デヴィッド・ボウイは机の下に隠れて、映画『007』シリーズで知られる俳優のロジャー・ムーアの訪問を避けていたという1970年代の逸話が明らかになっている。
この気まずい友情関係の話は、新たな伝記『デヴィッド・ボウイ:ア・ライフ』の記者会見で明らかになったもので、著者のディラン・ジョーンズは、デヴィッド・ボウイとロジャー・ムーアが隣人となった際の状況は少し奇妙なものだったことを明かしている。
『テレグラフ』紙によれば、ディラン・ジョーンズは次のように語ったという。「(作家で小説家のハニフ・)クレイシがこの話を教えてくれたんですけどね、デヴィッド・ボウイは70年代の終わりに税金とドラッグの売人から逃れるためにスイスに引っ越した際、そこで誰も知り合いがいなかったそうなんです。彼はジュネーヴのはずれの大きな家に住んでいたんですが、周りに知っている人がいなかったんです」
「ある日、午後5時半頃にドアをノックされると、そこに現れたのが彼でした。『やあ、デヴィッド』とロジャー・ムーアが入ってきて、2人はお茶を楽しんだそうです。それはお酒の席まで発展して、夕食も一緒にとることになりました。ジェームズ・ボンドの映画についての話をたくさんしたそうで、彼らは素晴らしい時間を過ごしました。素晴らしい夜だったのです」
ディラン・ジョーンズは次のように続けている。「しかし、次の日も5時半になると……ノックがあって、ロジャー・ムーアが押しかけてきて、居座ったそうなんです。『よし、ジン・トニックをもらえるかな、デヴィッド』といった調子の彼は同じ話をしたそうで、2回目はそれは面白くなくなりますよね」
「2週間にわたって、文字通り毎日、午後5時25分にロジャー・ムーアがやってくるもんだから、デヴィッド・ボウイはキッチンのテーブルの下に隠れて、居留守を使うようになったんです」
ディラン・ジョーンズによる『デヴィッド・ボウイ:ア・ライフ』はイギリスで既に刊行されている。
デヴィッド・ボウイについてはコラボレーションを行ってきたミュージシャンたちによる「セレブレイティング・デヴィッド・ボウイ」ツアーが2018年にも開催されることが発表されている。9月29日には『ヒーローズ』の40周年を記念して、1977年から1982年のデヴィッド・ボウイのアルバムを集めた新たなボックスセット『ア・ニュー・キャリア・イン・ア・ニュー・タウン [1977-1982]』がリリースされる。日本盤CDは10月18日にリリースが予定されている。
これまでデヴィッド・ボウイ自身が計画したボックスセットとして『ファイヴ・イヤーズ[1969-1973]』と『フー・キャン・アイ・ビー・ナウ [1974-1976]』がリリースされてきたが、それに続くボックスセットとなる『ア・ニュー・キャリア・イン・ア・ニュー・タウン [1977-1982]』はベルリン3部作となる『ロウ』、『ヒーローズ』、『ロジャー』をはじめ、『スケアリー・モンスターズ』など、多数のアルバムが収録される。
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