Photo: Pooneh Ghana/NME

今週の初めにアメリカ大統領選への出馬を表明したドナルド・トランプが、その記者会見でニール・ヤングの楽曲“Rockin’ in the Free World”を使用したことに、ニール・ヤングが声明を発表した。

実業家であり、テレビ番組でも活躍するトランプは、2016年の次期大統領選に共和党から出馬する意向を明かしていたが、6月16日火曜日にニューヨークのトランプ・タワーで記者会見を開き、正式発表を行った。その会見でニール・ヤングの1989年発表の“Rockin’ in the Free World”が流されたのだが、ヤングは同曲の使用を認めていないとして代理人を通じてトランプを非難していた。

その後、ニール・ヤング本人がフェイスブックに自身の主張を掲載している。「“Rockin’ in the Free World”がアメリカ大統領選の候補者の出馬会見で無断使用されたんだ」とヤングは綴っている。「音楽は万国共通の言葉だから、違う考えを持った大勢の人が俺の音楽を楽しんでくれることは嬉しいよ。たとえ俺の考えに共感しない相手だとしてもね。だが、もし大統領選の候補者に俺の曲を使いたいと求められたら、ノーと答えただろう。俺はカナダ人だからアメリカで選挙権がないが、それよりも重要なのは、俺は今のアメリカの政治システムが嫌いということなんだ。あと、他のいくつかの国もね。民主主義がだんだん企業の利潤追求主義に乗っ取られつつあるんだよ。選挙資金や特定の利益を図るロビー団体の資金、広がる経済格差、潤沢な政治献金に左右される議会の決定といい、全てが国民の権利より企業の利益が優先されているんだ」

そして自身のリベラルな政治観を詳しく述べた後、次のように締めくくっている。「俺は、大企業やその手先のマスコミの、自分たちに都合よく歪められた情報は信用しないことにしている。そういう企業から何百万ドルという献金を受け取っている政治家たちも信じない。俺が信じるのは人々だけだ。だから人々のために曲を作るんだ。候補者のためなんかじゃない。このままずっと自由な世界でロックし続けるんだ(Keep on Rockin’ in the Free World)」

一方、トランプの陣営はヤングの楽曲を使用する許可をきちんと取ったと主張しているが、今後は使わないとしている。「ASCAP(アスキャップ:米国作曲家作詞家出版者協会)のライセンス契約に基づき、トランプ氏の陣営は使用料を払い、法的にニール・ヤングの“Rockin’ in the Free World”を火曜日の会見で流す許可を得ていました」とトランプ陣営の広報担当者は米『ビルボード』誌に語っている。「しかし、今後は使いません。他にいくらでも曲はありますから。政治的見解は違いますが、トランプ氏はニール・ヤングをとても気に入っているのです」

“Rocking in the Free World”の曲とともに、トランプがステージに上がる映像はこちらから。

このニュースを耳にしたデヴィッド・クロスビーは、ツイッターで次のようにコメントしている。「トランプは、ケンカを売る相手を間違えてしまったな。とんだ災難だ。」

ツイッターのコメントは以下の通り。

一方、ニール・ヤングは6月末に通算36枚目のスタジオ・アルバム『ザ・モンサント・イヤーズ』の発売を控えている。彼は初めての試みとして、ウィリー・ネルソンの息子であるルーカスとミカが在籍するユニット、プロミス・オブ・ザ・リアルとコラボしてレコーディングを行っている。アルバムに収録される曲は、ヤングが何年も公の場で非難し続けてきた農化学会社である米モンサント社に抗議するためのプロテスト・ソングであり、アルバムの発売と並行して、ヤングはアルバムの制作に焦点を当てたドキュメンタリー映画も発表予定だという。

さらに、ヤングはこの新作アルバムの発売に先駆けて、先日よりアルバム収録曲である“Rock Starbucks (A Rock Star Bucks a Coffee Shop)”と“Wolf Moon”を先行公開している。

“Wolf Moon”のオフィシャル・ビデオはこちらから。

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