ザ・フーは観客が一斉に押し寄せたことが原因で11人が亡くなる悲劇に見舞われた1979年の公演以来、初となるシンシナティでの公演を行うことを発表している。
ザ・フーは2020年4月23日にノーザン・ケンタッキー大学のキャンパス内にあるBB&Tアリーナで公演を行うことが発表されている。BB&Tアリーナは1979年に当該の悲劇が起きた会場からオハイオ川に沿って約11キロ離れた場所にあり、同年の12月3日に行われたザ・フーの公演では、座席が先着順となっていたために数千人もの観客が一度に殺到したことが原因で、11人が亡くなって20人以上の負傷者が出る悲劇に見舞われている。
公演の開催は現地時間12月3日、シンシナティのテレビ局「WCPO-TV」でザ・フーのロジャー・ダルトリーとピート・タウンゼントも出演した当時の悲劇についてのドキュメンタリーが放送された後で発表されている。
ロジャー・ダルトリーとピート・タウンゼントの2人はシンシナティでの悲劇に悩まされてきたと語っており、ピート・タウンゼントは公演の発表後、アソシエイテッド・プレスに対してシンシナティで当時の悲劇について言及したいと語っている。
「そこへ戻って当時のことについて話ができるわけでね」と彼は語っている。「僕らは人々に会いにそこへ行くんだ。僕らがそこへ行くわけでね。重要なのはそこなんだ。戻る機会を得られたことを嬉しく思っているよ」
ザ・フーはシンシナティ公演の収益の一部をシンシナティ郊外のフィネイタウンに住む学生のための記念奨学金に寄付することも発表している。1979年に起きた悲劇では、亡くなった11人のうちで最年少だった15歳の少女を含む、フィネイタウン高校に通っていた3人の生徒が犠牲になっており、校内には彼らを称えるための追悼スペースが設置されている。ロジャー・ダルトリーは2018年にフィネイタウン高校を直接訪れているほか、ザ・フーは長年にわたって同地域の奨学金を支援する活動を行っている。
ザ・フーは1979年の公演当時、終演まで当該の悲劇のことを知らなかったとされている。長年にわたってバンドのマネージャーを務めているビル・カービシュリーは当時、もしもコンサートを中止してしまえば観客の動きをコントロールできなくなってしまうと地元当局に伝えた上で、公演を続行する判断を下したことを明かしている。
「何よりも、私はいまだに満たされないものを感じています」とビル・カービシュリーは「WCPO-TV」に明かしている。「他の人たちのことは分かりませんが、私としては自分の魂の一部をシンシナティに置いていったままとなっているのです」
ザ・フーは通算12作目となるニュー・アルバム『WHO』を12月6日にリリースすることが発表されており、新作からは先日、3曲目のシングルとなる“I Don’t Wanna Get Wise”の音源が公開されている。
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