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イギリス政府は合意のないままにEUから離脱した場合に備え、EUから離脱した後でEU諸国間を移動する際のガイドラインを発表している。

ボリス・ジョンソン英首相は現地時間10月2日にEU離脱に向けた新たな協定案を発表して、合意を得られない場合でも10月31日をもってEUから離脱する考えを示している。

今回、デジタル・文化・メディア・スポーツ省は合意のないEUからの離脱に備え、EU離脱後にEU諸国を移動する際のガイドラインを発行している。ガイドラインは人や物、動物、機材などの移動について、EU加盟諸国に入国したり持ち込んだりする前に確認すべき主な事項が記されたものとなっている。

ガイドラインによれば、仕事でEU加盟国に移動する場合には、少なくとも6ヶ月以上の期限が残っている英国パスポートを持っている必要があるとのことで、労働許可証やビザなどのさらなる書類が必要がどうか、訪れる国の規則を確認するよう記されている。一方で、EUから離脱した後でもアイルランドに入国する際にはこのルールは当てはまらないという。

ガイドラインには社会保障や健康・旅行保険についてや、ツアー・ヴァンなどの車でEU諸国に入国する際の手続きについても記されている。バンドなどが車でEU諸国に移動する際には、事前に保険会社から発行される「グリーン・カード」のほか、イギリスを意味する「GB」のステッカーを貼る必要があるとのことで、一部の国では国際運転免許証も携帯する必要があるという。

また、物や機材の移動に関しては、持ち込む先の国の通関手続きを確認し、関税がかかるために持ち込む物の価格を把握しておくように奨励されている。

ガイドラインにはイギリスが合意のないままにEUから離脱した場合、物を輸出入する際に事業者識別のためのEORI番号が必ず必要になることも明記されており、歳入税関庁から「可能な限り早急に」取得するよう奨励されている。

英国政府が発行したガイドラインはこちらから。

https://www.gov.uk/guidance/touring-europe-if-theres-no-brexit-deal?

昨年、ロビー団体の「UKミュージック」でCEOを務めるマイケル・ダガーはEU離脱について、UKのライヴ音楽産業やアーティストのツアーに悪影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。

「移動の自由を終わらせることは、イギリス経済に年間10億ポンド近く貢献している急成長中のライヴ音楽産業を深刻な危機に陥れることになるでしょう」とマイケル・ダガーは公開書簡で述べている。「コストのかかるお役所仕事によって、ツアーで生計を立てなければならない、将来的に世界をリードする可能性を秘めているアーティストに対して、ハンマーで殴るようなダメージを与えることになるのです」

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