ポール・マッカートニーやジャック・ホワイトらはザ・ビートルズの伝説的レコーディング・エンジニアのジェフ・エメリックに追悼の意を表している。
ザ・ビートルズの数々のレコーディングを手掛けたジェフ・エメリックは現地時間10月2日に亡くなっている。享年72歳だった。
オフィシャル・サイトへの投稿でポール・マッカートニーは仕事での密接な関係と友人関係に触れ、次のように述べている。「いつだって彼のことは大きな好意と共に思い出すことになるだろうし、彼の仕事は音響の専門家たちによって長く記憶されることになることは分かっている」ポール・マッカートニーはジェフ・エメリックのユーモアとスタジオでの技術に敬意を表し、次のように続けている。「僕らが彼に提案した多くの新しいアイディアに常にオープンでいてくれた」
ジェフ・エメリックは15歳の時にアビイ・ロード・スタジオで初めてザ・ビートルズに出会っている。“Love Me Do”や“I Want To Hold Your Hand”、“She Loves You”といった名曲での仕事が認められて、最終的にジェフ・エメリックはザ・ビートルズのチーフ・エンジニアとなっている。
チーフ・エンジニアとしてジェフ・エメリックは『リボルバー』、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』、『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』、『アビイ・ロード』といった数々の名作を手がけてきた。
ポール・マッカートニーによる追悼文の全文訳は以下の通り。
「僕がジェフと初めて会ったのは彼が若いエンジニアとしてアビイ・ロード・スタジオで働いている時だった。彼はメインのエンジニアになることになって、たくさんの僕らザ・ビートルズの楽曲を手掛けることになった。彼にはユーモアのセンスがあって、スタジオで取り組む僕らのアティテュードにぴったりでね。僕らが彼に提案した多くの新しいアイディアに常にオープンでいてくれた。彼は僕らがどんなものを聴きたいか理解してくれるようになって、それを達成するためにあらゆる技術を開発してくれた。彼はバスドラのために特殊なマイクを採用し、僕らが彼に求めたサウンドを実現するために戦略的に使ってみせた。僕らは多くの素晴らしい時間をスタジオで過ごし、一度も期待を裏切らなかった。ザ・ビートルズの後も彼とは仕事を続け、僕らの関係は住んでいる国の近くの教会で、彼が美しい妻のニコルと結婚する時まで続いたんだ。
『バンド・オン・ザ・ラン』をレコーディングする時にはナイジェリアのラゴスまで来てくれた。このアルバムで取りたい方向性を説明するために彼に聴かせた何枚かの45回転盤を持って、半分までできたスタジオに着いた時のことを覚えている。僕は彼に曲がスペースをちゃんと生まれることを求めて、彼は喜んでそれを提供してくれた。僕らは長年にわたって連絡を取り続け、僕らの電話やメッセージにはいつも笑いがあったんだ。
彼はロサンゼルスのヘンソン・スタジオを訪ねてくれて、今年も彼に会ったんだ。僕らが『エジプト・ステーション』の仕上げをしている時で、彼はいつも通り明るくフレンドリーで、聴かせたミックスも認めてくれたんだよ。
いつだって彼のことは大きな好意と共に思い出すことになるだろうし、彼の仕事は音響の専門家たちによって長く記憶されることになることは分かっている」
ジャック・ホワイトはジェフ・エメリックについてザード・マン・レコーズのインスタグラムで追悼の意を表し、「音楽史において最も重要で、過小評価されているヒーローの1人」と評している。
「今日、世界はアーティストの巨人を失った」と彼は述べている。「ジェフ・エメリックは音楽史において最も重要で、過小評価されているヒーローの1人だった。彼はレコーディングでマイクをバスドラやストリングスの近くに置いた最初の人だったんだ。“Strawberry Fields Forever”での彼のエディットはレコーディング技術を永遠に変えることになった。彼の決断は、その功績を認められることはなかったけれど、黒子としてポップ・カルチャーに影響を与えたんだ。『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』という本を探してみてくれ。安らかに」
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