ディープ・パープルのシンガーであるイアン・ギランは元バンドメイトであるリッチー・ブラックモアのバンドへの復帰について語っている。
イタリアのラジオ局「ラジオ・ロック・FM106.6」のインタヴューに答えたイアン・ギランはディープ・パープルが終わりを迎える前に、元ギタリストのリッチー・ブラックモアが一夜限りか、もしくは1曲限りでバンドに復帰する可能性はあるかと訊かれると次のように答えている。「一つ例を挙げてみるよ。君が過去に離婚しているか、離婚したばかりで、不穏な空気が漂っていて難しい状況にあるとしよう。たくさんの親戚や子供たちが関わっているけど、人生は続いているっていうね」
「そして、君がもう一度結婚したとする」とイアン・ギランは続けている。「すると誰かにこう言われるんだ。『ねえ、前の奥さんとも、新しい奥さんとも一緒に暮らしてほしいんだ。きっと素晴らしい人生が送れるよ』ってね。それが人間としていかに難しいか分かるかい? 自分たちがプロで責任もあるっていうことは今も自覚しているんだけど、正直に言って、僕たちはこれまで、決断する時に商業的な側面やファンのためだとか、そういうことは一度も考えたことがないんだ。僕たちは常に一番自然だと思えることをやって、自分たちの情熱に従って、それをオーディエンスが気に入ってくれたらって思っているんだ」
「これまでの歴史は誰もが知るところだからね」とイアン・ギランは語っている。「リッチーが抜けた時、ディープ・パープルは下り坂だったんだ。その後でスティーヴ・モーズが加入して、僕たちはまた上り坂に戻ったんだよ。そういうわけで、広い視点から考えれば(リッチー・ブラックモアの再加入は)不可能なんだ。歳を経ると誰もそういうことに興味を持たなくなるだろうし、再加入は年々難しくなっていくだろうね」
「何もリッチーに対してとりわけ強い感情だったり嫌悪感を抱いているわけじゃないんだ。実際のところ、事務所を通じてコミュニケーションを取ったりアイディアのやり取りをしたりしているし、そういう意味では厄介な感情は残ってないと僕は思っているよ。けど、もう手遅れだと思うんだ。僕たちはもう(バンドを)終わらせることを考えていてね。それでも、ひと段落したらまたこの一連の流れが始まるんだろうけどさ」
「僕が知る限り、バンドにいる全員が(リッチー・ブラックモアの再加入は)よくない考えだって言うと思うよ」とイアン・ギランは続けている。「だからもう忘れよう。リッチーの幸運を祈って、彼は自分のことを続けて、僕たちも自分たちのやるべきことをやるっていうね。今は何もかもが順調に進んでいるんだよ」
イアン・ギランはまた、リッチー・ブラックモアの再加入を求める声について「何度も聞くようなこと」ではなく「一部の少数の人たちが望んでいること」だとして、次のように続けている。「それに、そういうことを言っているのはコンサートに来ないような人たちだと思うよ。僕はそう思うんだ。これはジャーナリストが好きこのんで何度も噛み続けている些細な話題の一つだよ」
「傷ついた所が治りかかっていて、綺麗なかさぶたもできて2〜3日後に完治するかなと思っていたら、誰かに棒で刺されて傷を開かれるんだ」とイアン・ギランは続けている。「リッチー・ブラックモアとディープ・パープルの間に起きているのはそういうことなんだよ。治りかけるたびに、誰かがやって来て棒で刺されるんだ。そこが問題なんだよ」
「俺たちはもう終わりが近いからね。1年か2年か、3年か4年か……僕にも分からないけどね。誰に分かるって言うんだ? けど、終わるんだ。(ドラマーの)イアン・ペイスが言っていたように、俺たちは今幸せなんだ。雨は止んだんだよ。今は太陽が照りつけてる。それを楽しむとするよ」
イアン・ギランのインタヴューはこちらから。
ディープ・パープルは、昨年「ザ・ロング・グッドバイ」と銘打ったツアーを発表して、およそ50年のキャリアに終止符を打つことを示唆している。バンドは「ザ・ロング・グッドバイ」ツアーで10月に来日公演を行うことも決定している。
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