ルー・リードはポップ・アーティストにして、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのコラボレーターで、一時マネージャーでもあったアンディ・ウォーホルのためにレコーディングした一連の未公開音源が1975年のカセット・テープから発見されている。
『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、テープはコーネル大学の音楽教授であるジュディス・ペライーノが2年前にピッツバーグにあるアンディ・ウォーホル美術館で発見したものだという。ジュディス・ペライーノは現地時間10月30日、今回の発見についての考察を記した論文「アイル・ビー・ユア・ミックステープ:ルー・リード、アンディ・ウォーホル、アンド・ザ・クィア・インティマシーズ・オブ・カセッツ」を学術雑誌『ザ・ジャーナル・オブ・ミュージコロジー』に発表している。
カセットテープの片面にはルー・リードが1975年に行ったツアーのライヴ音源が収録されている一方で、「フィロソフィ・ソングス(フロム・A・トゥ・B・アンド・バック)」と名付けられているもう片面には、12の楽曲と未完成の1曲が収録されているとのことで、楽曲はすべてルー・リードがギターを弾きながら1人で歌っている。また、歌詞についてはアンディ・ウォーホルが同年に出版した著書『ぼくの哲学』(原題:『ザ・フィロソフィ・オブ・アンディ・ウォーホル(フロム・A・トゥ・B・アンド・バック)』)に基づいたものになっているという。
「このテープでルー・リードは自らの最も得意とするところを発揮しています」とジュディス・ペライーノは『ニューヨーク・タイムズ』紙に語っている。「すなわち、自身の楽曲におけるキャラクターを見つけ出し、物語を伝え、彼の多くの楽曲と同様、凶暴なまでに正直になっているのです」『ヴァラエティ』誌では未公開音源のうちの1曲より、30秒に及ぶ音源が公開されている。
音源が公開されている『ヴァラエティ』誌のページはこちらから。
https://variety.com/2019/music/news/lost-lou-reed-songs-for-andy-warhol-discovered-1203388986/
ルー・リードの妻であるローリー・アンダーソンは『ニューヨーク・タイムズ』紙に対して今回の楽曲の存在は知らなかったとした上で、彼が「アンディのために作ったもの」について話していたことはあったと語っている。
テープの所有権が依然としてアンディ・ウォーホル美術館にあるのか、もしくはルー・リードの遺産管理団体や元所属レーベルにあるのかについては現時点で明らかになっていない。テープは今もアンディ・ウォーホル美術館で保管されており、研究者のみがアクセスすることを許されている。
アンディ・ウォーホル美術館の規則によってテープを複製することは禁止されているほか、ジュディス・ペライーノは論文で歌詞を直接引用することを禁止されたという。一方で、今回公開された30秒の音源はルー・リードの遺産管理団体による許可を得て公開されたものだという。
ルー・リードは2013年10月27日に肝臓疾患で亡くなってから今年で4年目を迎えている。先月、ルー・リードは新たな歌詞を加えて歌詞集が再発されることが出版社のフェイバー&フェイバー社から発表されている。歌詞集にはルー・リードの最後のアルバムである物議を醸したメタリカとの『ルル』の収録曲の歌詞のほか、妻であるローリー・アンダーソンや映画監督のマーティン・スコセッシ、ジャーナリストのジェームス・アトラスによる前文が新たに加えられている。
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