ジョン・レノンとオノ・ヨーコからポール・マッカートニーとその妻のリンダへと宛てられた手紙が、現在オークションに出されており、その入札額は2万ドル(約216万円)にまでのぼると見られている。
日付のないこの手紙は、ジョン・レノンがリンダからの手紙に返信するもので、ジョン・レノンはリンダの手紙が「どんな中年の不機嫌なビートルズ・ファンが書いたものだろう」と思わせる手紙だったとしている。ジョン・レノンは、手紙の中で以下のように記している。「僕とヨーコが一緒になって以来、君や君の言う『親切で自己中心的でない』友人に僕らがどれだけの仕打ちを受けてきたかを君に分かってもらいたいね」
他にも、ジョン・レノンはザ・ビートルズのかつてのバンド仲間であったポール・マッカートニーに対して「不快になど」思っているわけではなく、「可哀想」だと思っていると続けている。さらにジョン・レノンは、ポール・マッカートニーの結婚は2年以内に終わるとも予言している。
オークション会社のロバート・リヴィングストンは、手紙について「この手紙はジョン・レノンとオノ・ヨーコがアメリカへと発つ直前に書かれたもののように思えます。何ヶ月、何年にもわたる、ザ・ビートルズの解散をめぐっての2人の男の激しいライバル関係が描かれています」と述べている。
手紙の全文は以下の通り。
「親愛なるポールとリンダに
僕は君たちの手紙を読んで、どんな中年の不機嫌なザ・ビートルズ・ファンが書いたものだろうと思ったんだ。それを明らかにしようと手紙の最後のページを見ようとするのをじっと我慢してたよ。クイニー? スチュアートの母親? クライヴ・エプスタインの妻? アラン・ウィリアムズ? なんてこった、それがリンダだったんだよ!
君は本当にマスコミが僕や君の支配下にあるなんて考えてるのか? そんなことを考えてるの? 自分を何様だと思ってるんだろうね。『独善的な人は自分が誰を傷つけているのか分かっていない』だって。僕とヨーコが一緒になって以来、君や君の言う『親切で自己中心的でない』友人に僕らがどれだけの仕打ちを受けてきたかを君に分かってもらいたいね。それは時々狡猾なものだったかもしれないし、僕は『ミドルクラス』だとでも言うべきだったのかね。まあ、そんなに頻繁じゃなかったけどさ。僕ら二人は何度か『そうしたことを気にもかけなかった』し、二度も君を許してるよね。だから、少なくとも君だってそうすることはできたんだよ。君は気高い人間だね。リンダ、僕の言うことを気にしないなら、黙っててくれよ。ポールにでも書かせたり、なんでもすればいいじゃないか。
大英勲章について僕はどう考えてるかを訊かれて、覚えてる限り最高のものだと言ったんだ。そして、僕は少し身悶えしていたのを覚えてる。君はそうじゃなかったかな、ポール? それとも、僕はそうだと疑ってるんだけど、まだ勲章なんてものを信じてるのかな? 君が同じように許してくれるんなら、僕もザ・ビートルズを勲章なんかに促したことを許すよ。『自分自身に正直に、大切にする』ためにね! くそったれ、リンダ、君はザ・ビートルズの本なんて書いてないだろうな!!!
僕はザ・ビートルズのことを恥ずかしくは思ってない(僕がすべて始めたからね)。でも、バンドを大きくするためにやった一部のクソみたいなことは恥ずかしく思ってるんだ。僕はみんなも、程度はあれそう感じていると思っていたんだけど、明らかに違うみたいだね。
君は本当に現在の芸術の多くがザ・ビートルズのおかげで生まれたものだと思ってるのか? そこまでバカだなんて信じられないよ。ポール、君もそう信じているのかい? 信じるのをやめたら、目がさめるよ! 僕らはいつもムーヴメントの一部だって話してただろ。すべてじゃない。もちろん、僕らは世界を変えた。でも、挑戦してみて、それに従っただけだ。ゴールド・ディスクを外して、投げ捨てろよ。
『5年後になって僕も違った人間として振り返った』ことについてジンおばさんみたいなことを言わないでくれよ。今起こっていることが見えないのか! 当時、今知っていることを僕が知っていたら、君たちが要領を得ない感じに見えただろうね。
申し訳ないけれど、もし僕が自分の喋りたいことを話すために『ビートルズとしての自分』を使うのだとしたら、そして、連中がザ・ビートルズについて訊いてきたら、僕はそれに答えるよ。そして、ジョンとヨーコとしての自分をできるだけ獲得するんだ。ポールについて訊いてきても、僕は答えるよ。いくらかパーソナルなことでも知ってるからね。君が信じてくれようと信じてくれなかろうと、僕は正直に答えようとしてるんだ。そして、連中が使うのは間違いなく興味をそそるところだからね。僕は君の夫を不快になど思ってない。彼のことは可哀想に思ってるよ。ザ・ビートルズが『極めて素晴らしい人々』であることは僕も知ってるからね。僕もその一員だったんだけどさ。まあ、ザ・ビートルズは誰よりもろくでなしでしかなかったんだけどね。だから、いばるのを止めてくれよ。だってさ、僕らはこの1年の新しい活動のなかで、ザ・ビートルズの全期間を通してよりも知的な興味というのを持つことができたんだ。
最後に、僕がザ・ビートルズを脱退したことを誰にも言わなかったことについて、ポールとアラン・クラインはその日1日をかけて、言わないほうがいいと説得してきたんだ。僕に何も言わないように頼んできたんだよ。だって、『ザ・ビートルズが傷つくから』ってね。それで『なかったことにしていこう』ってね。覚えてるかな? だから、マッカートニー夫人、君のケチで狭量な倒錯的考えのなかにそのことを入れておいてもらえないかな。あの最悪な野郎は僕に黙ってるように頼んできたんだ。もちろん、お金の視点は重要だよ。僕ら全員にとってね。特に君の常軌を逸した義理の両親から生まれてきたケチな奴にとってはそうなんだろうけどさ。ポールよ、神が汝を救い給え。2年後に会おう。僕はその時には君が離婚してると見込んでるんだ。
こんなこともあるけれど、二人を愛してるよ。僕ら二人から。
追伸:僕に対して送ってきた手紙について言っとくと、おとなしいもんだったな」
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