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ボブ・ディランの1962年発表の楽曲“A Hard Rain’s a-Gonna Fall”の初期草稿がサザビーズのオークションに出品されることになり、それによって歌詞に変更が加えられていたことを『ガーディアン』紙が報じている。

サザビーズの書籍・原稿の専門家であるガブリエル・ヒートンによると、丁寧にタイプされた文字が並ぶこの2ページの原稿は注目に値する興味深い資料だという。

そして、これは他人に見せるためのバージョンだったと見られている。ヒートンは「これは作業中の下書きではないことが分かります。最終版のつもりだったようですが、明らかに彼はもう一度読んでいるうちに気に入らなくなって、やり直しをして、再び推敲し始めています。彼の頭からもっとアイデアが溢れだしたのです」と述べている。

出品された草稿では、ボブ・ディランが当初考えていた歌い出しが「Where have you been, my blue eyed boy(どこへ行っていたんだ、青い目の息子よ)/ Where have you been, my darling young son(どこへ行っていたんだ、可愛い息子よ)」となっていたことが明らかになった。これが、1962年に収録された最終バージョンでは次のようになっている。「Oh, where have you been, my blue-eyed son(ああ、どこへ行っていたんだ、青い目の息子よ)/ And where have you been, my darling young one.(それで、どこへ行っていたんだ、可愛い息子よ)」

その次の歌詞も同じく変更が加えられている。元の歌詞では「I’ve climbed up six purple mountains(6つの紫色の山々に登って)/ I’ve crawled on 10 crooked highways(10の曲がりくねったハイウェイを這ってきた)」となっていたところを、後から「I’ve stumbled on the side of 12 misty mountains(12の霧煙る山々の中腹をフラフラと歩いて)/ I’ve walked and I’ve crawled on six crooked highways(6つの曲がりくねったハイウェイを這いながら歩いてきた)」と変えられている。

ボブ・ディランは21歳の若さで“A Hard Rain’s a-Gonna Fall”を制作しており、こうしたディランの歌詞は、当時のグリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンの中から生まれることになった。ヒートンは「こういったクレイジーな詩を書けるような場所でした。その界隈に来る誰かに詩を見せれば、『ワオ、これは素晴らしい』となります。こういった創造性を育む環境があったのです」と説明している。

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この草案が作られた場所は、伝説のフォーククラブ、ガスライト・カフェの上にある「隠れ家の部屋」と呼ばれた事務所で、使用したタイプライターは、ボブ・ディランの友人でエンターテイナーとして知られるウェイビー・グラビー(本名:ヒュー・ロムニー)の所有するものだった。ボブ・ディランがこの草稿を破棄したことは明らかで、それがロムニーから彼の妻の手に渡り、それ以降この一家が受け継いでいた。

この原稿には、ボブ・ディランが思いついたそばから走り書きした印象的で刺激的な歌詞が加えられ、次のような一節も含まれている。「I heard 100 drummers whose hands were all blazing(全員の手が炎に包まれた100人のドラマーの音が聞こえる)/ I heard 10,000 whispering as no one was listening.(誰も耳を傾けていない1万のささやきが聞こえる)」

興味深いことに、ボブ・ディランは初期の草稿の曲の終わりを、語り手の予言的なトーンを道徳的な義務を呈するものに変更している。最終バージョンの歌詞では「gonna(〈雨が降〉ろうとしている)」としたところを、元々は「And it’s a hard, / It’s a hard,/ It’s a hard rain must fall.(そして、強い、強い、強い雨が降るに違いない)」とより強調する表現にしていた。

今回新たに発見された原稿は、現存することが判明している3点のうちの1つで、この他には、ニューヨークのモルガン図書館に所蔵されている1点と、昨年サザビーズ・ニューヨークに出品され40万ドル(約4760万円)の値を付けた、最後の手書き原稿が1点がある。

この原稿は、9月29日にロンドンで開催されるサザビーズのロックとポップスを特集したオークションに出品される予定となっている。

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