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ロビー団体の「UKミュージック」は政府による移民を制限するための新たな法改正案に対して音楽業界からの懸念について耳を傾けるよう求めている。

議会での正式な議論に先立って、イギリス政府は現地時間12月19日にEU離脱後のイギリス国内の移住者についての法改正案をまとめた報告書を提出している。

報告書には移民諮問委員会からの提案に基づいて、5年間のビザを求める技能移住者には3万ポンド(約425万円)の最低賃金が必要になるという案が記されている。

UKミュージックが発行したプレスリリースによれば、もしこの報告書が承認されれば、イギリスのカルチャー業界はEU諸国から報復処置を受ける可能性もあると指摘されている。すなわち、イギリスのアーティストがEU諸国で仕事をする際に、複雑な手続きや追加のコストがかかってしまうようになる可能性があるのだという。

「UKミュージック」のCEOであるマイケル・ダガーは今回、政府に対して世界をリードしているUKの音楽業界を危険に晒すような措置を取らないよう警鐘を鳴らしている。

「イギリスの音楽業界はこの国の経済に45億ポンド(約6400億円)もの貢献をしており、ライヴ産業に至ってはそれだけで10億ポンド(約1400億円)の貢献をしています」とマイケル・ダガーは述べている。

「これまでに何度も指摘してきたことですが、EU離脱後のイギリスで働く自由を保証する際に取るに足らない報酬や能力の条件を設けることは、多くのアーティストやミュージシャンにとって好ましいものではありません。そうなれば、世界をリードするようなイギリスのフェスティバルやライヴ会場、スタジオでヨーロッパ出身のミュージシャンが働く機会を制限してしまうことになりかねません」

マイケル・ダガーは「もしEUからも同様の措置がなされれば、ビザの免除は効かなくなるわけですから、不可能になるとは言わないまでも、多くのイギリス出身ミュージシャンにとってEU圏内でツアーをすることが難しくなるでしょう」とも指摘している。

「彼らはこれらの活動を通じてオーディエンスを獲得するのであり、音楽で生計を立てる方法を見つけていくのです」

彼は次のように続けている。「今なお、政府内にこのような意見に耳を貸そうとしない方がいることは極めて遺憾です。この上なく無知な対応だと思います。世界をリードするイギリスの音楽業界の援助をやめないことは極めて重要です」

先月、マイケル・ダガーはイギリスのテリーザ・メイ首相に対してEU離脱がライヴ産業やアーティストのツアーに与える影響について記した手紙を送っている。

また、英国レコード産業協会は今年9月にEU離脱が与えうる悪影響に警鐘を鳴らしている。英国レコード産業協会は、イギリスのEU離脱によって音楽の輸出入に経済的な悪影響が出ないようEUとの「強力な」合意が必要だと述べている。

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