デヴィッド・ボウイは、ブルース・スプリングスティーンの曲のカヴァー・ヴァージョンを本人の前で披露したのちに、その曲のカヴァーを一度は断念していたことが、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティによって明らかにされている。
トニー・ヴィスコンティによれば、デヴィッド・ボウイは、最終的に1975年に『ヤング・アメリカン』としてリリースされたアルバムのセッション時に、ブルース・スプリングスティーンの曲、“It’s Hard To Be A Saint In The City”のカヴァーを収録することを計画していたという。
トニー・ヴィスコンティは、デヴィッド・ボウイのいるフィラデルフィアのスタジオまでブルース・スプリングスティーンに来てもらった当時のことを振り返り、音楽誌『アンカット』のなかで次のように綴っている。「デヴィッドは、ブルースと会えることをかなり楽しみにしていたんだ。僕らはブルースの前で“It’s Hard To Be A Saint In The City”を演奏したんだけど、彼は終始、無表情だったよ。演奏が終わった後も、何も彼は言わなかったんだ」
デヴィッド・ボウイによる“It’s Hard To Be A Saint In The City”のカヴァーはこちら。
「デヴィッドは、2人で話をするためにブルースを別の部屋に連れて行った。帰る頃には、ブルースはさっきより楽しそうな様子で、僕や他のみんなに挨拶をして行ったよ。その後、デヴィッドと僕は“It’s Hard To Be A Saint In The City”のカヴァーに取り掛からなかったんだけど、結局、デヴィッドは別の誰かとカヴァーを完成させてレコーディングしたんだ」
最終的に、同曲をデヴィッド・ボウイがカヴァーしたヴァージョンは、1989年リリースのボックスセット『サウンド+ヴィジョン』に収録されている。原曲は、ブルース・スプリングスティーンの1973年のデビュー・アルバム『アズベリー・パークからの挨拶』に収録されている。
デヴィッド・ボウイは、新しいボックスセット『フー・キャン・アイ・ビー・ナウ? 1974-1976』が9月23日(日本盤は10月19日に発売)にリリースされることが決定しており、ボックスセットにはアルバム『ヤング・アメリカン』と、最終的に『ヤング・アメリカン』として形を変えリリースされた未発表アルバム『ザ・グースター』も収録される。その他には、シングル・ヴァージョンやアルバム未収録のシングル・カップリング曲を集めた新たなコンピレーション・アルバム『リコール2』、アルバム『ダイヤモンドの犬』、『ステイション・トゥ・ステイション』に加え、ライヴ・アルバム『デヴィッド・ライヴ』と『ライヴ・ナッソー・コロシアム’76』も収録される。
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