レディオヘッドのフィリップ・セルウェイはバンドのドラム・クルーを務めていたスコット・ジョンソンが亡くなった2012年のトロント公演でのステージ崩壊事故についての審問が始まったことを受けて、その審問で自分たちの抱える「怒りと苛立ち」について語ったという。
バンドのドラム・クルーを務めていたスコット・ジョンソンは2012年の6月にトロントのダウンズヴュー・パークで公演を行うための準備を進めていたなか、ステージが崩壊したことが原因で亡くなっている。ドンカスター出身の33歳だった彼はキーンを初めとした多くのツアー・アーティストと仕事をしてきていた。この事故では他に3人がケガをしている。
2013年、カナダのオンタリオ州の労働局は労働安全衛生法に違反した疑いで、ライヴ・ネイションと足場を組んだ「オプテックス・ステージング・アンド・サーヴィス」と技術士のドメニック・カリアリを起訴している。ライヴ・ネイションは訴訟の中で違法行為はしていないと否定している。数年にわたる延期を経て、裁判は2017年に「停止」されていた。
BBCの報道によれば、ドラマーのフィリップ・セルウェイは昨日証言を行っており、その中でバンドやクルー、スコット・ジョンソンの遺族が感じている「怒りと苛立ち」、ならびに「司法機関の完全な過ち」に対する落胆について語ったという。
「司法機関がスコットや彼の遺族、この業界の他の労働者を裏切ったのです」
事故についてフィリップ・セルウェイはバンドメンバーも「最高潮にまで達するガラスの割れる、ものすごい大きな音を聴いた」とし、その後、何が起きたかが分かったと語っている。「この崩壊によってこれまで安全だと感じていたところも危なくなってしまったのです」と彼は続けている。
彼は続けてバンドがリスクを少なくするためにステージをデザインする方法を変えたとし、第三の事業者が関わる時はいつでも安全を確保するためのツアー・エンジニアを雇っていると述べている。
スコット・ジョンソンについては「最高の仕事をしていた」と追悼の意を表している。
Radiohead drummer Phillip Selway says he is here at the Coroners inquest into the death of Radiohead drum tech Scott Johnson at Downsview Park in 2012, because he wants to make sure the band does everything they can for Scott and his family pic.twitter.com/pIUbeXFDdy
— Momin Qureshi (@Momin680NEWS) March 25, 2019
審問を終えた後、外で取材陣に対してフィリップ・セルウェイは次のように語っている。「この件の中心にあるのはスコットを亡くしたということなんだ。スコットの父親であるジョンソン氏の証言も聞いたよ。彼の遺族に及ぼしてしまったものを家に持ち帰ることにするよ」
「あの日、レディオヘッドと共に働いてくれていたクルーのメンバーとは話をしてきたんだ。あの日の記憶や感情について訊いてきたんだよ。関わっていた人全員がものすごい影響を受けていてね。(審問が)やっと行われたことを喜んでいるよ」
レディオヘッドは昨年、スコット・ジョンソンが亡くなった事故についての説明責任を果たすよう呼びかけている。
フロントマンのトム・ヨークは昨年の7月にステージ崩壊事故が起きて以来初となるトロント公演で観客に次のように呼びかけている。「僕らはトロントで公演をやりたいと思っていたんだけど、ステージが崩壊して、仲間であり友人の1人を失ったんだ」
「君たちの街では説明責任を負う人たちがその責任を果たしていないままでね。その沈黙っぷりといったら、ひどいものなんだ」
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