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イギリスの音楽業界は半数近くの女性アーティストが業界内でセクシャル・ハラスメントを受けたことがあるとする新たな調査結果が明らかになっている。

イギリスのミュージシャン組合は725人の女性アーティストを対象とした調査を行い、そのうちの48%がこれまでにセクシャル・ハラスメントを受けたことがあるとする調査結果を報告している。

今回の調査によれば「加害者に制裁が課されるケースは稀」であるために、被害者のうちの85%は被害を受けたことを打ち明けられずにいるという。

ここ数年にわたってカーディ・Bやリリー・アレン、マドンナを初めとした音楽業界の多くの女性アーティストたちが業界における性的虐待を批判しており、リリー・アレンは2018年に出版した回顧録『マイ・ソーツ・イグザクトリー(原題)』の中で、かつてパーティーで泥酔した時にレコード会社の重役から性的虐待を受けたことがあると明かしている。

今回、ミュージシャン組合は多くの若手アーティストたちがセクシャル・ハラスメントを原因に業界を去っていると指摘しており、政府に対して被害を防止するためのより強力な法律を整備してほしいと呼びかけている。

事務次官を務めるナオミ・ポールは次のように述べている。「若手や新人のアーティストを筆頭に、性差別やセクシャル・ハラスメント、性的虐待を受けたことが原因でこの業界を去ってしまった才能あるアーティストたちの事例を数多く知っています」

「自らの体験を公にしたミュージシャンたちの多くは現在、名誉毀損で訴えられて法廷で闘っています。私たちはそうした状況についての証拠に対峙しているのです。口に出せばキャリアや本人の人生に甚大な影響が出てしまうために、被害者たちは打ち明けられずにいるというケースがほとんどです」

「我々の知っている限りでも、ほとんどのケースで被害者たちは最終的に職場や業界を離れることを余儀なくされており、加害者に制裁が課されるケースは稀となっています」

匿名を希望しているとあるアーティストは以前、著名な人物からセクシャル・ハラスメントを受けたことをメジャー・レーベルの従業員に報告した時のことを次のように振り返っている。

「私は10人はいたであろうその人からの嫌がらせを報告した女性の1人だったはずですが、私の知る限り、現時点ではいかなるアクションも起こされていません」と彼女は述べている。

「私たちはフリーランスのミュージシャンであり、事案はツアーでのパフォーマンス中に起きています。私の訴えを調査してくれている方からは、単に『男社会』であることが原因だと言われました。多くのケースが報告されないままになっていることにも納得です」

ミュージシャン組合は政府に対して、新たな法律の整備と合わせ、セクシャル・ハラスメントや搾取されるような行為から人々を守るため、職場における義務を規定するよう訴えている。

現時点で政府はミュージシャン組合による報告書に反応を示していない。

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