ザ・キュアーは現地時間3月29日にブルックリンのバークレイズ・センターで開催された式典でロックの殿堂入りを果たしている。
ザ・キュアーは今年、レディオヘッド、ジャネット・ジャクソン、スティーヴィー・ニックス、ロキシー・ミュージック、デフ・レパード、ザ・ゾンビーズと共にロックの殿堂入りを果たすことが発表されていた。
殿堂入りの紹介役はナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが務めている。
トレント・レズナーによる紹介スピーチの訳は以下の通り。
「こんばんは。トレント・レズナーです。今夜、ここにいるのは20世紀において最も急速に注目を集め、サウンド的にもユニークなロック・バンドに賛辞を送り、敬意を示すためです。今夜、ザ・キュアーがロックの殿堂に入るのです」
「私は小さな町で育ちました。アメリカの小さな町です。正確にはペンシルヴァニア州のマーサーというところです。とうもろこし畑の他には何も見るべきものはありません。当時は牧歌的な時代で、インターネットのミラクルが起きて、我々の素晴らしいアート・フォームが価値を下げる遥か前でした。MTVよりも前の時代で、ラジオに聴くものはなく、夢を描き、逃避する以外にすることはありませんでした」
「家を出て、大都市で暮らす時が来ました。私の場合、大都市とはクリーヴランドでした。そして、すべてが変わりました。80年代中盤にカレッジ・ラジオを聴くことができるようになったことで、私の頭は無限の可能性と共に爆発することになりました。これが私にとってのオルタナティヴ/アンダーグラウンド・ミュージックの洗礼だったのです。そのサウンドが最終的にナイン・インチ・ネイルズが目指すものを教えてくれたのです」
「そうした音楽の洪水に魅了されるなかで最も重要な局面の一つが初めてザ・キュアーを聴くようになったことです。すぐにこのバンドは私の琴線に触れることになりました。私が初めて聴いたアルバムは『ザ・ヘッド・オン・ザ・ドア』で、それまでにこんなものは聴いたことがありませんでした。私が頭の中で感じていた多くの闇がスピーカーから再現され、私は圧倒されました。それは私のために書かれた音楽のようでした。これまで私は人生を通して自分はどこにも合わず、属すことができないという感情と闘ってきました。今もそうだったりします。ザ・キュアーを聴いて、繋がりを感じ、もう世界で孤独ではないのだと感じました。音楽の持つ力はユニークで特別だと思ったことの一つです」
「サウンド、歌詞、体裁だけではありません。それらは最も素晴らしいインストゥルメンタルによってまとめられていました。ロバート・スミスの声です。その声は怒り、悲しみ、絶望といった感情から美しさ、弱さ、喜びまで幅広い感情を表現できるのです。うぶに聞こえるかもしれませんが、『ザ・ヘッド・オン・ザ・ドア』を聴くまで、あんなにも難解で深淵な考えを書くことができるとは思っていなかったのです。でも、それをラジオでかけてもらえうような成功を収める曲でやれば、内側から規範に挑むことができるのです」
「とにかく、アナログ盤の溝が擦り切れるまで、あのアルバムをノンストップで聴いていました。そして、遡るようにアルバムを聴いていきました。そこには豊潤で重要なバック・カタログが私を待っていたのです」
「ザ・キュアーとなるバンドは1976年にイギリスの郊外であるクローリーの僻地で結成され、メンバーは全員そこを抜け出すことを夢見ていました。4人の空想少年です。ロバート・スミス、ロル・トルハースト、マイケル・デンプシー、ポール・トンプソン、彼らは数マイル先のロンドンで起こったパンクの勃興と育ちながら愛してきたアメリカのヘヴィなサイケデリック・ロックに刺激されていました」
「何度かのメンバー・チェンジとタイムレスなポスト・パンク&ニュー・ウェイヴの創造を経て、1980年代に突入したバンドは今後10年の、その音楽とアティテュードと見た目を決定づけたバンドの一つとなりました。シンガー、ギタリスト、ソングライターのロバート・スミス、ベーシストのサイモン・ギャラップ、ドラマーのロル・トルハーストは3枚の名作『セブンティーン・セコンズ』、『フェイス(信仰)』、『ポルノグラフィ』に参加し、ゴシック/オルタナティヴ・ロックと知られるものを形作る手助けをしたのです」
ザ・キュアーのロバート・スミスは手短に「ロックの殿堂入りを果たすなんて素晴らしい驚きだったよ」と述べ、この日バンドは5曲のパフォーマンスを披露している。
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