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  • ★★★★★★★★☆☆
  • 8/10

slavesスレイヴスの少年院上がりのようなビートと本能的なスタイルを見ると、彼らに怒れる若者という印象を受けるかもしれない。でも、そうではないのだ。むしろ、彼らはただ失望しているのである。自己満足型の気難しいロンドンの人々に失望し、制度の枠組にはまってそれに立ち向かおうともしない20代の若者に失望し、ポップ・ミュージックにおける個性のなさに失望している。ドラマーであり、ヴォーカルを務めるアイザック・ホールマンとギターのローリー・ヴィンセントはあまりに人間離れしていて、まるでマンガのキャラクターのようだ。ホールマンは古着のアロハシャツを着た若き日の俳優のレイ・ウィンストンのようだし、ヴィンセントはタトゥーだらけの体とスキンヘッドでキメていて、相方がステージ上で裸になるのを一緒になって盛り上がるようなタイプである。ケント州のタンブリッジウェルズで出会った、タトゥーだらけで乱暴者の二人は自分たちの絶望を、現代のシャム69のような荒削りでカリスマ的なパンク・ロックや、パーマ・ヴァイオレッツが最近出したセカンドアルバムの『デンジャー・イン・ザ・クラブ』にも通じる骨のある1970年代のパブ・ロックに注ぎ込んでみせる。

『Are You Satisfied?』は、2013年にリリースされたミニ・アルバム『Sugar Coated Bitter Truth』に続く作品となり、前作には“Girl Fight”という女同士のケンカを男目線から見た15秒間の嵐のような曲が含まれている。しかし、スレイヴスは今回のメジャーデビューによって、離れたところからただ人々を野次るのではなく、奮い立たせようとしているのだ。アルバムの曲は全て、戦闘準備を呼びかけるか、テーブルをひっくり返せと言っている。“Do Something”は文字通り、受け身な人々に強烈なパンチを食らわせる曲である。「お前は渋滞にはまってるんじゃない」とホールマンがヴィンセントの金属音っぽいギターをバックに歌い、ドラムを叩きながら「お前自身が渋滞なんだ、動け!」と吠える。“The Hunter”も同じような激しいリズムと憤りを持った曲だ。一方で“Cheer Up London”はさらに速く刺のある歌詞で競争社会を批判する。「給料の桁を増やせ、もう自分の墓は掘ったのか?」

ラヴ・ソングに一番近い曲といえば“Sockets”で、ホワイト・ストライプスの“フェル・イン・ラヴ・ウィズ・ア・ガール”をミンチにしたようなサウンドであり、アルバムの中で最もラヴ・ソングからかけ離れているのはタイトル・トラックの“Are You Satisfied?”だ。アコースティック・ギターが鳴る中、ヴィンセントは精一杯ガールズ・グループのような甘い囁き声を出し、ホールマンはしわがれた声で「兄弟、満足してるか?」と尋ねてくる。その様子はまるで風邪でレムシップを必要としているジェイミー・Tのようだ。たった1分半の曲だが、メロディ自体は、奇妙にも1998年にマーキュリー賞を受賞したもの今はどこにいったかわからないゴメスの“Whipping Piccadilly”を思い出させるが、彼らの反無関心主義のスタイルを感受性豊かなバージョンで、他の激しい曲と同じようにハッキリと主張する楽曲になっている。(レオニー・クーパー)

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