スティーヴ・アルビニと彼の妻であるヘザー・ウインナーは、シカゴの貧しい家族にクリスマス・プレゼントを20年近くにわたって送り続ける活動をしている。スティーヴ・アルビニは『ハフィントン・ポスト』にそれを始めた理由と、今もなお続けている理由をエッセイに綴っている。
きっかけは、妻のヘザー・ウインナーが郵便局に積まれたサンタクロース宛ての手紙の山を見たことだったとスティーヴ・アルビニは書いている。
「手紙はおもちゃや新しい自転車を求める茶目っ気のあるものではなく、そのほとんどが一家の主が必死に助けを求める嘆願書だった。それは驚くべきものだった。社会のセキュリティネットの対象から取り残された人々、家族がいない、または家族から見捨てられた人々、病気や貧困、暴力にさらされる人々など、孤立無援の状態になった人々が、恥を忍んでペンをとり、彼らの失敗、壊れてしまったもの、または盗まれてしまったもの、彼らを傷つけたもの、彼らの恐れや恥や不安な気持ちを綴っていた」
「妻はそのなかの一通の手紙を家に持ち帰り、私に見せてきた。私はそれを読んで、非常に心を動かされた。これと同じ数百、いや、数千通の手紙が私に変化をもたらすことになった」
そして、スティーヴ・アルビニとヘザー・ウインナーは手紙に応え、クリスマスの朝にその家族へプレゼントを届けることを決めた。何年もの間に、プレゼントを配達する家族の数は増えていったという。
ヘザー・ウインナーは、2002年当時、シアター・グループを運営するセカンドシティで働いており、年に1度の24時間ぶっ続けの即興ライヴを通して、スティーヴ・アルビニとヘザー・ウインナーによる贈り物プログラムへの募金を始めた。13年以上もの間、多くのミュージシャンとコメディアンらが「サンタへの手紙」のショウに出演してきている。参加者には、ウィルコのジェフ・トゥイーディーや、ザ・ブリーダーズ、ザ・マウンテン・ゴーツ、ウィル・オールダムらがいる。今年の公演にも、ジェフ・トゥイーディー、タオ・グエン、キム・ディール、A.C.・ニューマン、ボニー・プリンス・ビリー、そしてフレッド・アーミセン、ヴァネッサ・ベイヤー、エイディー・ブライアント、ジャック・マクブレイヤー、ホレイショ・サンズらが出演した。
エッセイの中でスティーヴ・アルビニは、贈り物を届ける手伝いをしてもらうために、ジェフ・トゥイーディーと彼の家族、フレッド・アーミセンらと一緒に配る活動を行っていることについても触れている(フレッド・アーミセンが言うには、特定の家庭のためにスペイン語の通訳として働くそうだ)。
郵便で荷物を送るシステムを採用したこともあったそうだが、これが問題だとスティーヴ・アルビニは綴っている。なぜなら、手紙の送り主の多くは安全に郵便物を受け取れる環境にないからだ。そこでスティーヴ・アルビニとヘザー・ウインナーは福祉団体オンワード・ネイバーフッド・サービスと協力し、プレゼントを手渡しできるようにしている。
エッセイの中でスティーヴ・アルビニは、多くの貧しい人に不安定な居住環境を与えている家主に対する怒りを抱えていると書いている。
「貧困層やその一歩手前の人たちは、1人部屋で、汚れた床、地下や空きガレージ、荷物を入れるための小屋などに住まざるを得ない。そんな状況に対する怒りと、そんな人々から家賃をしぼりとる輩に対する怒りを同時に感じて体が震えた。たいまつをかかげて恐怖をあおり、人々を地下に追い詰める最低や奴らは誰だ? そいつを連れてきてくれ、俺がつばを吐きかけてやる」
スティーヴ・アルビニは、こう締めくくっている。「私はここ20年間、伝統的なクリスマスの朝を迎えていない。でも、それを残念だと思ったことはないんだ」
ジェフ・トゥイーディーが2010年にセカンドシティで演奏した“Black Eye”の映像はこちらから。
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