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スティーリー・ダンのウォルター・ベッカーの遺産管理団体は元バンドメイトであったドナルド・フェイゲンから送られてきたスティーリー・ダンの名称の所有権を巡る訴状に対して異議を唱えている。

ウォルター・ベッカーは今年9月に67歳で亡くなっている。ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーは1970年代初頭にカリフォルニア州に移住した後、スティーリー・ダンを結成し、1972年にデビュー・アルバム『キャント・バイ・ア・スリル』をリリースしている。ドナルド・フェイゲンはウォルター・ベッカーの死後、声明の中で次のように追悼の意を表明している。「幸運にも彼は鞭のようにスマートな素晴らしいギタリストにして偉大なソングライターだった。彼は自分自身を含む人間の本質についてシニカルであり、とんでもなく面白い奴だった」

ドナルド・フェイゲンは先週、スティーリー・ダンの名称の所有権を巡ってウォルター・ベッカーの遺産管理団体を相手取って訴訟を起こしている。争点となっているのは1972年にスティーリー・ダンのメンバー間で交わされたという相互売買協定で、メンバーの誰かが亡くなったり脱退した際には残ったメンバーでその人が持っていた持ち分を買い取るという内容だったという。

ここ数年はドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの2人が権利所有者となっていたが、ドナルド・フェイゲンは亡くなった4日後にこの売買協定について主張している。一方、ウォルター・ベッカーの遺産管理団体は1972年の契約が「法的な拘束力や効力」がないとしている。ウォルター・ベッカーの遺産管理団体はスティーリー・ダンの所有権の50パーセントをウォルター・ベッカーの妻であるデリア・ベッカーに譲渡しようとしているという。

また、ドナルド・フェイゲンは当該の相互売買契約が有効であるとする判決に加えて、ウォルター・ベッカーの遺産管理団体がスティーリー・ダンのウェブサイトを管理しており、アクセスを共有することを断られたとして100万ドルを超える額の賠償金を求めている。ドナルド・フェイゲンの主張が認められれば、ドナルド・フェイゲンがスティーリー・ダンの名前やそれに付随するあらゆる権利の唯一の所有者となる。

ドナルド・フェイゲンは他にも、経理記録を開示しなかったとしてバンドのビジネス面の管理会社であるニグロ・カーリン・シーガル・フェルドシュタイン&ボルノ社を訴えている。

ウォルター・ベッカーの遺産管理団体はその後ドナルド・フェイゲンの主張に異議を唱えており、ウォルター・ベッカーが亡くなった4日後に送られてきた主張に反論している。

ウォルター・ベッカーの遺産管理団体による主張は以下の通り。

「私たちは、サンクスギビングデーの前日にドナルド・フェイゲンが50年来のパートナーであるウォルター・ベッカーの遺産管理団体を相手取った訴訟を起こしたことを遺憾に思っています。ドナルド・フェイゲンが言及している、45年前に締結された契約はウォルター・ベッカーが亡くなった際には効力を持っていなかったと我々は確信しています。

ドナルド・フェイゲンは、ウォルター・ベッカーの死後すぐに彼の遺族に対して法的措置を取れるよう、彼の死の翌日に弁護士を通じて半端な真実や省略に満ちた誤解を招きかねない催告書を送付してきました。また、ウォルター・ベッカーの妻であるシオフィが先に法的措置を取ったというのはまったくもって事実ではなく、虚偽の主張であります。我々の見解では、ドナルド・フェイゲンは不公平なやり方でウォルター・ベッカーの家族が連帯労働で得た果実を奪おうとしているのです。

ウォルター・ベッカーの死後、我々はドナルド・フェイゲンと和解できるよう努力して参りました。我々は彼の長年の顧問と合意寸前まで至ったのですが、ドナルド・フェイゲンが突然解雇してしまったのです。我々はその後、後任の方と誠意を持って話し合ってきましたが、彼もまたドナルド・フェイゲンによって解雇されてしまいました」

スティーリー・ダンは先月、ウォルター・ベッカーが亡くなって以来初となる公演を行っている。公演では、ウォルター・ベッカーへの追悼として誰も使用しないマイクスタンドがステージの中央に立てられている。

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