ウエストライフの楽曲が、ヘヴィ・メタルとともに、アフガニスタンでスレイマン・アブドラという人物を拷問する際に終始使われていたことを、人権擁護団体が明らかにしている。
「アウト・オブ・ザ・ダークネス」と呼ばれる報告書の中で、米国自由人権協会(ACLU)は、スレイマン・アブドラを追い詰めるために音楽がどのように繰り返し使われたのかを説明している。この中で、ウエストライフのアルバム『コースト・トゥ・コースト』に収録されている、2000年のシングル“My Love”が名指しされている。ヘヴィ・メタルの曲については特定の曲は挙げられていない。
「彼の尋問にあたった者は、“My Love”という甘い曲とヘヴィ・メタルの音楽を、耳をつんざくような大音量で繰り返し流した。タンザニア出身の新婚の漁師であるスレイマンに対して、尋問者はこのラヴ・ソングは彼のために特別に流してやっているのだと話したという。スレイマンは妻のマジダと結婚してわずか2週間後、CIAとケニアの調査官たちによりソマリアで拘束されている。彼はソマリアのスワヒリ海岸周辺で漁業を営み、取引を行いながら暮らしていた。彼がマジダに会えることは、二度とないかもしれない」
「音楽は、収容者たちを精神的に苦しめるための策として、常に大音量で使用されていた。音が止むのは、CDが飛んだ時かディスクを交換する時だけだ。この時に収容者たちは、他に誰が捕まっているのか把握しようと、必死に他の者に向かって呼びかけるという。収容所には、腐敗した海藻を思わせるような悪臭が充満していた。彼の独房は真っ黒で、何も見えなかった。米国政府はこの収容所を『コバルト』と呼ぶ。一方で、スレイマンは『ザ・ダークネス(暗闇)』と呼んでいる」
拷問と結び付けられたアーティストは、ウエストライフが初めてではない。2005年にはエミネムやドクター・ドレーが、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書の中で取り上げられており、昨年にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズの曲が、グアンタナモ収容所で使用されていたことも明らかになっている。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズのメンバーはこれに対して不快感をあらわにし、ドラマーのチャド・スミスはゴシップ・サイト「TMZ」に次のように語っている。
「もっとこう……ハード・ロックやメタルといった音楽を使ってるって聞いてたんだけど……。俺たちの音楽はポジティヴなものなんだ、聴く人の気分を良くするためのものなのに……腹が立つよ、すごく不快だね。バカげてる」
「俺たちの音楽をうるさく感じる人もいるかもしれないけど、そんなことは気にならない、でも、分かるだろ…(彼らは)あんなことはすべきじゃない。あんなバカげたことはするべきじゃないんだ」
ウエストライフの“My Love”はこちらから。
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