ラモーンズはその名称の使用権などをめぐってジョーイ・ラモーンの兄弟であるミッチェル・ハイマンとジョニー・ラモーンの妻であるリンダ・カミングス・ラモーンが争っていた裁判で判決が下されている。
ミッチェル・ハイマンとリンダ・カミングス・ラモーンはラモーンズ関連の権利や商品の発売を管轄している会社であるラモーン・プロダクションズ社で共に50%の株式を保有しており、リンダ・カミングス・ラモーンは同社の共同社長と取締役も務めている。
ミッチェル・ハイマンは旧姓をリンダ・カミングスという彼女が自身の名前をリンダ・ラモーンに法的に変更した2014年に彼女に対して訴訟を起こしており、彼女がラモーンという名前を使うのは「不適切であり、承認を得ていない」と主張していた。ミッチェル・ハイマンはまた、リンダ・カミングスがラモーンの名前をソーシャル・メディアやその宣伝のために使用しているのはバンドの遺産の株主として結んだ合意に反するものだとし、ラモーンズの知的財産を軽薄なものにしているとも主張している。
また、ミッチェル・ハイマンは彼女に対して自身のロサンゼルスの自宅を「ラモーンズ牧場」と呼ぶことを止めるようにも求めている。ミッチェル・ハイマンの弁護士は「ラモーンズ牧場」という名称について「ファンや一般の人々に対してラモーンズの公式の邸宅であるかのように欺く」ことになるとし、「ラモーンズの知的財産を自分自身の目的のためだけに搾取し、自分自身の金銭的な収入や装飾、利益のためにビジネスの機会を利用している」として損害賠償として27万5000ドル(約2900万円)の支払いも求めている。
一方、リンダ・カミングスはミッチェル・ハイマンの主張に反論して、彼について会社の利益ではなく私利を優先して活動していると批判した上で、「ラモーンズの知的財産の同意や承認を不合理に何度も拒否」しているとし、両者間で結んだ和解契約に反しているとしているほか、訴訟手続きの中で嫌がらせをしてきたとも主張している。彼女は不当に干渉されたとして500万ドル(約5億4000万円)の損害賠償の支払いを求めている。
訴訟の仲裁人はボブ・ドネリーが務めており、裁判文書によれば彼は今回の訴訟について次のように評したという。「この論争は(アメリカにおける諍いの慣用句となっている)ハットフィールド家とマッコイ家の対立と形容できるかもしれませんが、名高いラモーンズのブランドにはふさわしくないでしょう」
ボブ・ドネリーはその後、リンダ・カミングスに対してミッチェル・ハイマンの承認がない限りは「ラモーンズ牧場」という名前の使用を禁止するとした一方で、「ジョニー・ラモーン牧場」もしくは「リンダ・ラモーン牧場」という言葉であれば使ってもよいとする判決を下している。加えて、彼女は年に1度のジョニー・ラモーンの追悼イベントでは「リンダ・ラモーン」という名前を名乗ってもいいとする判決も下されている。
ミッチェル・ハイマンとリンダ・カミングスはラモーンズのビジネスに関連した機会に互いに助言をし合うように命じられているほか、ミッチェル・ハイマンはリンダ・カミングスが自身こそが権利のふさわしい所有者だと主張している「ジョニー・ラモーン」や「リンダ・ラモーン」の商標を取得することに反対すること、また、いかなる形でもそれを取得する機会を減少させることを禁じられている。
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