Matt Salacuse/NME

Photo: Matt Salacuse/NME

元クリスタル・キャッスルズのシンガーであるアリス・グラスは、クリスタル・キャッスルズを脱退したことについての声明を発表し、元バンドメイトのイーサン・キャスに「辛辣な精神的虐待や感情的な虐待」をされていたと主張している。イーサン・キャスはその後、アリス・グラスの主張を否定している。

アリス・グラスは2014年10月にクリスタル・キャッスルズを脱退しており、その後バンドにはエディス・フランシスがヴォーカリストとして加入している。アリス・グラスはその後ソロ・キャリアをスタートさせ、セルフ・タイトルを冠したデビューEPを今年8月にリリースしている。一方で、クリスタル・キャッスルズはアリス・グラスが脱退して初となるアルバム『アムネスティ(I)』を2016年にリリースしている。

アリス・グラスとイーサン・キャスは以前も公の場で口論になっており、イーディス・ギャスはアリス・グラスが過大評価されていると語っているほか、アリス・グラスは彼とのキャリアを通じて「挫折」し「絶望」していたと明かしている。

今回、アリス・グラスは自身のウェブ・サイトに長文の声明を掲載し、本名をクラウディオ・パルミエリというイーサン・キャスにレイプされ、身体的虐待や精神操作など様々な虐待を受けていたと主張している。

声明の中でアリス・グラスは15歳の頃に初めてイーサン・キャスに性的虐待をされたことを明かし、次のように綴っている。「クラウディオはとても巧みに私を操りました。彼は私の不安を探り出し、それを利用したのです。彼は私について知った知識を、私に対して使いました。何ヶ月にもわたって彼は私にドラッグやアルコールをやらせて、自分が所有していたアパートの使われていなかった部屋で私とセックスをしました。それはいつも同意の上だったわけではありませんでしたし、私といる時の彼は常にシラフの状態でした」

アリス・グラスは次のように続けている。「彼は虐待のために見事に私の不安を利用し、私の食習慣、私が誰となら話していいのか、どこなら行っていいのか、公共の場で言ってもいいこと、着てもいい服など、私の行動をコントロールするようになりました。彼は自分がコントロールできない限り、私のインタヴューや写真撮影を許可しませんでした……彼は身体的な虐待をするようになりました。彼は私を担いで階段を登り、階段から落とすと脅してきました。彼は私を自分の肩の上に担ぎ上げると、コンクリートに向かって叩きつけました」

「彼は私のやることなすことをコントロールしました」とアリス・グラスはさらに綴っている。「私は自分の携帯電話やクレジットカードを持つことすら許されず、彼が私の友人たちを決め、私のプライヴェートなメールをすべて読み、ソーシャル・メデイアへのアクセスを制限し、私が口にするものまで決めていました。彼は私を叱りつけ、怒鳴り、私はジョークであり、クリスタル・キャッスルズのショウに来るのは彼の演奏に興味がある人々だけで、自分がバンドを回してるのだと私に告げました。彼は私を脅すためにガラスの扉を粉々に殴り、私を鍵の掛かった部屋に閉じ込めました。彼は私がフェミニストであることがレイプ犯の格好のターゲットにしているのだといい、自分だけが私を守れるのだと言いました。彼は強制的に私を彼や彼の指定した人とセックスさせ、私をこれ以上バンドにいられなくしました」

アリス・グラスはまた、クリスタル・キャッスルズのファースト・アルバムのレコーディング中にレコーディング・エンジニアからセクシャル・ハラスメントを受けていたことを明かし、イーサン・キャスからその時に「笑いながら、セクハラに付き合うようプレッシャーをかけ」られていたと主張している。

「クリスタル・キャッスルズを去ることは、これまでで最も難しい決断でした。バンドは私にとってすべてだったのです。私には、音楽、パフォーマンス、ファンしかなかったのです。それを捨ててまでやり直すことを決めたのは、そうしたいからではなく、そうしなければならなかったからです。バンドを抜けることは、それが難しい決断だったのと同じくらい最高の決断だったと思っています。バンドを抜けたことで、10年間の虐待、精神操作、身体的操作から、これからの数年間の治療期間に臨むことができるのです。私は、今も治療中です」

イーサン・キャスは、アリス・グラスによる訴えを受けて、代理人を通じて「ピッチフォーク」に声明を寄せている。「私は、アリスが私や以前の二人の関係について綴った声明に、怒りを覚えると同時に傷ついています。彼女の話はまったくのフィクションであり、法的手段を取るために現在弁護士と話をしています。幸運にも、私がアリスに対して虐待をしていないと証明できる目撃者はたくさんいますから」

また、「ステレオガム」によれば、今回のアリス・グラスの告発を受けてクリスタル・キャッスルズは現状のツアー日程をキャンセルしたという。

アリス・グラスが出した声明の全文訳はこちらから。

「一部の方はご存知かもしれませんが、私は過去に受けた虐待について打ち明けてきました。私は自分の持っている情報をとても慎重に扱い、個人名を公にすることはしませんでした。それが怖かったからです。私は脅され、嫌がらせを受けていたので、結果として恐怖のために何も言うことができなかったのです。

勇気ある女性たちが自分の経験を打ち明けることで作り上げてきた最近の風潮に感化され、ようやく私はより直接的になる覚悟ができました。どんな代償があろうと関係ありません。これは私自身にとっての治療であり、現在進行形で数年間私を虐待したような男と類似した状況に置かれている女性や、立ち上がって声を上げようとしている、虐待関係に置かれた女性たちにとっての治療なのです。

私は高校1年生の頃に『イーサン・キャス(クラウディオ・パルミエリ)』に出会いました。初めて彼が私に性的虐待をしたのは、私が15歳の頃でした。彼は私よりも10歳年上でした。私は泥酔(彼が私に飲ませたお酒で)した状態で彼の車のバックシートに乗せられました。私たちはそれ以来、何ヶ月も顔を合わせませんでした。彼はもう一度私に会うためにありとあらゆることをして、私をストーキングして私の通っていた高校まで車を走らせて私を探しました。

彼は私に付きまとい、私がよく遊んでいた場所にまで現れ、ついに私たちは再会しました。当時の私はとても幼くナイーヴで、人生でも恥ずべき状況だったと思います。私は彼のバンドだったキル・チアリーダーをテレビで観たことがあったので、彼のことを地元のロックスターだと思っていました。パンク・コミュニティにいた周りの友人たちの多くもはるかに年の離れた男と性的な関係にあったので、私にとってそれは至って普通の出来事だったのです。

クラウディオはとても巧みに私を操りました。彼は私の不安を探り出し、それを利用したのです。彼は私について知った知識を、私に対して使いました。何ヶ月にもわたって彼は私にドラッグやアルコールをやらせて、自分が所有していたアパートの使われていなかった部屋で私とセックスをしました。それはいつも同意の上だったわけではありませんでしたし、私といる時の彼は常にシラフの状態でした。

私が16歳か17歳になった頃、曲を書いて歌って欲しいと言われて、彼から楽曲の入ったCDを渡されました。私は曲を持ち帰って歌詞とメロディを書き、気に入った曲を一緒にレコーディングしました。音楽活動においてでさえ、私が半ば強制的に対処になければならないストレスのたまえう環境を彼は生み出していました。ファースト・アルバムのレコーディング中に、スタジオでレコーディング・エンジニアからセクシャル・ハラスメントを受けていたのです。クラウディオは笑いながら、セクハラに付き合うよう私にプレッシャーをかけてきました。彼はファースト・シングルを“Alice Practice(アリスの練習)”と呼び、私のヴォーカルはマイク・テストだと言いました。彼はその話をでっち上げ、プレスに対してはレコーディングが『事故だった』と伝え、制作過程における私の役割をなかったことにしたのです。そういった嫌がらせも私を陥れる一つの方法であり、私の不安を食い物にしていたのです。

それから間もなくして、私たちはUKツアーに出かけました。自分たちの置かれた状況が瞬く間に変わっていったことに圧倒されていた私を、卒業単位まであと2単位だったにもかかわらず高校を中退するようにクラウディオは説得してきました。私たちが世間の注目を集めるようになると、彼は虐待のために見事に私の不安を利用し、私の食習慣、私が誰となら話していいのか、どこなら行っていいのか、公共の場で言ってもいいこと、着てもいい服など、私の行動をコントロールするようになりました。彼は自分がコントロールできない限り、私のインタヴューや写真撮影を許可しませんでした。私たちはクリスタル・キャッスルズとして名声を得ましたが、彼は自分が想定していたほどの賞賛をされていないと感じていたようです。

それから彼は身体的な虐待をするようになりました。彼は私を担いで階段を登り、階段から落とすと脅してきました。彼は私を自分の肩の上に担ぎ上げると、コンクリートに向かって叩きつけました。彼は私のアザを写真に撮って、それをネットに投稿しました。私は逃げようとしましたが、彼から二度と私に身体的な虐待をしないと誓われました。そこからは、より辛辣な精神的虐待や感情的な虐待が増えていったのです。

彼は私のやることなすことをコントロールしました。私は自分の携帯電話やクレジットカードを持つことすら許されず、彼が私の友人たちを決め、私のプライヴェートなメールをすべて読み、ソーシャル・メデイアへのアクセスを制限し、私が口にするものまで決めていました。彼は私を叱りつけ、怒鳴り、私はジョークであり、クリスタル・キャッスルズのショウに来るのは彼の演奏に興味がある人々だけで、自分がバンドを回してるのだと私に告げました。彼は私を脅すためにガラスの扉を粉々に殴り、私を鍵の掛かった部屋に閉じ込めました。彼は私がフェミニストであることがレイプ犯の格好のターゲットにしているのだといい、自分だけが私を守れるのだと言いました。彼は強制的に私を彼や彼の指定した人とセックスさせ、私をこれ以上バンドにいられなくしました。

惨めで、私は歌詞で間接的に自分が耐え忍んでいた痛みや憂鬱感を伝えていました。しかしながら、虐待関係で時折言われているように、彼の残忍さの後には優しさがありました。彼は実に長けていて、プライヴェートでは私に対して酷いことをしなかったのです。彼は時々チャーミングで、よく守ってくれるし、そして何よりも私は二人で作り上げたバンドが大好きでした。しかし彼は、私は替えの利く存在だと事あるごとに言ってきました。彼は私の代わりを常に探しているとも言ってきました。彼は私の不安を煽って崖っぷちに追い込み、世界で私を信じているのは自分だけだと言いました。彼は自分たちと世界は対立しているのだといい、人々は私を負け犬で、ジョークで、才能のない踊るピエロだと思っているのだと言いました。私は彼を信じていました。私は何年もの間、死にたいと思っていました。

クリスタル・キャッスルズを去ることは、これまでで最も難しい決断でした。バンドは私にとってすべてだったのです。私には、音楽、パフォーマンス、ファンしかなかったのです。それを捨ててまでやり直すことを決めたのは、そうしたいからではなく、そうしなければならなかったからです。バンドを抜けることは、それが難しい決断だったのと同じくらい最高の決断だったと思っています。バンドを抜けたことで、10年間の虐待、精神操作、身体的操作から、これからの数年間の治療期間に臨むことができるのです。私は今も治療中です」

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