通算11作目となるニュー・アルバム『リペントレス』を9月11日にリリースしたスレイヤーだが、同作は2013年に亡くなったバンドのオリジナル・メンバーでギタリストのジェフ・ハンネマンが参加していない初のアルバムとなっている。音楽サイト「ブラバーマウス」のインタヴューで、ケリー・キングがジェフ・ハンネマンについて振り返っている。
ジェフ・ハンネマンは死亡する2年前に、自宅の裏庭で蜘蛛に噛まれたことにより壊死性筋膜炎を患っており、ギターを弾くことが困難になっていた。
ジェフ・ハンネマンの生前、『ギター・ワールド』誌のインタビューで、ニュー・アルバムの制作にジェフ・ハンネマンが関わる可能性について問われたベーシスト兼ヴォーカルのトム・アラヤーは、次のように答えている。
「ないね。ジェフはなんていうか……話し合うのが難しい人間なんだ。姿を消すと電話にも出ないしメールの返信もない。最後には『なあ、何でもいいから返信をくれないか。生きてるかどうかだけでも知らせてくれ』って連絡をして、やっと返信がある感じなんだ。デイヴ(・ロンバード/ドラマー)の脱退について話し合った時でさえ、ジェフは新しい曲を作ってるからって、みんなにメールを送ってきたんだ。実際に作曲をしてたんだけど、彼の本質は演奏能力じゃないかな。速弾きの技術さ。俺たちの音楽ではすごく重要になってくるんだけど、あいつはうんざりしてたな。でも、俺たちはみんな練習するように言い続けたよ。『良くなるよ。難しいかもしれないけどまた出来るようになるから』って。俺たちはあいつに音楽を続けるように励ましたんだ」
またギタリストのケリー・キングはこう付け加えている。「(ジェフが)負傷してから7ヵ月くらい経った頃、あいつをすべてのツアーのリハーサルに呼んで、戻ってくるように働きかけたんだ。あいつも頑張ったけど、でも元のあいつじゃなかった。今までで一番辛いことを言わなけりゃならなかったよ。『お前はまだ戻れる状態じゃない』って。あいつは25年間ずっと俺の相棒だったし、あいつが人生を捧げたバンドのツアーなのに、参加できないって言わなけりゃならなかったんだ。最悪だったよ」
ジェフ・ハンネマンがそのことで傷ついたかと問われると、ケリー・キングは次のように答えている。「分からないね。辛いことだった。俺が言えるのは、ゲイリー(・ホルト/現在のスレイヤーのギタリスト)がもうその時点で、長いこと俺たちと活動していて、マジで完璧に、その役割を果たしていたってことだ。ジェフにはこう言ったよ。『もしお前がステージに上がっても観客の心を掴めなかったり、もしくは忘れられちまっていたら、それは演奏が完璧じゃないってことだ。俺はお前の残りの人生を、そんな(状態を撮られた)YouTube動画と一緒に生きて欲しくない』ってな。今となっちゃ、くだらない考えに思えるけど。でも、本当に辛いことだったんだ。俺たちはみんなあいつを戻そうと努力したけど、実現しなかった。もしあいつが生きていたとしても、もう一度あのジェフ・ハンネマンに戻れていたかどうかは分からないよ」
ジェフ・ハンネマンはアルコールに起因する肝硬変により、2013年5月に亡くなっている。彼は、“Angel Of Death”や“South Of Heaven”を含むスレイヤーの代表的な楽曲の多くを作曲している。
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