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ニック・ケイヴが、イスラエルでの公演をキャンセルするよう圧力をかけられるなか、ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズとして公演を行った理由を説明している。

ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズは現地時間11月19日にテルアビブのメノーラー・ミヴタキム・アリーナで公演を行っており、続けて現地時間11月20日にも公演が予定されている。2公演ともチケットはソールドアウトとなっている。

ニック・ケイヴはこの公演に先駆けて記者会見を行っており、議論を読んでいるイスラエル公演を行うことにした理由について語っている。ロジャー・ウォーターズやサーストン・ムーアといったミュージシャンはこの方針について批判しており、「アパルトヘイトが存在している限りは」公演をキャンセルするよう促していた。

「私のことで言えば、私たちは20年前くらいにもイスラエルに来ていて、イスラエルでツアーも何回か行っています」とニック・ケイヴは語っている。「イスラエルには大きな繋がりを感じました。みんな自分の国への愛を語るものですが、ある種そういうレベルの、本当に表現できないくらいの繋がりを感じたのです」

さらに彼は、20年もの間イスラエル公演を行わなかったことについて、1997年発表の作品『ザ・ボートマンズ・コール』がイスラエルで「失敗し」、成功を収めることができなかったのが原因だったと説明している。ニック・ケイヴは報道陣に対して世界の中でもこのような地域でツアーをすることは「お金もかかるし、手間もかかる」ことだと語っており、「その上、ロジャー・ウォーターズやその仲間たちから公の場で辱めを受けるといったことも味わう必要があるのです」と述べている。

「みんなの前で顔に泥を塗られたい人などいません」と彼は語っている。「僕たちが最も恐れているのは、ある意味で公の場で辱めを受けることなのです。恥ずかしながら、約20年間、僕がやってきたのはそういうことです。つまりイスラエルのことが持ち上がろうものなら『やめとこうよ』と僕は言っていたんです」

ニック・ケイヴは自身の態度に変化が訪れたきっかけは、ブライアン・イーノが3年前にアーティスツ・フォー・パレスチナのリストに署名をするよう求めてきた時だったことを明らかにしている。「かなり直感的なレベルで、署名をしたくないと思ったんです」と彼は語っている。「その一覧が、僕にはどこか胡散臭く思えたのです。それで、僕はこんな一覧には署名しないと思うようになったのです。一方で、イスラエルで公演をするつもりもありませんでした。しかし、それは本当に臆病なことのように僕には思えました」

「それで、じっくり考えて熟考を重ねた上で、僕は周りのみんなに電話して『ヨーロッパ・ツアーをして、イスラエルで公演をすることにしたよ』と言ったんです。だって、私にとって、ミュージシャンを締め出し、脅し、検閲し、黙らせようとする人々に対峙することが、思いがけずとても重要なことになったのですから。結局のところ、僕がここにいるのには大まかに言って2つの理由があります。1つ目は、イスラエルが大好きであり、イスラエル人を愛しているからです。そして2つ目は、ミュージシャンを検閲し黙らせようとする人たちに対して、信念を持って対峙するためです。だから、実際のところ、ある意味ではBDS(ボイコット、ダイベストメント、サンクション)があったから僕はイスラエル公演をすることにしたとも言えるでしょう」

「ザ・パレスティニアン・キャンペーン・フォー・ザ・アカデミック・アンド・カルチュラル・ボイコット・オブ・イスラエル(PACBI)」はその後、ニック・ケイヴの見解について反応を示している。BDS国家委員会の立ち上げメンバーでもあるこの団体は、ツイッターに投稿した声明の中で、ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズがテルアビブで公演を行う決定をしたことで「1つのことが決定的なまでに明らかとなりました。それはテルアビブで演奏することは単純に音楽の問題だけではないということです」と述べている。

「弾圧されている人々に敵対して、弾圧する側に立つという政治的かつ道徳的な決断なのです」

イスラエルでの公演を決断して論争を巻き起こしたバンドはニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズが初めてではなく、レディオヘッドも7月にテルアビブ公演を行っており、批判にさらされていた。

政府がパレスチナの選挙を終わらせ、パレスチナ人全員をイスラエルの法律の下に平等に扱われるようになり、パレスチナ難民が帰国する権利を得られるようになるまで、ロジャー・ウォーターズなどのアーティストは、イスラエルに対する文化的なボイコットを支持するとしている。一方で、トム・ヨークは次のように自身の見解を述べている。「ある国でライヴをすることで、その国の政府を認めることにはならないのです。音楽、芸術、そして学術分野は境界を越えるものであり、境界を作るものではありません。広い心を持つべきであり、狭量なものではないのです。人道、対話、表現の自由を共有するためのものです」

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