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トム・ヨークは、作家で活動家でもあるジョージ・モンビオによる最新のインタヴューで気候変動について語っている。

パリを拠点に発行されている『テレラマ』誌によるインタヴューで、トム・ヨークはミュージシャンとしてどのように気候変動に取り組むか、そしてヴェジタリアンになった経緯やレディオヘッドの主催するツアーではカーボン・ニュートラルに取り組んでいることなどを語っている。

彼は1990年代後半から気候変動に関心を持ったという。それ以降は、環境団体のグリーンピースや地球の友、活動家がアートで表現するart.350.org.などと共に活動している。

プロテスト・ソングを書くことを検討しているかと質問されたトム・ヨークは「もし2015年に気候変動について抗議する曲を書いたら、クソみたいな曲になってしまう」と答えている。

「もし60年代なら、徴兵とかに対して曲を書くというのも有効だったかもしれない。そうだな、少しは……だけど。今ではそういうことはかなり難しくなってるよ。もし2015年に気候変動について抗議する曲を書いたら、クソみたいな曲になってしまう。1曲の歌とか、1つの芸術作品、1冊の本で他人の気持ちを変えるなんて無理だ。物事が徐々に批判的になっていて、それが雪だるま式に加速しているんだ」

自身の音楽が持つ影響力を客観的に分析しながら、トム・ヨークは彼が「自分の思い通りに物事をコントロールする人々とそれに抵抗する人々」には、いつも「根本的に強く惹かれている」と説明した。

「どんな素晴らしい芸術作品でも、それ自身は無力さに対する抵抗を形にしたものだと思っているよ」と彼は語り、「俺はこの関係性に根本的にはすごく興味を持ってる。人民の力とその他の力の対決にね。いいフレーズとして歌詞に入れたいくらいだ。政府と人民、そして自分の思い通りに物事をコントロールする人々とそれに抵抗する人々の関係性には、いつも根本的に強く惹かれているんだ。これは11歳の時『1984年』を読んでからずっと、俺が強く惹かれていることなんだよ」

そして、現在の気候変動に関する活動はどのようにして行っていけばいいのかを訊かれたトム・ヨークは、次のように答えている。

「この社会は、現在の経済を保つために、主祭壇の人々を犠牲にしようとする司祭たちによって、いまだに間違った方向へ導かれているんだ。その犠牲は拡大していて、1人、また1人とみんなが引きずり込まれている。頭を切り落とされ、内臓を掻き出されて、下層の人々は『うーん、これは何かおかしいぞ』って状況なんだよ。そして上の方にいる司祭たちは『すべて上手くいってる、この調子で続けよう』と思ってるのさ。それで、皆で集まって話し合う時には、『これはおかしいぞ、なぜ皆殺しにするんだ?』って訴えるんだ」

「僕にとっては、無力さっていうのは、この世界の経済活動が際限のない成長を続けることをベースにしているのを知らずに、資源には限りがあることを受け入れている70億人の人々がいる、っている事実から生まれたものなんだ。経済と環境は表裏一体で同じものなんだって気づかせるには、政治に人民の力を取り戻すしかないね」

トム・ヨークは、12月5日に行われるイベント「パスウェイ・トゥ・パリ」に出演を予定している。レディオヘッドのフロントマンであるトム・ヨークはソロ・アーティストとして参加を予定しており、他にはパティ・スミスやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが名を連ねている。

イベントは12月4日にパリのル・トリアノンで開催予定となっている。このイベントは、パリで11月30日から12月11日にかけて行われる国連気候変動会議と同時期に開催される。

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