Shamil Tanna 2016 /PRESS

Photo: Shamil Tanna 2016 /PRESS

ブライアン・イーノは先日のドナルド・トランプ政権へのコメントの意図について説明している。

ブライアン・イーノは先日、アメリカでドナルド・トランプが大統領に就任し、UKでEU離脱が起きたことについて「ケツを叩いてくれた」という点では「喜んでいる」と表現していた。

ブライアン・イーノはこの発言の意図について改めてフェイスブックへの長文の投稿で説明している。

全文訳は以下の通り。

https://www.facebook.com/brianenomusic/posts/1570528932961292

「今週、『ガーディアン』紙のインタヴューが掲載され、その見出しは『40年間、僕らは衰退してきた――トランプは再考のチャンスだ』というものだった。私はそのような言葉の使い方をしていない(それは記事を読めば分かる)が、私がトランプを支持していることを示唆しているように受け取った人がいるようだ(特にいくつかのアメリカのサイトだけれどね)。私の意見を分かる人は、それが事実ではないことが分かると思う。

なので、しっかりとはっきりさせておこう。私はドナルド・トランプをまったくもって災禍と考えている。UK離脱も同じくだ。そのうえ、私が更に災禍だと考えているのは、アメリカやイギリスにいる私たち――そして、だんだんと世界の他の地域でもそうなってきているが――が、このようなバカげた結果を生む政治体制のなかで暮らしているということだ。

今回、私たちは政治的キャリアが嘘とペテンの上に築かれ、公然とバイアスのかかったメディア組織によって後押しされ、公共の本当の情報を与えることよりも収入と人気のほうが取り沙汰されることが分かった。つまりシステム全体が変わってしまったんだ。誰が政権を執るかだけでなく、私たちの政治的・社会的プロセスにおいてもっと深く根源的な部分においてね。民主主義は、情報を伝えられた公共社会を前提としている。もしもメディアが腐敗すれば機能しない。最高指導者の顔が変わっても、その下にある構造全体が変わらなければ何も変わらないだろう。富裕層はスーパー富裕層になり、中流階級は停滞し、貧困層はより貧困になる。

私の願い――本当に唯一の願いだが――は、大統領に就いたトランプが本当はどんな人間か、彼自身で明らかにし、世間が彼と彼の拠って立つすべてをはっきりと完全に拒絶することだ。彼のひどい政策や愛国主義、その傲慢さや子供っぽさ、嘘、偏見、狭量さといったものをね。トランプを拒絶するなかで、彼をいみじくも助長してきたメディアと政治の悪質な構造全体も解体し始めることになるだろう。

以前にも書いた通り、私はトランプが長い衰退の始まりではなく、その終わりだと考えている。ターニング・ポイントなんだ。40年間、私たちは不平等や、恐怖に駆り立てられたナショナリズムや保守主義の深さを増す穴に陥ってきた。そして、そのほとんどに気付いていなかった。トランプ政権は迂闊にもそれを変える可能性があるんだ。それは彼が正しいことをするからではなく、政治システムが根源的な部分から崩壊し、なにかをすべき時なんだという事実と向き合った人々を彼の当選が鼓舞するからなんだよ。先週末に行われたデモはそうした新しいムードを反映したものだ。

こんなことにならなかったほうがよかっただろう。でも、これが私たちの現状だ。私の感触としては、クリントン政権(やイギリスのEU残留)は短期的にはよかったかもしれないが、両国の政治システムを取り巻く根源的な問題に取り組むことはなかっただろう。トランプはシステムが壊れていることを間違いなく証明してしまった。さあ、それを直していこう」

1月1日に新作『リフレクション』をリリースしたブライアン・イーノは新年にあたって長文のメッセージを公開していた。

その全文訳はこちらから。

https://nme-jp.com/news/31823/

広告 ザ・ビートルズの新作ドキュメンタリー『ビートルズ ’64』がディズニープラスで11月29日(金)より独占配信!

Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.

関連タグ