ザ・ポーグスのフロントマンであるシェイン・マガウアンは、クリスマス・ソング“Fairytale of New York”について「同性愛嫌悪」だとして“オカマ(faggott)”という言葉をなくすべきだとする批判に反応を示している。
ニュースサイト「ザ・タブ」の記者であるトーマス・ヘインズは先日、“Fairytale of New York”の歌詞について「(黒人の蔑称である)Nワードを使うのと同じくらいひどい」とする記事を掲載している。
トーマス・ヘインズが不快だと指摘している歌詞は以下の通り。「『あんたはクズなパンク野郎よ』/『お前はベッドの上で注射を打ちながら半分死にかけてる、ジャンキーな淫乱ババアだよ』/『汚らわしいのよ、この蛆虫。安っぽい不潔なオカマみたいな人ね。ハッピー・クリスマス、クソ野郎。これがあんたに会う最後になることを神に祈るわ』」
今回、シェイン・マガウアンはコメントを発表して、当該の歌詞について「同性愛への嫌悪」を意図したものではないと述べている。
「キャラクターがあの言葉を使っているのは、彼女の話し方だったり性格に合っているからなんだ。彼女がいい人である必要はなかったし、健全な人である必要もなかった。彼女はある時代に生まれたある世代の女性で、ツキに見放されてやけになっていたんだ」とシェイン・マガウアンは声明で述べている。
「俺が歌詞を書いていく上で、彼女の言葉遣いはふさわしいものだった。差別するつもりで言っているわけではないんだ! 人間らしいキャラクターとして彼女は作られているし、曲に登場するあらゆる登場人物も物語も、天使たちの物語ではないし、まともな奴らでも立派な奴らでもないんだ。物語を効果的に伝えるために、楽曲に登場するキャラクターたちは時に悪魔だったり失礼な奴らになる必要があるんだよ」
トーマス・ヘインズは議論の発端となった記事に次のように記している。「一部の人たちにとって、『オカマ』という言葉は同性愛嫌悪者と敵対する一つの攻撃方法でしかなく、頭の悪く無知な『ストレートの人』を冷笑する手段でしかないのかもしれません。しかしながら、その言葉によって、オンライン上や現実世界でイジメられた経験や、その言葉を侮辱として友人たちが話していたことを思い出してしまう人たちだっているのです」
トーマス・ヘインズはザ・ポーグスのバンドメンバーやゲスト・シンガーを務めた今は亡きカースティ・マッコールは誰一人としてゲイではないとしてYouTubeに同曲をサイトから取り下げるよう訴えている。
トーマス・ヘインズの記事には反論も寄せられている。フェイスブックのユーザーであるアシュリン・デイリーは、カースティ・マッコールはシェイン・マガウアンとの会話形式の歌の中で、“faggot”を「だらしない人」を意味する昔のアイルランド英語のスラングとして使っているに過ぎないと指摘している。
アシュリン・デイリーは記事が掲載されたフェイスブックへの投稿のコメント欄に次のようにコメントしている。「“Fairytale of New York”はアイルランド人の男性によって書かれています。“Faggot”は昔のアイルランド英語のスラングで、『だらしない人』や『浪費家』という意味を持つ言葉であり、シェイン・マガウアンはそういう意味で曲に書いていると思います。同性愛嫌悪とは一切関係がありません」
また、クリス・バッドラッド・スミスは次のようにコメントしている。「申し訳ないけど、一人のゲイとして……この曲には攻撃されているような感じがしないんだ……これまでもそうだし、これからもそうだと思う……一部の人たちは自分自身で乗り越えないといけないんだと思う」。一方で、マーク・デヴィッド・ジョンソンは次のようにコメントしている。「真面目に取り合うべきなのか分からないね。自意識過剰すぎるんだよ」
また、ツイッターでも“faggot”という言葉の使用について多くの人々が持論を展開している。
クリス・ブロスナンは次のように述べている。「90年代に学校でいろいろなアダ名で呼ばれた者として、『オカマ』という言葉は『だらしない』っていう意味じゃないよ。それに、ザ・ポーグスはイギリス系アイルランド人であって、ロンドンでギグをやっていたんだ。“Fairytale of New York”に出てくる『オカマ』が攻撃的じゃないというのは歴史を書き換えようとしているのと一緒だよ」
As someone who got called quite a lot of names in the 90s at school, 'faggot' did not mean 'lazy'. And the Pogues were British-Irish, gigging in London. In Fairytale of New York, the idea that 'faggot' wasn't abusive is a transparent attempt to rewrite history.
— Chris Brosnahan (@ChrisBrosnahan) December 5, 2018
アダム・トナーは1988年にリリースされた“Fairytale of New York”について、「『安っぽい不潔なオカマ』という歌詞を取り除くべきか決める」投票を行うべきだとツイートしている。
また、@Ginandchronic__というユーザーは次のようにツイートしている。「ザ・ポーグスは、お金のためにアイルランド英語のステレオタイプを復活させる最低な人たちよ。もしも今年のクリスマスに私の前で『オカマ』なんて言ったら、ケンカをふっかけてやるわ。“faggot”という単語はアイルランドに限らずどこでだって受け入れられないものよ。こればっかりは譲れない」
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