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ビョークは音楽業界における女性差別についての長文のテキストを公開している。

ビョークは現地時間12月16日にヒューストンの「デイ・フォー・ナイト」フェスティバルに出演し、ビョーク・デジタル名義で音楽とヴィジュアルを組み合わせたDJパフォーマンスを披露している。

しかし、ビョークは現地時間12月21日、自身のDJセットへのメディアによる批判について、女性が直面しているパフォーマンスの受け止められ方についての性差別に言及して、長文のテキストをフェイスブックで公開している。

https://www.facebook.com/bjork/posts/10154812739376460

日本語の全文訳は以下の通り。

「おチビのメディアさんへ

幸せな冬至の日になりますように。

みんなも知っているように私はキャリアの大半で性差別に対して不平をこぼしたことはなかったし、なんとかうまくやってきた。でも、すごく大きなポジティヴな流れが広がってるのを感じてるし、ポジティヴな変化を伴う流れを感じてる。

だから、一つだけ言及しておきたい。

先週末、テキサスで行われたフェスティバルで二度DJをしたの。わたしのお気にいりのミュージシャンたちがDJをするマジカルなイベントだった。エイフェックス・ツイン、アルカ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、マトモス……挙げていったらキリがないわね。

私たちのほとんどは大半他の人の曲をかけたけれど、そこに最近作っているもののトラックを差し込んだりもした。

公の場でのDJを始めて1年弱なんだけど、みんなはまだ慣れ始めた感じで、ファンの人々は私の音楽の遍歴を公開し、私が私でいることを歓迎してくれた。それがすごく楽しいし、私のなかのオタク的な部分が他の人の楽曲のパーツを数週間にわたって編集したりしてて、私にとっては最も崇高な音楽との間にこれまでと違う調和を生み出すことができてる。

でも、いくつかのメディアは私が『パフォーマンス』をせずに、机の後ろに『隠れてる』のを理解できないみたいね。男性に対してはそうじゃないのに。それで、これって性差別だと思ったの。この騒々しい1年の最後だけれど、済ませてしまいたくない。だって、今、私たちは革命的なエネルギーの真ん中にいて、大きな変化にふさわしい存在だと思うから。

価値あることになると思う。

いずれにせよ、

音楽業界において女性は恋人について歌うシンガーソングライターとしてしか認められていない。主題を原子から宇宙、政治性、マニアックなマス(数学的)・ビートの編集とか、恋人以外のことにしたら批判される。ジャーナリストは何かが欠けてると思うんでしょうね……まるで私たちの使える用語はエモだけみたいに。

女性がよく書く主題ではないことを分かった上で私は『ヴォルタ』と『バイオフィリア』を作った。政治的な視点で『ヴォルタ』では妊娠中の自爆テロ犯やフェロー諸島とグリーンランドの独立について歌った。『バイオフィリア』では教育的な視点で銀河や原子について歌った。でも、私が破局について歌った『ヴァルニキュラ』までメディアからちゃんと受け入れられることはなかった。男性は様々な主題を扱うことができる。SFだったり、時代物だったり、喜劇やお笑いだったり、作り込まれたサウンドスケープの中で音楽オタクとして彷徨うこともできる。でも、女性はできない。胸を切り開いて、人生における男性や子供について心を傷めなければ、私たちは観客をだましてしまうことになる。

ベクデル・テスト(※コンテンツにおけるジェンダーのバイアスを測定するテスト)も真っ青ね。

でも、変化が広がってるのが分かる。私たちはそこに向かって歩んでる。だから、1年の終わりにみんなと共にこんなものは見限りたい。典型的な女性の主題である破局について私は歌ったけれど、来年はコスチュームを変えて、そんな役回りからは出ていけるようになるのを願ってる。エディット・ピアフやマリア・カラス(私が観た彼女についてのドキュメンタリーでは恋人のオナシスに言及しないものはなかった。男性ミュージシャンであれば愛した女性への言及などないのに)はもう凍結したの。

2017年を変化の起きる年にしましょう。

すべての女性が多様であれる権利を。

さあ前へ。

メリー・クリスマス。

ビョーク」

※公開後、一部表記を修正しました。

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