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- ★★★★☆☆☆☆☆☆
イヤーズ&イヤーズは、1月に発表された「BBC Sound Of 2015」で1位に輝くことになった。この賞の過去の受賞者には、サム・スミス(昨年、米英の両方でアルバムの売上枚数が100万枚を超えた唯一のアーティスト)や、アデル(彼女のアルバム『21』は、今のところこの10年で最も売れたアルバムである)などが含まれている。そうすると、ロンドンで2010年に結成されたこのエレクトロ・ポップの3人組も、大きな成功を収めるはずという必然的結論が導かれるように思われる。
しかし、イヤーズ&イヤーズには大きな問題が残っている。彼らの興味深いインタヴューを探し出すのは至難の業なのだ。見つかるのは、メンバーたちが興奮し続けている様子(ヴォーカルのオリー・アレクサンダーは、『デジタル・スパイ』の取材に対して「ああ、ほんとにスゲーよな、マジでスゲェよ。半端なくスゴイって、実際のところ」と語っている)や、中流階級に分類されることへの愚痴くらいだろう。その他に何かあるかな?
他に着目する点があるとすれば、TVドラマ「スキンズ」や、特権階級の青年たちが繰り広げる悪行を描いた映画『ザ・ライオット・クラブ』などに出演しているオリー・アレクサンダーの俳優としてのキャリアだ。しかし、辞めてしまった(が有望ではあった)俳優のキャリアについてあれこれ言っても仕方がないので、我々は音楽の面だけに注目しよう。ポップ・ハウスとR&Bの組み合わせが効果的だけれど、退屈なデビュー・アルバム『コミュニオン』は、哀愁を足したようなクリーン・バンディット、もしくは純粋主義者が喜ぶディテールへの配慮に欠けるディスクロージャーというイメージを思い起こさせる。
しかし、それがひとたびポップになると、3月に予想通り爆発的ナンバーワンを獲得した“King”のようなことになる。最近はヘアサロンの近くに行けばどこででも、あのシンセの繰り返しのリズムとフェスティバル向きのみんなで歌えるコーラスに気づくだろう。いくつかの似たような楽曲ーー軽快なリズムと90年代の影響を受けた“Desire”などーーには、残念ながら、“King”の強烈な印象を作る、疾走感溢れる熱狂的なシンセのフックがない。“Border”や“Memo”のような特徴のない悲嘆のバラードは、ハウスやR&Bの典型的な形に則っているが、軽快なはずのコーラスは小声で感傷的に歌ってしまっている。
『コミュニオン』は、冒険もしてなければ、何も言えていない。それぞれのバラードはサム・スミスのダンス・リミックスのようでもあるが、アップビートなトラックは、リトルウッズ(※イギリスのデパート)のCM曲にも使えるだろう。イギリスの音楽シーンではラッパーのスケプタを先頭に、グライムのリバイバルへの取り組みや、FKAツイッグスが体現する革新的なR&Bや、新しいギター・ヒーローであるウルフ・アリスらがいる。それを考えると、イヤーズ&イヤーズは注目を集める2015年のサウンド(sounds of 2015)とは言えないだろう。(ジョーダン・バセット)
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