今週、やる気のないパフォーマンスを理由に、フィンリー・クエイをステージから追い出した音楽プロモーターが、なぜ自らステージに踏み入り、ショウを中止したかについて説明している。
フィンリー・クエイはこの日、グロスターシャー州ウッドチェスターにあるザ・コンヴェント・クラブで演奏していたが、プロモーターのマット・ロバーツは途中でこのショウを中断している。ステージに現れたマット・ロバーツは、フィンリー・クエイがサウンドチェックに姿を見せず、ようやく1時間遅れでステージに登場したものの、まともなパフォーマンスを行っていないと非難したという。マット・ロバーツはフィンリー・クエイのパフォーマンスを「最低」だと言い放っている。
その時の模様は以下で観ることができる。
マット・ロバーツは『NME』に対し、この件の詳細を語っている。「私たちは世界中に(ショウを)配信しています。あの公演は生中継で、9時に配信が始まるのに、フィンリー・クエイは9時5分過ぎになって現れました。何の機材も持たず、契約時に約束していた楽器もなければ、バンドのメンバーもいなかったのです。それまで一度も一緒に演奏したことのないスタジオ・ミュージシャンを彼は連れてきたのです」
「私は自ら駐車場で彼が来るのを待っていました。そうすれば、演奏ができる状態かどうかその場で判断できますからね。私には責任がありましたから、彼をステージに上げる前に話をしました。そして、素晴らしいショウになる可能性があると思ったから、彼をステージに上げたんです。オンラインでの中継が始まった1時間後のことです。残念ながら、みんなが(YouTubeで)見ることができるのは、そこから30分続いたリフの最後の5分間なんですよ。30分間ずっとあの調子で演奏して、最後の5分があれだったわけです。観客は嫌気がさしてましたから、ブーイングが聞こえますよね。クラブ中の人が本当に不愉快になってしまったんです」
「このクラブは安酒が入ったコップがステージに飛んでくるような類の場所ではありません。ここは会員制で、ライヴに来る人たちは音楽を愛していて、演奏にじっと聴き入るような人たちばかりなんです。だから中断せざるを得なかったんですよ」
マット・ロバーツによると、クラブでのフィンリー・クエイとの会話は「完全に異次元のもの」であり、「彼をステージへ上げるのに苦労した」とも語っている。
また、この件以来、フィンリー・クエイとはコンタクトしていないことも明かしている。「私から彼への最後の言葉は、ステージ上で見た通りです。その後、スタッフが彼をクラブの外へ連れ出したんです」
マット・ロバーツはさらに、フィンリー・クエイの問題の多い過去を知りながらも、ステージから追い出したことについて、自身の立場を次のように弁護している。「この国で彼の経歴を知らないプロモーターはいません。だから、どんなミュージシャンかということは分かっていました」
また、「あれはフィンリー・クエイに対する悪口なんかじゃありません。そんな気はまったくありませんでした。私はただ、一人のパフォーマーをステージから追い出したに過ぎません。誰でもそうなり得たってことです」とも話している。
この件を振り返って、マット・ロバーツは次のように主張している。「後から思い返しても、私たちはやっぱり同じ行動を取ったと思います。プロとして活動するアーティストたちは、観客に対してプロの演奏を提供する義務があります。基本的にはフィンリー・クエイの幸運を祈っていますが、彼は心を入れ替えなきゃいけないと思います」
ザ・コヴェント・クラブのフェイスブック・ページに発表された声明文で、マット・ロバーツは次のようにコメントしている。「あの晩、私はフィンリー・クエイに激怒しましたが、どうしてあのような発言をしたかについて、自分の口からもう一度説明したいと思います。あれは、私が常に尊敬してきたミュージシャンでありながら、現在はその才能をきちんと管理できていないゆえに、私がいらだちを覚えている人物に対する個人攻撃ではありません。それよりも、私のライヴ音楽に対する情熱の問題なんです。ライヴ音楽が生み出し、創造し、インスパイアするものはすべて非常に強力なものです。私たちはみんな、多かれ少なかれ問題を抱えています。自分自身の、或いはインスピレーションを与えてくれるアーティストたちの創造力というものは、辛い時を乗り越えるための目に見えない指針となり、また幸せな時にはそれを増幅してくれる役目を果たしてくれます」
「生き延び、育まれていくライヴ音楽に私は情熱を傾けています。そして、ミュージシャンやライヴ音楽に携わる人々は、適応し、生き残っていかなければなりません。ライヴ音楽の会場が毎週閉鎖されているような状況の中、ライヴ音楽が観客を引き寄せ、それにふさわしい敬意を払ってもらえるよう、できる限りの努力をする責任を私たちは負っています」
「私たちプロモーターには、観客やミュージシャン、そしてこの業界に関わるすべての人たちに対して、ライヴ音楽が生き延びていけるよう手助けをする責任があるのです」
ショウを中断する際、マット・ロバーツはフィンリー・クエイを「僕のクラブを最低なパフォーマンスで汚した」と非難し、また観客に対しては「みんな、本当に申し訳ないですが、僕はこの仕事を28年やってきて、信用があるのです」とショウを中断したことを謝罪している。
また、クエイのバンドに対して「君たち、もう帰ってくれ」と言った後、客席に向けて次のように説明している。「チケット代は払い戻します。本当に申し訳ないとしか言いようがありません、なぜなら音楽業界やライヴ音楽は美しいものだから。申し訳ないですが、私のクラブが最低のパフォーマンスで汚されているのを黙って見ているわけにはいかなかったのです。今夜のパフォーマンスを聴かされたみんなには心から謝罪します。ここは素晴らしい音楽を提供する場なんです。私に言えるのは、ここが私のクラブで、正しいと思うことをさせてもらったということです」
フィンリー・クエイは絶頂期にブリット・アウォーズやMOBOアワーズを受賞しており、アルバム『マーヴェリック・ア・ストライク』は1997年のリリース以来、数回プラチナディスクに認定されている。
しかし、近年は数々の問題を起こしており、2012年には暴行罪で有罪判決を受けている。また、2003年には大麻所持で有罪宣告を受けていた。
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