Shamil Tanna/NME

Photo: Shamil Tanna/NME

7月26日に、クリーヴランド州立大学で人種間の平等を訴える「ブラック・ライヴス・マター」の集会が開かれ、その後、ポリス・ハラスメントに抗議する学生たちが、ケンドリック・ラマーの“Alright”を合唱する様子が報じられている。

YouTubeに投稿された動画では、抗議者たちが声をそろえて「We gon’ be alright(俺たちは大丈夫)」という歌詞の部分を繰り返し歌っている。これは集会が開かれた会場の向かいのバスの中で、酩酊状態だったとされる14歳の少年が警察に拘束されたことをきっかけに起こったという。目撃者がABCニュースの「ニュースネット5 クリーヴランド」に語ったところによると、警察官は群衆に向かって催涙スプレーを使ったとのことで、これについては後にグレイター・クリーヴランド地域交通局が公式に認めている。また、今回の件で逮捕者は出なかったとのこと。

動画の説明欄には、次のように書かれている。「今日集会が終わってみんなで通りを歩いていたら、警察官が14歳の少年を逮捕していたんだ。みんなが彼を釈放するように要求すると、警察官は集まった人々に向かって催涙スプレーを使ってきて、騒ぎはさらにエスカレートした。みんなで一致団結して少年を釈放するように求めた。警察が彼を釈放するまで留まって、抗議を続けたよ!」

“Alright”は、ケンドリック・ラマーのニュー・アルバム『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』に収録されている。この曲は、未来には良い日が待ち受けている、厳しい時も強い気持ちで乗り切ろう、と聴き手を励ます内容で、曲のメッセージはポジティブなものだが、FOXニュース「The Five」のコメンテーター、ジェラルド・リベラは先月の番組内で、BETアウォーズで落書きされたパトカーの上に乗り “Alright”のパフォーマンスを行ったケンドリック・ラマーを批判している。

ジェラルド・リベラは、パトカーを使った演出と「kill us dead in the street fo sho(〈警察は〉俺たちを殺して道端に捨てたいのさ、マジだぜ)」という“Alright”の歌詞を引き合いに出して、以下のようにコメントした。「こういうことがあるから、私は近年ではヒップホップが人種差別よりも若いアフリカ系アメリカ人に悪影響を与えていると言っているのです」

ゴシップサイト「TMZ」が、このコメントの数日後、ロサンゼルス国際空港へ降り立ったケンドリック・ラマーを直撃し、FOXニュースの放送について尋ねたところ、ケンドリック・ラマーは逆にこのような疑問を投げかけてきたという。「これは希望についての歌なのに、何故、憎悪のこもった歌だなんて解釈できるんだ? この歌が持つメッセージは、俺たちは大丈夫だってこと。人を殺せなんて伝えていない」

「これが俺たちの音楽だ。こうやって自分自身を表現してる。街に出て人殺しをするんじゃなくて、他のアーティストと同じように、ポジティブな観点で自分を表現したいって思ってるんだ。街に出るかわりに、スタジオに入って現状を語る。それによって、若いやつらが前向きになれたらいいなと願ってるのさ。決して裕福とは言えないストリートや環境で育ったやつらにも、自暴自棄にならず、音楽に気持ちの拠りどころを見つけてもらえるように、自分の才能を使ってるんだ。」

“Alright”のミュージック・ビデオはこちらから。

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