップでキャリアを再起動している。
2017年に所属レーベルから契約を切られたローラ・マヴーラが一から出直している。最初の2枚のアルバムにあったエレガントなオーケストラ・ポップを脱して、バーミンガム出身のローラ・マヴーラは「80年代の日没のあたたかい音色」を注入したより際立ったアルバムを作ることに決めた。“Got Me”ではマイケル・ジャクソンを取り入れ、目の潤むバラード“What Matters”ではビッフィ・クライロのサイモン・ニールとデュエットしており、その結果は華々しくきらびやかで、その人生を肯定するものだった。
鍵となる楽曲:“Got Me”
『NME』のレヴュー:「心躍るカムバックというだけでなく、間違いなく輝かしいポップ・アルバムになっている」
31位 スロータイ『タイロン』
一言で言い表せば:ノーザンプトン出身のラッパーによる熱狂と内省が均等に入ったアルバム。
スロータイのセカンド・アルバムの前半部分はスケプタやエイサップ・ロッキーと一対一で向き合う好戦的なものとなっているが、後半部分は同じ作者が救済を求める道に乗り出した内省的な内容になっている。ジェイムス・ブレイク、マウント・キンビー、デブ・ネヴァーとの親密なコラボレーションは彼が自身の繊細な面を受け入れる手助けとなっている。彼はそこではあの誰もが知るマライア・キャリーまでサンプリングしているのだ。
鍵となる楽曲:“Terms”
『NME』のレヴュー:「多くがロックダウンの孤独の中で書かれたスロータイのセカンド・アルバムで彼は幼少期、青年期、恥じらい、反逆心、後悔を見つめ直している」
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