プリンスの遺産相続人らは「カビや湿気による損害」を防ぐために自宅であるペイズリー・パークにあるプリンスの保管庫から未発表音源などを移動させることを余儀なくされていたことが明らかになっている。
プリンスと片親が同じ兄弟姉妹であるシャロン・ネルソン、ノリーン・ネルソン、ジョン・R・ネルソンは先日、遺産管理会社のコメリカ・バンク&トラストを外すよう求めている。
この3人は、プリンスのペイズリー・パークの自宅スタジオにあった、約2億2000万ドル(約224億円)に相当するという未発表音源のマスターテープを含む保管庫のコンテンツを、先日コメリカ・バンク&トラストがロサンゼルスの保管会社に移動したことに不満を抱いている。
コメリカ・バンク&トラストは200万ドル以上の行動を行う場合、14営業日前に遺産相続人に通知をする必要があり、3人は今回の保管庫のコンテンツを移動したことがそれに相当すると主張している。
コメリカ・バンク&トラストの代表者らは今回、遺産相続人らの主張に反論しており、保管庫内のずさんな管理や保管に適した環境を有していないためにコンテンツが台無しにある危険があるために移動させる必要があったと説明している。
現地時間11月13日に裁判所に提出された文書によれば、コメリカ・バンク&トラストは保管方法についてそれぞれの遺産相続人と4度に渡って会合を持っていたことも明らかになっている。
「保管のために使用されていたスペースは……どこも音源や映像を保存するための温度調節のシステムを有していませんでした」とコメリカ・バンク&トラストは主張している。
「遺品の一覧を作成していた際に、湿度や温度の調整がおろそかになっていたために遺品の幾つかが損傷や劣化しかけていることに遺産管理人が気がつきました。ダンボール箱は棚にくっついていて、引き離してみたところカビや湿気で中身は損傷しており、フィルムの入った缶はサビが付き、(酢酸化している証拠である)お酢の匂いがしていました。また、保管庫やいたるところの壁や天井に水が侵入している証拠が見受けられました……ペイズリー・パークは現在ミュージアムとして公に公開されており、さらに安全面の懸念が増えることが予想されます」
結果として、コメリカ・バンク&トラストは保管庫のコンテンツをロサンゼルスの保管会社に移動することが遺品にとって「最も負担にならない」策だと判断したという。
しかしながら、シャロン・ネルソンはコメリカ・バンク&トラスト側の説明に納得がいっていないという。「今であれ近い将来であれ、彼らの時間は終わりよ。彼らのサービスは害でしかなかったわ」とシャロン・ネルソンは『ヴァラエティ』誌に寄せた声明の中で主張している。「彼らの言うことに耳を傾けちゃダメよ。彼らは報酬として何百万の大金を手にしたいだけなんだから」
プリンスの6人の兄弟姉妹たちは、彼の死後1年弱が経過した今年5月に正式に裁判所からプリンスの遺産相続人として認められている。プリンスは2016年4月に鎮痛剤のフェンタニルによる不慮のオーヴァードーズのために亡くなっている。
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