PERTH, AUSTRALIA - FEBRUARY 28:  Gene Simmons of KISS performs live on stage as part of their Monster Tour with Motley Crue and Thin Lizzy at Perth Arena on February 28, 2013 in Perth, Australia.  (Photo by Paul Kane/Getty Images)

Photo : Getty

キッスのベーシストであるジーン・シモンズは、楽曲を違法にアップロードしたりダウンロードしたりする音楽ファンに対し「有望なアーティストの芽を摘んでいる」と、改めて批判のコメントを発表している。

音楽情報サイト『アルティメット・クラシック・ロック』によると、イギリスのインターネットラジオ局『プラネット・ロック』で語ったとのことで、ジーン・シモンズは、キッスの後に続きたいと願うアーティストがリスナーから金銭的サポートを得られないため、同じように有名になるのは難しいだろうと懸念している。

「ファンが悪いよ。ファンが一丸となって、というか、みんなダウンロードやファイルシェアを使って、無料で手に入れていいと思ってる。未来のエルヴィス・プレスリーや未来のザ・ビートルズ、未来のキッス、それから未来の誰でもいいけど、そういったものは音楽ファンに殺されてるんだ。音楽を無料でやらなきゃならないんだから、当然だよ」

「ファンが若手のバンドをサポートしないなんて、残念だよ。新世代のすげえバンドだってチャンスなんか持てやしない。なぜかって? 才能がないからか? 違うよ。ファンが殺すからだ。ファンがインフラを破壊してるんだ」

一方でジーン・シモンズは、キッスがデビューした時代のレコード・レーベルを称賛している。「バンドに無償で金をくれたんだ。もしそのバンドが失敗してレコードが全く売れなかったとしても、金を返す必要はない。他のビジネスでそんなことがあり得るか? 銀行に行って100万ドル借りたとしよう。そのビジネスがうまくいかなかったとしても、銀行はそんなこと知ったこっちゃない。あいつらは“金を返せ”って言うだけさ」

さらにジーン・シモンズはこう続けている。「レーベルは天国からの贈り物だ。確かにあいつらは貪欲だし……みんなと同じように金が欲しいと思ってるよ。でも、レーベルは金をくれた。何百万もだ。もしレコード会社がなかったら、セックス・ピストルズだって生まれなかったし、パンクだってなかった。何にもなかっただろうね。パンクがあったとしても、小さなライヴハウスで終わってた。ここまで大きくはなってなかったはずだよ」

ジーン・シモンズは昨年行われたインタヴューの中で、近年のレコード・レーベルがロック・ミュージシャンを十分に支援していないと非難し、「ロックは死んだ」と表明している。

次世代のミュージシャンやソングライターたちへのアドバイスを求められた際に次のように語っている。「日々の仕事は金のために続けた方がいい。俺が出てきた頃は、デビューは叶わない夢じゃなかった。一旦レコード会社を味方につければ、金をくれて、ツアーをすればツアーのサポートもしてくれた。次のビートルズやザ・ローリング・ストーンズ、プリンスやジミ・ヘンドリックスが生まれるのを業界全体が後押ししてたし、ヒットまでの道のりを手取り足取りサポートした。もちろん今でもレコード会社はあるさ。ポップやラップ、カントリー・ミュージックなんかをやるヤツには、まだ望みがある。でも同じ曲を書くパフォーマーでも、ロックとかソウル・ミュージックとかブルースなんかのクリエイターにとっちゃ、もうそんなものはない。ロックは死んだんだよ」

また、米『エスクァイア』誌では息子のニックがインタヴュアーを務めており、ジーン・シモンズはここでもファイルの違法シェアについて言及している。「簡単にコピーが手に入るから、みんなファイルシェアやダウンロードが窃盗なんだってことを認識していない。コピー自体が問題なんじゃない。金を払わないでそれを持っていくってことが問題なんだ。1万時間かけて曲を作ったって、誰も金を払わないんだぜ。そんなの全部台無しでしかないよね。誰もそれに金を払う価値を認めてくれないなんてさ」

彼はさらにこう続けている。「いっそのことギターの弾き方とか曲の書き方なんか知らない方がマシなんだ。風呂の中で歌ったり、『X ファクター』に応募してりゃいいんだよ。俺は別に『X ファクター』とかポップ・シンガーを悪く言いたいわけじゃない。だが、次のボブ・ディランはどこにいる? 次のザ・ビートルズは? ソングライターたちはどこいったんだ? クリエイターは? 彼らの多くは舞台裏で働いて、ポップ・アーティストをサポートして、彼らの曲を書いているんだ」

Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.

関連タグ