バタクランの生存者が、イーグルス・オブ・デス・メタルのフロントマンであるジェス・ヒューズに宛てた公開書簡を発表している。ジェス・ヒューズは先日、昨年パリで行われたイーグルス・オブ・デス・メタルのライヴ中に起きたパリ同時多発テロについてコメントをしており、これらが批判を呼んでいる。
ジェス・ヒューズ率いるイーグルス・オブ・デス・メタルは、昨年11月にパリ同時多発テロが起きた会場でライヴを行っており、会場スタッフやバンド関係者、そしてファンを含む合計89人が、テロリストの襲撃により命を落としている。
ジェス・ヒューズはその後、インタヴューにていくつかの物議をかもすようなコメントを行っている。あるインタヴューでは、フランスの厳格な銃規制のせいで誰もテロリストに反撃することができなかったのだと語り、また他のインタヴューでは、バタクラン劇場の会場スタッフが、テロリストグループと共謀していたのではないかと述べている。
ジェス・ヒューズは今月「TAKI’S MAGAZINE」にて、人々は自分が人種差別主義者であると思われることを過度に危惧するがゆえに、テロについて声高に発言することを恐れている、と繰り返し発言していた。
これを受け、バタクランのライヴに訪れていた観客のトニー・スコットは、「ラウダー・ザン・ウォー」でジェス・ヒューズを批判するコメントを発表している。そして今回、同じくライヴに訪れていた観客のイスマエル・エル・イラキが、『ガーディアン』紙上でジェス・ヒューズ宛てのメッセージを発表している。
「君たちの音楽は大好きだ。特にライヴは最高だよ(ワイルドで本当に楽しい)。だけど、君が恐怖を広げるようなことをするなんて思ってもみなかった。FOXニュースやドナルド・トランプみたいな奴らと同じようにね。君は一匹狼で、反逆者であると思っていた、だけど違ったようだ。僕たち(反逆者、一匹狼、ロックファン)は、いつも君を大好きで擁護しようとしていた、だって君は愛すべきアホ野郎で、ある種のおバカさんだったから。『三ばか大将』や『テックス・アヴェリー』に出てくる狼みたいにね。しかし、君は今回、愚かな考えを持つ危険な奴だと証明してしまった」
「君のコメントは、人々の傷口を広げるようなものだ。君は、会場の警備員がテロに加担し、アラブ人に注意を呼びかけていたと言った。この画像は、君らのライヴが始まる数分前に撮影したものだけど、ここに写っている僕はまさにアラブ人という格好をしている。黒い濃いヒゲも肌の色も、まさにそんな感じだよ。だけど、ロックが大好きなんだ。僕の妻を除いて、僕の人生で最も大切なものがロックだよ。だからもちろん、11月のあの暖かい夜、僕もバタクランの人々の中にいた。イーグルス・オブ・デス・メタルのライヴを見逃したくなかった。その週に僕が行く予定だった8つのライヴの、最初のライヴだったんだ」
「君はイスラムが問題だという。でも、僕は本当に問題なのは、こうした偏見者が自分たちに都合の良いように作った下らないホラ話をすることだと言いたい。他の人種や、人間の混合性(民族や人種だけでは説明できない複雑性)を認めず、人種差別や拒否を行う人間こそが問題なんだ。自分たちが知っている範疇だけで他者をさげすむことが問題なんだ」
「ロックンロールの根本に立ち返ってみてくれ、それはクソッタレと言い、闘争心を掻き立てるようなすごいものだったはずだ。どうしようもない保守的な政治家みたいな発言をするんじゃなくてね」
一方、フランスの2つのミュージック・フェスティバルが、ジェス・ヒューズによるムスリムとテロへのコメントを受けて、イーグルス・オブ・デス・メタルの出演をキャンセルしている。
キャバレー・ヴェールとロック・オン・セーヌという二つのフランスのフェスティバルは、予定されていたバンドの出演をキャンセルすることを決定し、フェイスブックに以下のようにコメントをしている。「アメリカのメディアにおけるインタヴューでのジェス・ヒューズの主張にはまったく同意できません。キャバレー・ヴェールとロック・オン・セーヌの両フェスティバルは、バンドのパフォーマンスをキャンセルすることを決定しました。みなさんの理解に感謝します」
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