PRESS

Photo: PRESS

サンダーキャットはプロデューサーのフライング・ロータスによるニュー・アルバム『イット・イズ・ホワット・イット・イズ』の全曲解説が公開されている。

新作ははサンダーキャットとフライング・ロータスの共同プロデュースとなっていて、チャイルディッシュ・ガンビーノ、カマシ・ワシントン、バッドバッドノットグッドらが参加している。

フライング・ロータスはアルバムについて次のように述べている。「キャットと作業する上で一番楽しいのは、当たり前のこと以外にも、俺のやりたいことをさせてくれる信頼感を持ってくれてるところなんだ。25秒とか30秒とかのデモ音源を送ってきて、それらを縫い合わせてアルバムを作り上げる自由を俺に与えてくれる。ずっと前にアイツから『俺は歌ってベースを弾きたい』って言われたんだ。俺の仕事は彼がそれだけに専念できるようにすることなんだよ。バラバラに散らばった100くらいのデモ音源を聴いた。最初は楽しいだけのパーティー・ソングのアルバムを想像してたけど、それをしたら本当のサンダーの物語ではなくなるってわかってきたんだ」

「最終的に『ドランク』以降の彼を描いたジャーニーとしてアルバムを構成した。希望に満ちた無邪気さが愛に変わって、現実と痛みの重さが全てを揺さぶる。それこそが物語でなければならなかった。物語は3つの章で展開する」

全曲解説は以下の通り。

“Lost In Space / Great Scott / 22-26”

「ある夜にスコット・キンゼイと俺たちで書いた曲だ。いくつかのアイデアや、クレイジーなジャムを作ってそのループを聴いたんだ。何も手を加えずに2時間は聴き込んだ。その空間に没入してた。俺たちがモーグを使った最初の曲でもある」

“Innerstellar Love”

「俺とサンダーで一緒に書いた曲。俺の誕生日にね。俺がモーグでコードを弾いてると、あのベースラインでアイツが参加してきたんだ。アンビエント作としてもドープだったけど、生ドラムを加えてみた。ロナルド・ブルーナー・ジュニアがその上にさらにクレイジーなやつを乗せたんだ。前回の俺のツアーではこれのインスト曲をかけてた。俺の新作に入れようと思ってたけど、彼がこの美しいヴォーカルを思いついたんだよ。最後の仕上げにカマシのサックスを加えたのを覚えてる。コロナ前だったけど彼は体調悪かったな。でも完成させたよ。曲がビルドアップしてる中でフェイドアウトしてく感じがすごく気に入ってる。最高のティザーだよ。カマシは『子供の頃から知ってるキャットが、自分のサウンドをこれだけ進化させたのはクレイジーだ』って俺に言ってきたんだ。そう言われてサンダーキャットのことを見てもイメージできなかったよ」

“I Love Louis Cole”

「俺もルイスが大好きだ。アイツはクレイジーだよ。この曲で歌ってるストーリーは全部事実。『フラマグラ』を作ってる時には、ルイスに超インスパイアされた。ルイス・コールのソロもノウワーも聴いてほしい。『たとえ俺がハメを外しすぎても、君は俺がクレイジーじゃないと教えてくれる…』これこそ友達の証だろ。俺だって絶対そうする。このソロを正しく配置するのには苦労したな」

“Black Qualls”

「これはデモの段階ですでにキラーチューンだった。キャットがこの曲を俺に持ってきた時は、粗くてメチャメチャだったけど、どうしてもキープしたい魔力があった。そのおかげで完成させるのが超難しい曲の一つになった。サンダーはベースのスラップ奏法が嫌いなんだ。だけどこの曲では弾いてる。マスタリンングしてる時にメッセージ送ってきてさ、『ヘイ、スラッピングの音量ちょっと上げれない?みんなにちゃんと聴いてもらいたいんだ』だって。この曲を他のスティーヴたちと一緒に『ジミー・キンメル・ライヴ』で演奏できたのは俺のキャリアのハイライトの一つだよ。キーボード奏者としてやるのは初めてだったし。ニヤけてしまうのを抑えるのが大変だった」

“Miguel’s Happy Dance”

「これは美しい日に書いた曲。俺のアルバム用の曲を書いてたら、ミゲル・アトウッド・ファーガソンがやって来た。彼は俺が作ってたものに心底惚れ込んでくれて、その感じが一緒に書いた曲のすべてに注がれた。この曲に取り掛かったあたりで、サンダーキャットがやってきて、ちょうど必要だったところにベースを加えたんだ。あのタイトルをそのまま使ったことには驚いたけど、ミゲルが惚れ込んだ瞬間のドキュメントを収録することができて嬉しいよ。偉大なるデニス・ハムは、間違いなくこのアルバムの影のヒーローだ。彼は演奏があらゆる細かいところで使われてる。ここ一年半くらい、彼は俺にとって素晴らしいピアノの先生でもある」

“How Sway”

「この短い狂気の沙汰は、実は一番ミックスが難しかった曲なんだ。正しいバランスを見つけるのにすごく時間がかかった。ある意味、この曲はめちゃくちゃに聴こえるべきでもある。みんなが気に入ってるのが嬉しいよ。この曲についていろんなメッセージをもらってて、うっとうしいくらいさ」

“Funny Thing”

「テーマ的には『ドランク』の世界にあるものだと思って実はカットしようとしてたんだよ。だけど“Happy Dance”から“Dragonball Durag”までの流れには、何かとても美しいもの感じたんだ。超楽観的で気ままな曲の連続なんだ。それが作品の最後をより壮絶なものに感じさせる。この曲は超スイートなんだけど、俺にしたら、少しビタースイートでもある。キャットがすごく人生や愛にポジティブな時だったから」

“Overseas”

「マイル・ハイ・クラブの何が問題なんだ?世の中で最も窮屈な場所でヤろうって気持ちにセクシーも何もないだろう。最後のスキットは“Dragonball Durag”への導入として絶対使いたかった。キャットはデイヴ・シャペルを推してたけど、俺は絶対ザックだと思ったんだ。二人の仲を考えたらそれが一番しっくりくる」

“Dragonball Durag”

「キャットが持ってきた20秒のデモからスタートしたんだ。そこには何かが宿ってた。傑作になる可能性がすでに俺には見えてたんだ。最終的にドラムをやり直して、メロディーの要素も加えた。アイツにももっとパートを書くように言った。歌詞についても色々アイデアをぶつけ合ったよ。面白い曲に仕上がってきたんだけど、最初に感じた笑える感覚が失われてた。彼に電話して、もっと何か出してくれって頼み込んだんだ。アイツはもう終わりって思ってたみたいだけど、その時点ではたった1分の曲だった。好きなようにさせてばかりはいられないんだ、ハハハ。そこで彼が『俺は自分のドゥーラグにブチ込むよ。だって、そうするしかないから』ってのを思いついた。そのフレーズがハマったみたいだ」

“How I Feel”

「俺の手元に届いた時点で、すでにもう完成してた。俺がやったのは、ちょっとバランスを整えたくらい。曲はテイラー・グレイヴスが作った。ほぼ完成してたものに少し手を加えたくらいだね。それと俺が思う第3章の最初の曲として完璧にフィットするんだ」

“King Of The Hill”

「これは俺がバッドバッドノットグッドに連絡したところからスタートした。彼らとキャットで一緒に曲を作ってほしくてアイデアが欲しかったんだ。いくつか案をもらって、二つのアイデアを一つにくっつけて、俺も少しそこに書き加えたら、美しいものができた。これは『ブレインフィーダーX』のコンピにも収録されてる」

“Unrequited Love”

「カウボーイビバップの渡辺信一郎からキャロル&チューズデイ用の曲を書いて欲しいって連絡をもらったんだ。この曲も正しいバランスを見つけるのに時間がかかったな。これはキャットと俺が一緒の部屋で作業しないで完成させたレアな曲だ。彼がツアー中だったからね。でもなんとか完成させられた。美しい曲だし、感情の面から言うと、キャットのその後を予見した曲でもある。ローズピアノで色々試しながら作ったから、これを彼に聴かせるときに緊張したのを覚えてるよ」

“Fair Chance”

「よし。正直に言うよ。豪華なゲストにもかかわらず、俺はこの曲をカットしようと思ってた。デモ段階では一番好きじゃない曲だったんだ。初期の曲は、コレだ!ってやつじゃなかった。だけど最後まで押し進めて、イントロを加え、他の部分にもよりスペースを与えた。とはいえ、最終的には俺にとっても頭に残って消えない曲の一つになってる。タイ・ダラー・サインが最高だよ。正直、彼のコラボ曲の中で俺が一番好きな曲だ。リル・Bはまるでこの曲の宇宙に属してるかのように聴こえる」

“Existential Dread”

「大好きな曲だ。アルバムの最後の曲にしたいって思ってた自分もいた。最後の言葉が希望に満ちてて良いからさ。『俺は大丈夫さ』って。でも今となってはそんなこと言えないけどな」

“It Is What It Is”

「まずは曲の前半。ああ。なんて瞬間なんだよ。聴いただけでハートの難しさをわからせてくれる。歌声に打ち拉がれた様子が滲み出てる。ブラザーがそんな状態なのを聴くだけでグサッとくるよ。このギターが…GAHHHH。曲の後半は、マックが亡くなってキャットと俺が最初に書いたものなんだ。スタジオで彼の写真を見ながら、一体どうやって作業を続けたらいいのかって思ってたことを思い出す。本当に信じられなかった。つい数日前に会って飯を食った時には、幸せそうで人生に希望を抱いてたし、しっかりやってるみたいだったから。色々言う奴はいるみたいだけどさ… まあとにかく。気乗りしないまま画面を見つめながら座ってたら、キャットが『なあロータス、やろうぜ』って言って、作り上げることができた。泣きながらレコーディングしたセッションが詰まってる。ループを聴きながら」

サンダーキャットは4月に予定されていた来日公演が2021年1月に振り替えられることが決定している。

Copyright © 2020 BandLab UK Limited. NME is a registered trademark of BandLab UK Limited being used under licence.

関連タグ