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フランク・オーシャンは現地時間8月20日に自身のセカンド・アルバム『ブロンド』をリリースしている。

先週リリースされたヴィジュアル・アルバム『エンドレス』に続いてフランク・オーシャンは、ビヨンセやケンドリック・ラマー、アンドレ3000らが参加した17曲収録のアルバム『ブロンド』をリリースしている。

なお、アルバムのフィジカル盤は、元々のアルバム・タイトルであった『ボーイズ・ドント・クライ』と題された雑誌と共に、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴのポップアップ・ショップで販売され、フィジカル盤には12曲が収録されている。フィジカル盤にはデジタル盤に収録されていない“Mitsubishi Sony”と“Eady”という2曲が収録されていることも明らかになっている。

『ブロンド』のリリースに先立って、収録曲“Nikes”のミュージック・ビデオもアップル・ミュージックで公開されている。

アルバムのクレジットにはデヴィッド・ボウイカニエ・ウェスト、ジェイミー・エックスエックス、ザ・ビートルズ、ブライアン・イーノ、ファレル・ウィリアムス、エリオット・スミス、ジェイムス・ブレイク、ヤング・リーン、タイラー・ザ・クリエイター、元ヴァンパイア・ウィークエンドのロスタム・バトマングリといった大物の名前が、貢献者として記されている。

エリオット・スミスについては“A Fond Farewell”の歌詞が“Seigfried”という楽曲で使用されているほか、“White Ferrari”という楽曲で、ザ・ビートルズの“Here, There, and Everywhere”が引用されている。

フランク・オーシャンはタンブラーに次のように記している。「このアルバムの楽曲をすべて作ることで、人生でも最高の時を過ごすことができたよ。みんなに感謝してる。特にこのアルバムを完成させなければいけないということを僕に忘れさせなかった人たちにね。そうなると、基本的に全員になるんだけどさ。ハハ。愛してるよ」

またフランク・オーシャンはアルバム製作の背景について説明する長文のテキストを公開している。

その全文訳は以下の通り。

「2年前、手で顔を覆っている少女の写真を見たんだ。シートベルトが身体をわたって、首まで引っ掛かっていて、縮れた金髪の髪が耳の後ろにかかっていた。彼女の目はクリアで、穏やかで、そこに空虚さはない。彼女の後ろに見える道も同じような感じだったね。それで自分自身が彼女の席に座ってる状態を頭のなかで想像してみたんだ。シートベルトがきつくなって、閉所恐怖症が襲ってきた。前にかがむこともできないんだ。内蔵まで締め付けられる感じでね。外そうと、前や後ろに身体を動かしてみた。もう一度前や後ろに動かしたところで、ほら――自由になったんだよ。人生においてどれくらいの時間を車のなかで過ごすのだろう? 車のなかで死ぬ確率も想像してみたんだ。いつまでも幸運が続きますように。いや、そんな言い方はすべきじゃないな。僕らはどこかの街で車に乗って、生活のなかで通勤したり、楽しみのために化石燃料を消費したりしている。ベッドで寝てる時間なんかと同じくらい多くの時間を車で過ごすわけでね。初めてマッシュルームをやった時、俺のマネージャーはカリフォルニア工科大学の『トリップ・デイ』から俺を救出しなきゃならなかったんだ。彼女の車に乗った時、本当なんだけど、ポルシェのトラックの中央にあるアルミのコンソールがまるで呼吸をしてるように、なにかの喉のように見えたんだ。高速に乗ってパサデナを出発して、喋りながら、ふと外を見た時に車のホイールやタイヤが幻覚で後ろ向きに走ってるように見えたんだ。グーグルによれば、僕らの脳は完全に違うものと見なして、それを視覚として見せることがあるんだ。インジケーター・ライトが震えて、風に対して脈打つのを見て釘付けになったよ。よくガス欠になった高速道路を飛ばしながら、ロサンゼルスのダウンタウンを抜けて西に向かった。気楽に生命を謳歌している美しいヤシの木やつる植物など、そういった多年生の植物に出迎えられてね。10秒で、どこか懐かしい気持ちが高まったよ。俺は昔、たくましいクロスオーバーSUVを乗り回して、タバコをふかしながら未発売の自分の古いミックス曲とか、iPhoneを端子に繋げて誰かの聴きたい曲を聴いたりしてたんだ。数年間、ちょっとした日常的なドライバーの期間を経て、俺はあまり運転しなくなった。これを書いてる時点では、ロンドンに移ってから1年が経ち、この街で運転をすべき理由が見つからない。俺はポルシェ911 GT3 RSを手に入れたけど、ここではあまり走ることがないから、緊急のときのために持っておくみたいな感じだね。俺のこの車オタクぶりについて、昔ラフ・シモンズに典型的だと言われたよ。たぶん、奥底の潜在意識にある非同性愛者的な少年のファンタジーに紐づいてるのかもしれないな。でも、意識的なところではストレートなんかになりたくないからね――少し違うほうがいい。このプロジェクトに取り組むなかで、ときにロマンチックに感じたんだよ。俺は使い捨てカメラを手に、1600万ドル(約16億円)のマクラーレンF1の前に立っているかのような感覚をずっと持っていたんだ。俺の思い出はこういうページやこういう場所に存在していて、近くやずっと遠く――感覚がなくなるほど遠くにもあるんだ。日本の郊外をRWBポルシェで走り回ったり、イギリスの高速道路を友達と一緒に改造したBMW M3 セダンで暴走したり、水陸両用の四駆でミシシッピに行って泥遊びをしたり、セネガルで行き当たりばったりでカンフー道場を巡って素人のモデルを探したり、天才の巨人であるタイロン・ルボンとふざけてミュージック・ビデオを撮影したり、変化を求めて星の観測を楽しみながらメキシコのトゥルムに休暇兼偵察をしに行ったりしたな。あとは、東京、ニューヨーク、マイアミ、LA、ロンドンやパリでレコーディングしたり、ベルクハイン(ベルリンの世界的に有名なクラブ)を訪れたくて途中でベルリンも訪れたね。ベイスド・ゴッドこと、リル・ビーのブランドンと大切なものを交換したり、たとえ話で盛り上がったりね。途中で、俺は物語を書いたんだ――題名は『ゴッドスピード』。俺の幼少期を思い起こしたストーリーがベースさ。少年は泣いてしまうものだ。でも、10代の大部分は涙を流しちゃいないと思う。驚いたことに、今のところそこが俺の人生のなかで一番気に入っている時期なんだ。子供の頃に今の状況を夢見ていただけに、俺にとっては驚きなんだよ。もしかしたら、それはあまりにきつい思い出だったかもしれないけど、今はいい思い出だと思えるくらいバックミラーに小さく映ってるんだ。でも、本当に……いまだにいい思い出だよ。これが『ボーイズ・ドント・クライ』と『ブロンド』さ。さあ、世界中へ」

アルバム『ブロンド』のダウンロードはこちらから。

アルバム『ブロンド』のストリーミングはこちらから。

アルバムのトラックリストは以下の通り。

1 ‘Nikes’
2 ‘Ivy’
3 ‘Pink + White’ (featuring Beyoncé)
4 ‘Be Yourself’
5 ‘Solo’
6 ‘Skyline To’ (featuring Kendrick Lamar)
7 ‘Self Control’
8 ‘Good Guy’
9 ‘Nights’
10 ‘Solo (Reprise)’ (featuring André 3000)
11 ‘Pretty Sweet’
12 ‘Facebook Story’ (featuring SebastiAn)
13 ‘Close to You’
14 ‘White Ferrari’
15 ‘Siegfried’
16 ‘Godspeed’ (featuring Kim Burrell)
17 ‘Futura Free’

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