Photo: JENN FIVE/NME
ザ・フーは今年のグラストンベリー・フェスティバルの最終日のヘッドライナーを務め、ライヴの最後でピート・タウンゼントが前夜のカニエ・ウェストの発言を皮肉る一幕があった。
カニエがステージ上で自らを「現存する世界で最も偉大なロックスター」と発言したことを受け、ピート・タウンゼントは最終曲“Won’t Get Fooled Again”を「ビッグで反抗心のある」曲だと紹介し、「つまり世界一のロック・スターは誰だ？」と問いかけてオーディエンスを盛り上げた。
当日の時間変更により、ザ・フーのステージは当初予定されていた21時45分より30分早い21時15分開始予定とされていたが、実際はそれより15分遅れての登場となった。開始時点での観客数は、金曜日のヘッドライナーであるフローレンス・アンド・ザ・マシーン、そして土曜日のヘッドライナーであるカニエ・ウェストよりも少なかったようだ。バンドは「Keep calm（冷静に）、ザ・フーが来たぞ」の文字を背に、ステージ上へ現れた。
2007年のグラストンベリー・フェスティバルにも出演しているフーのピート・タウンゼントはまず次のように語りかけた。「またここに来られたよ。今夜、俺たちのシンプルで素敵な役目は、みんなをハッピーに、そして少し耳をキーンとさせて家に帰すことだ。さあ、始めよう」
彼らのステージは、バンドの昔の写真を背後のスクリーンに映しながら“Who Are You”でスタートした。2曲目の“The Seeker”に移る頃には観客も埋まり始め、ヴォーカルのロジャー・ダルトリーはライラック色の眼鏡をかけ全身黒の衣装、そしてサングラスをかけたタウンゼントはステージ上でほとんどのMCを担当していた。
“The Kids Are Alright”は、映画『さらば青春の光』の映像をバックに演奏され、“I Can See For Miles”の前には、ピート・タウンゼントが「この曲を演奏していると、みんなの顔がよく見える。うしろの方にいるみんなも見えてるよ」と語り、続く“My Generation”はピンク色のスモークに包まれたオーディエンスによって熱狂的に迎えられた。
“Bargain”が終わると、リンゴ・スターの息子でドラマーのザック・スターキーの前に置かれた透明な遮音パネルの一部をピート・タウンゼントが破壊するパフォーマンスがあり、続く“Love Reign O’er Me”の演奏中には、照明が暗くなり滝状のライトが背景に浮かんだ。
“Eminence Front”に続いて演奏された“Amazing Journey”では、ピート・タウンゼントのギター・ソロのあいだロジャー・ダルトリーはタンバリンを演奏してみせた。この頃には完全に日も落ち、“Pinball Wizard”が始まるとオーディエンスは大歓声で応え、バックには映画『トミー』の映像が映し出された。“Baba O’Riley”では再びオーディエンスを光が包み、ロジャー・ダルトリーは長いハーモニカのソロをプレイしてみせた。
メンバー紹介時には、タウンゼントが「今日は最高の出来ではないかもしれないが、力を尽くして演奏してるよ。事前にサウンドチェックができていれば、もっと良かったかもしれないけど」と語った。そして最後の曲“Won’t Get Fooled Again”が始まる前、カニエの発言を匂わせると、ロジャー・ダルトリーはスターキーの前に残されていた遮音パネルを完全に破壊してしまった。
演奏を終えたバンドは、オーディエンスの歓声に応えステージに留まり、タウンゼントが「ありがとう、グラストンベリー。毎回、素晴らしい時間を過ごさせてくれる」と挨拶すると、ダルトリーは再度メンバーを紹介し、ピート・タウンゼントについては次のように語った。「俺たちがジョニー・キャッシュやロイ・オービソンみたいな曲をやらないのは、タウンゼントがいるおかげだ。彼らの曲が悪いと言ってるわけじゃないけどね。音楽はチームプレーだ。今夜はみんなが俺たちのライヴを成功させてくれた。心から感謝しているよ。みんなの人生がハッピーで健康なものとなることを願ってる。そして何より、最高にラッキーなものとなることをね」
ザ・フーのセットリストは以下の通り。
“Who Are You”
“The Seeker”
“The Kids Are Alright”
“I Can See for Miles”
“My Generation”
“Pictures of Lily”
“Behind Blue Eyes”
“Bargain”
“Join Together”
“You Better You Bet”
“I’m One”
“Love, Reign O’er Me”
“Eminence Front”
“Amazing Journey”
“Sparks”
“Pinball Wizard”
“See Me, Feel Me”
“Baba O’Riley”
“Won’t Get Fooled Again”
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