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デーモン・アルバーン、ケイト・ブッシュ、アニー・レノックスなど、1000人を超えるアーティストがイギリス政府が計画しているAIに関連した著作権法の改正に抗議するサイレント・アルバムを発表している。

『イズ・ディス・ホワット・ウィ・ウォント?』と題されたアルバムはスタジオやパフォーマンス・スペースで録音されたノイズが収録されており、人工知能が音楽業界に与える影響について注目を集めるために企画されたものとなっている。

「未来の音楽では私たちの声は聴けなくなってしまうのでしょうか?」とケイト・ブッシュは声明で述べている。アルバムの収益はすべてチャリティ団体の「ヘルプ・ミュージシャンズ」に寄付される。

この取り組みはイギリス政府が著作権法の改正を計画していることを受けてのもので、改正は人工知能プラットフォームが著作権で保護された作品を使って、ライセンスを必要とせずにモデルを開発して、訓練することを容易にするものとなっている。改正案では「テキスト・マイニングやデータ・マイニング」のためであれば、著作権を尊重することなくオンラインで素材を使用することが許可される。それを避けるためには権利者が「権利留保」を申請しなければならない。

レディオヘッド、バスティル、ジャミロクワイ、ザ・クラッシュ、ミステリー・ジェッツらのメンバーも今回のアルバムに賛同しており、ビリー・オーシャン、ユセフ/キャット・スティーヴンス、リズ・アーメッド、トーリ・エイモス、ハンス・ジマー、マックス・リヒターらも参加している。

アルバムはトラックリストを繋げると、「The British government must not legalise music theft to benefit AI companies(イギリス政府はAI企業の利益のために音楽の盗用を合法化してはならない)」という文章となっている。

法律の改正案について科学・イノベーション・技術省のスポークスパーソンは現状について「クリエイティヴ産業、メディア、AI分野がその可能性を最大限に発揮するのを妨げている」として、議論されている改正案は「AI開発者と権利者の両方の利益を保護して、両者が繁栄できるような解決策を提供する」ものだと述べている。

しかし、多くのアーティストたちはAIが彼らの声を使用することが彼らのキャリアを脅かす可能性について懸念しており、多くのミュージシャンが数多の異なるAIサービスの提供社に「権利留保」を申し立てるのは現実的じゃないと述べている。法改正に関する公開協議は2月25日に終了を迎えている。

昨年12月、ケイト・ブッシュは許可なくアーティストの作品にAIを使うことに反対する公開書簡に署名している。

この書簡にはレディオヘッドのトム・ヨーク、ABBAのビヨルン・ウルヴァースなど、音楽界、映画界、映画界、出版界から署名が集まっており、ビリー・ブラッグ、ケヴィン・ベーコン、ロバート・スミス、ジュリアン・ムーア、カズオ・イシグロ、アン・パチェット、ロザリオ・ドーソンらも署名している。

ポール・マッカートニーも著作権法の改正案を批判しており、もしそれが実現すれば、AIがアーティストから搾取することを可能にし、「創造性の喪失」につながると語っている。

生成AIの年間市場規模は現在25億ポンド(約4800億円)だが、2028年には528億ポンド(約10兆円)になると試算されている。

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